外国映画のタイトルで、原題からかけ離れた邦題がつけられることはよくあります。外国映画はシンプルなタイトルが多いので、日本人の感性をもとに内容を補足するような邦題になるのは一応、歓迎。ただ、成功しているものもあれば、失敗している、あるいはちょっとスベっていると感じるものも。
タイ映画のうち邦題がつけられ日本で公開あるいはDVD販売されるものは少ないですが、自分が観た作品それぞれの邦題に対する印象を。(映画のタイトルから過去記事に飛べます)
■プアン/友だちと呼ばせて (2021年)
・タイ:วันสุดท้าย…ก่อนบายเธอ (最後の日、さよならの前に)
・英語:One for the Road (別れを惜しんでくみ交わす一杯の意)
・寸評:シャレた英語タイトルにくらべると、邦題はわかりやすすぎるというか、ベタというか。ダサいとまでは言いませんが。映画は面白いです。日本でも公開予定。
■女神の継承 (2021年)
・タイ:ร่างทรง (霊媒)
・英語:The Medium (霊媒)
・寸評:女神というと良い神様を連想しますが、映画は相当禍々しいので、そのギャップに驚くかも。日本でも公開予定。
■ホームステイ ボクと僕の100日間 (2018年)
・タイ:โฮมสเตย์ (ホームステイ)
・英語:Homestay
・寸評:邦題は何か説明をつけがち。まあわかりやすくていいですが。
■バッド・ジーニアス 危険な天才たち (2017年)
・タイ:ฉลาดเกมส์โกง (スマートなチートゲーム)
・英語:Bad Genius (悪い天才)
・寸評:バッド・ジーニアスも危険な天才たちも意味は同じなので、なぜ繰り返すのかなと。映画は面白いのでどちらでもいいことですが。
■一日だけの恋人 (2017年)
・タイ:แฟนเดย์..แฟนกันแค่วันเดียว (Fan day/恋人の日、一日だけの恋人)
・英語:One Day
・寸評:例えば邦題が「ワン・デイ (One Day」だったとしても成立したと思いますが、アン・ハサウェイの映画で同じタイトルのものがありますから、こっちにしたのかなと。でもこちらもいいタイトル。冬の北海道に行きたくなる作品。
■フリーランス (2015年)
・タイ: ฟรีแลนซ์..ห้ามป่วย ห้ามพัก ห้ามรักหมอ (フリーランス:病気になったり、休んだり、医者を好きになったりしないでください)
・英語:Heart Attack
・寸評:英語タイトルが微妙なので、タイ語からとった邦題は正解かなと。
■すれ違いのダイアリーズ (2014年)
・タイ:คิดถึงวิทยา (科学について考える)
・英語:Teacher's Diary (先生の日記)
・寸評:これもまた完璧な邦題だと思います。いい作品、いい邦題。素晴らしいことです。
■愛しのゴースト (2013年)
・タイ:พี่มาก..พระโขนง (プラカノンのピー・マーク=マーク兄さん)
・英語:Pee Mak (ピー・マーク)
・寸評:元ネタはタイに伝わる有名な怪談「プラカノンのメー・ナーク」。それをもじって主人公マークの名前を使っている原題はタイ人にはわかりやすいだろうけれど、日本人にとっては圧倒的に邦題のほうが良いですね。
■アンニョン!君の名は (2010年)
・タイ:กวน มึน โฮ (悩ます、頭がボーッとする、といった意味?)
・英語:Hello Stranger (こんにちは見知らぬ人)
・寸評:見知らぬ男女が最後までお互い名乗らぬまま韓国旅行を続けるので、そのとおりの邦題なのですが、それにしてもダサい。。映画はすごく面白いのに。
■人肉ラーメン (2009年)
・タイ:เชือดก่อนชิม (味見の前に切り刻む)
・英語:Meat Grinder (肉挽き器)
・寸評:タイ映画の邦題としては歴代No.1ではないでしょうか (実際はタイ語の原題もこちらだったらしい)。恐ろしくもどこか滑稽で、「そんなタイトルあるかよ」と思って観たら実は本当にそんな映画という。。素晴らしすぎる。
■夏休み、ハートはドキドキ! (2008年)
・タイ:ปิดเทอมใหญ่ หัวใจว้าวุ่น (長い学期休み、心臓ドキドキ)
・英語:Hormones (ホルモン)
・寸評:英語タイトルがわかりにくいので、タイ語の直訳は大正解。
■ミウの歌 (2007年)
・タイ:รักแห่งสยาม (サイアムの愛)
・英語:Love of Siam
・寸評:名作映画につけられた、感動レベルの素晴らしい邦題。昨今のラブコメ的BL映画も面白いですが、本作も必見。
■心霊写真 (2004年)
・タイ:ชัตเตอร์ กดติดวิญญาณ (シャッターが魂に触れる)
・英語:Shutter (シャッター)
・寸評:短く簡潔に作品内容を伝える、冷酷で完璧な邦題。
■609 (ロクマルキュウ) (2003年)
・タイ:บุปผาราตรี (ブッパー・ラートリー=夜の花)
・英語:Buppah Rahtree (ブッパー・ラートリー)
・寸評:原題 (主人公の名前) でも良かった気はしますが、物語の舞台である609号室をタイトルにとったのも、センスいいんじゃないかなと。
■わすれな歌 (2001年)
・タイ:มนต์รักทรานซิสเตอร์ (トランジスターラジオから流れる愛の呪文)
・英語:Transistor Love Story
・寸評:劇中の「忘れないで」という主人公の歌声に感動。いい邦題だなと。
■アタック・ナンバーハーフ (2000年)
・タイ:สตรีเหล็ก (鉄の女)
・英語:The Iron Ladies
・寸評:1960年代生まれの日本人ならピンとくる邦題。若い人たちには伝わっているのだろうか。(未見の作品ですが面白いのでつい取り上げてしまいました)
■レイン (1999年)
・タイ:บางกอกแดนเจอรัส (バンコク危険)
・英語:Bangkok Dangerous (バンコク危険)
・寸評:原題とはぜんぜん違いますが、作品の世界観を端的に表す、秀逸な邦題。