バインミー (Bánh mì) は、軽い食感のバゲットと様々な風味豊かな具材の組み合わせで、今や国際的に愛されるようになった伝統的なベトナムサンドイッチです。
フランス植民地時代の影響とベトナムの食材が融合し、バインミーはバインミーとしか言いようのない、ベトナムを代表する食べ物となりました。主な構成要素は次の通り。
・バゲット:外側パリパリで内側ソフト、軽めの食感
・タンパク質の具材:ハム、チャーシュー、卵焼きなど
・野菜とトッピング:人参、きゅうり、青パパイヤなど
・調味料:マヨネーズ、チリソース、醤油系ソースなど
ハノイに来てかれこれ15~16本バインミーを食べました。有名店もいくつか訪れましたが、今のところ心の底から「うまい!」と思える決定版には出会っていません。
ガイドブックや各国ブロガーがおすすめする、カスタマーレビュー数千件のようなお店でも、美味しいと思うものもあれば、そうでもないものもありました。
ということで一旦、自分好みの理想のバインミーについて考えてみたいなと。バインミーの何たるかも、なんとなく見えてきたように思うので。
■バゲット
外側が硬く内側がややモッチリした食感のフレンチバゲットとは異なり、バインミーの典型的なパンは、外側がごく薄いパリッとした層、内側は歯切れよくふんわり柔らか。

どこかの情報サイトに、バインミーのパンには米粉も使われているようなことが書かれていましたが、自分としてはそれも納得、たしかにそんな感じも受けます。
小麦の豊かな風味、噛みしめる美味しさ、なんて表現には程遠いのですが、逆にこのあっさりした風味と軽い食感は、バインミーの特徴として捉えて良いのではないでしょうか。

ハノイのフレンチベーカリーで本場っぽいフランスパンのサンドイッチをいただいたこともありますが、食感から何から、まったくバインミーとは別物だなと思いました。

もうひとつ、店舗によって大きく異なるのが、事前あるいは仕上げにパンを焼くかどうかです。パンを焼いてから具材を挟む、または挟んだあと仕上げに焼く (オーブン or 押し焼き)。
ページトップの写真は焼かないタイプ。次の写真は焼くタイプふたつ。オーブンで全体を焼くものは外観の変化はほぼなし、パン表面がよりパリッと好ましい食感に。

ギュッと押して (挟んで) 焼くタイプも多いです。表面はパリパリ、パンの密度が上がり風味が豊かに感じられます。ただし、食べる際にこぼれるパンかすの量が増えます。

自分は形を崩さず全体を焼くタイプが一番好きですが、人気店はただでさえ待ち時間が長いのに、さらに焼く時間がプラスされるのは、時にイライラがつのります。
もともとパンがパリッとしているので、焼かないタイプでも自分はOK。厳しいのは、ギュッと挟んで焼くタイプ。パンかすが異常にこぼれますからね、ちょっと食べにくい。
■タンパク質の具材
ベーシックなのはポークハム。肉の塩漬けといった本格的なものではなく、ほぼ練り物の昔懐かしいソーセージ系ハムです。あっさりパンにはあっさりハムがよく合います。

他によくあるのがチャーシュー、ローストポーク、ローストチキン。ソーセージや卵焼きもポピュラーです。卵焼きのみのバインミーはたいていお店で一番安い。

個人的には、チャーシューはハムより口の中の水分を持っていかれるのが気になります。その分ソースを多めにかけると、全体の食感がやや水っぽくなってしまうため塩梅が難しい。
ポークフロス (チャーボン/Chà bông, Chà ruốc) を載せるお店もありますが、さすがにバインミーには合わないような。口の中がパサパサになりますからね。

■野菜とトッピング
青パパイヤとニンジンを細切りにした "なます" が多いと思います。自分は青パパイヤのシャキシャキした食感が好きなので、ある程度太い方が好み (幅2mmくらい) 。
自分はニンジンはごく少量でよく、またお甘酢で和えたなますでなくても、シンプルに新鮮な青パパイヤの細切りだけでも本当はいいくらいです。
キュウリはほとんどのお店で入りますが、正直、キュウリが苦手な自分はなくてもいいなあ。もちろん、あれば食感や水分がプラスされるので、全否定はしませんが。

ザウムイ (Rau mùi/パクチー) は、パクチー好きの自分としてはもっとたくさん入れてほしいですが、基本ひかえめです。次は「もっと入れて」と言ってみようかな。

