ジャガイモは南アメリカ大陸のアンデス山脈が原産で、保存性の高さから大航海時代の船乗りたちに重宝され、ヨーロッパに持ち帰られると爆発的に普及しました。
寒冷地にも強く年に複数回の栽培が可能で、地中に作られることから鳥害にも影響されないジャガイモは、麦・米・トウモロコシに並ぶ世界四大作物のひとつと呼ばれます。
日本へは16世紀末、オランダ商人が長崎に持ち込んだとされます。ジャワ島のジャガタラを経由して伝来したため、ジャガタライモ⇒ジャガイモと呼称されるように。
ベトナムにジャガイモが伝えられたのは19世紀末、フランス植民地時代にその栽培法が広まりました。ベトナム語でジャガイモは Khoai tây (コアイタイ) と言います。
コアイタイは「西の芋」という意味。西つまり西洋ですが、その昔、フランス語のことを Tiếng tây (西洋語) と呼んでいた時代もあり、「西=西洋=フランス」という図式が見て取れます。
つまり、ジャガイモは日本では「インドネシア (ジャガタラ=ジャカルタ) の芋」と呼ばれ、ベトナムでは「フランスの芋」と呼ばれているわけです。(もう少し広く「ヨーロッパの芋」かもしれませんが)
* * *
ジャガイモの細切りを油で揚げた料理を、日本ではフライドポテトと呼びます (和製英語)。これは調理法そのままの呼称。しかし世界では、次の二大派閥があります。
北米文化圏 (アメリカ英語) では French fries または Fries (フレンチフライ/フライ)、イギリス文化圏 (イギリス英語) では Chips (チップス)。
なお、イギリスではチップスがフライドポテト、クリスプ (Crisps) がポテトチップスです。フィッシュ&チップスはもちろんポテチではありません。
そもそもなぜフレンチフライ (フランスの揚げ物) なのかという話ですが、件のフランスではフレンチフライとは呼びません、単にフリット (Frites)。
この揚げポテト、実はベルギー南部のフランス語圏地域が発祥と言われ、ベルギー人はフレンチフライの呼称には異議ありだそう (⇒Belgian fries/ベルジャンフライ)。
ベトナムでは Khoai tây chiên (コアイタイチエン)、そのまま訳せはフライドポテトですが、ジャガイモの語源を考えると、ベトナムもフレンチフライ派と言えるかもしれません。
* * *
最近こんなことを考えたのは、ハノイのテキサスチキンで食べたフライドポテトが実に美味しかったからです。東南アジアでもこんなに美味しいジャガイモがあるんだと驚きました。
ウズベキスタンにいた時「ポテトが美味しいウズベキスタン」という投稿をしました。その前のタイと比較して、食べた量も料理としての味も段違いだったからです。
タイもインドネシアも、ローカルのジャガイモ料理はほとんど食べた記憶がありません。ファストフード店のフライドポテトは食べましたが、正直どこもイマイチでした。
ウズベキスタン生活は、人生で一番ジャガイモを食べた2年間でした。ジャガイモ料理ってこんなにバリエーションがあるんだと、八面六臂の活躍に拍手喝采したものです。





ベトナム料理におけるジャガイモは、主役とまでは言えませんが、ご飯のおかずやシチューの重要な一員として、確固たる地位を築いています。
フライドポテト以外でも、ハノイではよくジャガイモを食べています。コムビンザン (居並んだおかずを指さしで選びご飯に載せて食べるスタイル) では定番おかずのひとつ。


フライドポテトのバインミーが意外に美味しく食べられたのは、ジャガイモそのものが美味しかったからかもしれません。

ベトナムのテキサスチキンはフライドポテトが本当に美味しかったです。不思議なことにタイのテキサスチキンよりずっと。
表面はサクッと軽やか食感、咀嚼するとジャガイモがねっとり甘く旨味にあふれていました。ベトナムならKFCやマックのポテトも美味しいのかな。こんど買ってみよう。
