「中央アジアのうどん」とも呼ばれるラグマン (ウイグルラグマン)。わざわざスープラグマンとは言わず、 通常は汁ありのものを指します。
汁なしはフライドラグマン、現地語でコブルマラグマンと言いますが、その名のとおり、炒めたラグマンのことです。
昨年8月に一度コブルマラグマンについてまとめましたが (⇒コチラ)、タシケントでも大きく2つのタイプに分けられます。
「卵がのったナポリタン系」と「野菜たっぷりの焼きうどん系」で、普通はナポリタン系、「ウイグル料理」の看板を出しているお店は焼きうどん系なのかなと思います。
ナポリタン系はトマトベースの味でイタリアンを食べている感覚、焼きうどん系は醤油っぽい味付けでまさに焼きうどん感覚です。
卵がのったナポリタン系
まずはナポリタン系のおさらい。店頭で大鍋に作り置きしているものが、典型的なスタイルです。海外ブロガーに紹介されるのも大抵こちらのタイプ。
このタイプはもっさりした食べ心地で味の緩急があまりなく、どこで食べてもほとんど味付けは変わりません。安心・安定の味と言えますが、飽きやすい味でもあります。
スープラグマンと違って麺は短めに切られています。もともとすごく長い麺ですから、食べやすいと言えばそうです。手延べ作業風景 (↓)。バシバシ叩きつけています。
そんなナポリタン系でも、もっとジューシー、というかオイリーで、そのため喉越しなめらか、旨みたっぷりなお店もあります。
とくに「サルドバ」と「カラサライラグマン」。写真で見ても、シズル感 (油のテカリ感) が伝わるのではないでしょうか (上:サルドバ、下:カラサライ)。
他人におすすめするならまずはスープラグマンですが、この2店なら続けてコブルマラグマンも食べてもらいたいです。
野菜たっぷりの焼きうどん系
続いて焼きうどん系。同じコブルマラグマンという料理名でも、見た目からしてまったく違うのがわかると思います。
味付けは中華寄りで、醤油の味を感じるのが何より嬉しいです。麺がうどんに近いので、目をつぶって食べたら誰しもが「焼きうどん?」と思うはず。
こちらのタイプはお店によって見た目や味わいがけっこう異なります。醤油感の強弱、野菜の感じ、トータルの食べ心地など。まあでも基本どこも美味しいです。
先日、再びウイグル料理店「グルジャ」に行って、今度はコブルマラグマンをいただきました (⇒グルジャ過去記事)。
ひと口食べてあらびっくり、これがもう、衝撃的な美味しさだったんです。炒めた醤油の香りが素晴らしく、ニンニクが効いていて、そして旨味もたっぷり。
「いや、これ、ちょ、マジ?!」と半ば混乱しつつ、麺を頬張り続けたのでした。日本でもこんなに美味しい焼きうどんは食べたことがないかも。
ナポリタン系 vs. 焼きうどん系
焼きうどん系のコブルマラグマンは、もうこのお店 (グルジャ) が決定版だなと、強く確信しました。そうなると当然、ナポリタン系との頂上決戦にならざるを得ません。
そうして出かけたのがサルドバ。サルドバのコブルマラグマンは、トマト味に加えさらに深みのある旨味があったと記憶していました。
ところが、ところがです。驚いたことに、前回食べたコブルマラグマンとは、なんだかだいぶ異なるものが出てきたのです。それがこちら (↓)。
コブルマラグマンにしては珍しく長めだった麺が短くなり、また太い部分はなくなって、細い部分を柔らかめに茹でているので、まるで食感が違います。
トマト味がより強く、要は典型的なボソボソナポリタン系に近いのですが、オイリーさがだいぶ増していたため、喉越しは悪くありませんでした。
ということで、ちょっと勝負はおあずけとなりました (これとくらべるのはさすがに・・・)。またしばらくしたらサルドバに行ってみよう。このままでは悲しすぎる。
サルドバのコブルマラグマン今昔
あらためて、サルドバのコブルマラグマンを並べてみます。半年前のものと今回のもの。見た目はそこまで違わなくても、食べ心地はずいぶん変わりました。
しっかりしたコシのある麺とたっぷりの旨味が絶妙のハーモニーだったのですが、今はなんとも。。これでもまだ美味しい方ですが、でもちょっと別物だな。
もしかしてシェフが変わったのかな。あるいは美味しさを追求してこれになったのか、もしくは食材の高騰をなんとか抑えようとした結果か (お肉も減った気がする)。
日本人的にはつい同じ味・同じ見た目を求めてしまいますが、こっちの人はどうなんだろう。あまり気にしないような気もするけれど。。