レタスやトマトを入れるお店もありますが、個人的には邪道だと思います。それをすると、どんどん西洋風のサンドイッチに近づくからです (若者はその方が好きかも)。
外国人ばかり来るようなお店だと、レタスがデフォルトのお店は多いと思います。もちろんレタスも悪くはないですが、バインミーとしてはちょっと。
レタスを多めに入れるとパンの合わせ目がうまく閉じなくなりますしね (なら叩くとかすればいいのに)。またトマトは全体が水っぽくなるので、自分は否定派。
バインミーのパンは水分を多めに吸うとあっという間に味噌汁の麩のような弱々食感になってしまいます。スープに浸して食べるのは好きですが、サンドイッチとしては✕。

■調味料
マヨネーズはどこのお店もデフォルトだと思います。少し甘いマヨネーズかな。スイートチリソースは味が平板になるため自分はあまり好みではありませんが (少量ならOK)、使うお店はわりと多いです。

1軒だけ、粒マスタードソースを塗るお店がありました。チャーシュー系なら甘辛い醤油ダレよりも、マスタードソースが正解な気がします。まあこれも好き好きですが。

ベトナム風パテを薄く塗るお店も多く、これはバインミーの味の奥行きを、一段深いものにしてくれます。塗りすぎると味がしつこいので、あくまで隠し味程度に。
ローカルべーカリーのパテのみ塗った (というより挟んだ) サンドイッチもいただきましたが (Map)、「これもバインミーなのかな、違うのかな」とよくわからないまま食べ終えました。やはりパテは隠し味くらいがちょうどいい。

フライドポテトのバインミーなんていうB級グルメの権化のようなものをいただいた時は (Map)、普通以上にマヨネーズとホットケチャップがたっぷりかかっていて、これはこれで美味しくいただきました。

■自分の理想のバインミー (※現時点)
バゲットはベトナムスタンダードの外パリ中フワ、具材はローカルのポークハム。チャーシューや卵焼きとのミックスも悪くないですが、やはりベトナムハムが一番合う。
野菜は青パパイヤの細切りメイン、キュウリは入れるなら細切りを少々 (なくても良い)。パクチー多め、ソースはマヨネーズ多め、チリソースとパテも少々。
こう考えると、アパートの近くにある、普段よく食べているバインミーが、今のところ理想に近いかなと思いました (Map)。「え、あれが?」と言われたこともありますが。
ただし、キュウリの存在感が強すぎるのと、ソース (マヨネーズ) の味が単調なのが玉に瑕 (写真は4万ドン/240円)。パテは塗ってほしい。

チャーシュー+マスタードソース+αのバインミーロンホイ (HP) がかなり好きでしたが、現在臨時休業なのが痛い。たぶん改装中 (移転?)。再開後は品質キープできるか心配 (写真は4万ドン/240円)。

パン自体がわりとしっかり目で美味しかったのがバミーブレッド (Map)。チャーシュー+甘辛ダレでトータルバランスはグッド。ただしもう少しジューシーさがほしかった (写真は3.8万ドン/228円)。

いっそのこと卵焼きのみ (+細切り青パパイヤ) も、潔くて好ましく思います。味も悪くなかったですし、なにしろ写真のバインミーで1万ドン (60円) ですから、文句のつけようがありません。
でもこのお店は仕上げに押し焼きするんですよね。職場でパソコンを見ながら机で食べたら、キーボードにかすがポロポロ落ちて大変なことに。(←自業自得)

こちらはダメな例。3.5万ドン (210円) にしてはハムとチャーシューも多めで全体的に頑張ってはいるのですが、ポークフロスに口の中の水分をぜんぶ持っていかれました。レタスもなんだか余分に思えたな。

有名店のバインミーママ (Map) も、期待が大きすぎたこともあってか、自分にとってはむしろがっかりしたもののひとつです。
スイートチリソースが多すぎ、青パパイヤ (とニンジン) が細くてシャキシャキ感なし、焼いたパンは表面ポロポロ、レタスも多めでことごとく自分の理想からはズレている。
別にまずいわけではないし、具材もフルで4万ドン (240円) はすごいです。「ここのが一番!」という人もいるでしょうけれど、まあこればっかりは好みの問題なので。

ハノイにはまだまだ人気店がたくさんありますから、今後も理想のバインミーを探していきたいなと、決意を新たにしました。