「カオムーデーン」はムーデーン (レッドポーク:表面が赤く色付けされた焼き豚) が載ったご飯です。八角のようなスパイスがほんのり香る甘いタレがたっぷりかかっていて、辛くも刺激的でもないので、疲れた胃袋にも優しい味わいです。トッピングは焼き豚に加え、揚げ豚、煮卵、中華ソーセージが定番。ピセー (スペシャル) ならだいたい全部載せになります。
赴任して間もない頃、一度カオムーデーンを食べました。タニーという、アーリー駅近くの有名なお店です (写真はコチラ:50バーツ飯)。その時はちょっとピンとこなかったというのが正直なところで、その後ずっとカオムーデーンには手を付けてきませんでした。
たぶんこの頃は、まだ甘いタレになじんでいなかったのかなと思います。その後タイ料理を食べ続け、この甘さにもなじみ、ちゃんと美味しいと感じられるようになりました。今では甘い激辛カレー (=砂糖と唐辛子大量) だって大丈夫です。さすがに炒飯やラーメンに自ら砂糖 (卓上調味料の定番) を入れることはしませんが。
ということで、もう一度カオムーデーンを食べてみよう、そう思ってまず訪れたのが、自分的にはここかなと思った、ヤワラートにある「Xie Lao Yee Hor (紅燒豬肉飯)」。続いてワット・トライミットの南側、スコン通りにある有名店「シーモラコット」。そして最後に「タニー」再訪。さて、3店舗それぞれのお味やいかに。
Xie Lao Yee Hor
豚よりもむしろ煮卵が有名なお店と言っても過言ではありません。真っ黒な煮卵は見た目ほど味が濃いわけではなく、ほどよい味加減。タレは茶色、やや少なめ、ややとろみ感、中華スパイスの香りがほんのり、甘さ控えめ。焼き豚は厚さがちょうどよく、肉の旨味が感じられました。揚げ豚はカリカリ。中華ソーセージはやや薄切りですが存在感あり。個人的には一番好きなカオムーデーンです。というか煮卵の勝利。これぞ名バイプレーヤー。場所はプレーンナム通りのお茶屋「Sen Xing Fa」の向かい側。ピセー 72バーツ/250円。
シーモラコット(Si Morakot)
ここは何度も、いや何十回もお店の前を通っていましたが、常にお客さんがいっぱいで、いつも横目に通り過ぎていました。そんなこんなで今回ようやく初訪問。タレは茶色、量はたっぷり、とろみは強く10cmくらい細い糸を引くほどのねっとり感、中華スパイスの香りほんのり、やや甘め。焼き豚は (たぶんたまたま) 細切れで存在感弱い。揚げ豚はカリカリ。中華ソーセージは普通。煮卵はオレンジ色をつけただけ? 全体的に期待が高かった分、ちょっと拍子抜け。3店の中では一番安いので、コスパ良し。65バーツ/225円。
タニー(Thanee)
上記2店舗を経て、タニーを再訪問。あいかわらずタレが赤く、甘く、中華スパイスの香りはほとんど感じません。結局タレは赤と茶色のどちらが本流なんでしょう。個人的な好みは茶色ですが、赤いタレもこれはこれで優しい味だなと思うようにはなりました。
特筆すべきはお肉。焼き豚は焼き加減もスライスの厚みも絶妙、もちもちした食感でお肉の旨味を存分に味わえます。揚げ豚はカリカリではなくサクサク。時にカリカリは口内粘膜を攻撃する凶暴な一面を秘めていますが、サクサク食感は誰にでも優しい食べ心地。中華ソーセージも厚みがあって、噛めば噛むほど美味しさが感じられました。返す返すも残念なのはタレ。いや、残念というのはエゴですね。このお肉とこのタレで、この一皿は完成されているのですから。ピセー 80バーツ/280円。
ちなみに、以前カオカームーで触れたこともありますが (⇒コチラ)、カオムーデーン屋さんも、お米の品質は重視していない気がします。カオカームーはまだタレがビシャビシャなので、ボソボソしたご飯もそれほど気にせず食べられますが、カオムーデーンはもう少し厳しいなあと。
世界コメ会議で優勝するほど素晴らしいお米を産出するお米王国タイにおいて、庶民が口にするお米のレベルがこの程度というのは、悲しむべきことです。格差社会のせいなんでしょうか。いやでもガパオライスはお米にこだわっているお店が多いか (コンビニ弁当ですら!)。