以前、アラビア語の国名がいくつか馴染みのないものがあるという投稿をしましたが、まずはそちらを抜粋してみます (元記事:アラビア語の文法)。
■アラビア語の国名
世界の国名を言うとき、アラビア語と日本語では意外に違うものがあります。
・トゥーニス (チュニジア)
・ヤマン (イエメン)
・アルジャザーイル (アルジェリア)
・フィラスティーン (パレスチナ)
・ウルドゥン (ヨルダン)
(※ヨルダン・ハシミテ王国/Hashemite Kingdom of Jordanはハーシム家の王国の意)
このあたりは想像の範囲内としても、
・マグリブ (日の沈む国=モロッコ)
・ミスル (イスラム初期に征服地に建設された軍営都市=エジプト)
・イマーラート (Emirate/首長国=アラブ首長国連邦)
などはわかりにくい例です。
ニムサー (オーストリア)、ユーナーン (ギリシャ) にいたっては、想像できる人はほとんどいないでしょう。
エチオピアは「ハバシュ」。アムハラ語でエチオピア人のことを「アベシャ (Habesha)」と言いますが、アビシニアもここからできた単語でしょう。
ヤーバーン (日本) はもちろんJAPANから来た単語でしょうが、中東に来て最初に驚く単語のひとつです。たいていの人は 「野蛮!?」 と思ってしまうからです。(以下略)
* * *
さて、Wikipedia で世界の国の一覧に飛び、国名をウズベク語で表示させてみたところ、どの国かはほとんどすべてわかりました。
日本人にわかりにくそうなのは「Jazoir (アルジェリア)」と「Misr (エジプト)」ですが、これはアラビア語と同じです。
最近知ったばかりだったのでわかりましたが、本当にひとつだけ、「いったいこれは!?」という国名があります。それが「Xitoy (ヒトイ/ヒタイ)」。
ロシア語だと「Китай (キタイ)」。キタイ、カタイ、ヒタイなど、旧ソ連邦のテュルク語圏ではだいたい共通しているそうです。
詳しくはWikipediaの「キタイ (地理的呼称)」を参照いただくとして、この国の正体は、中国です。
キタイ (Qitai, Cathay) は中国および中国の一部の地域を指して使用する呼称で、10世紀に中国北部に遼を建国した「契丹」に由来するそうです。
そういえば昔、香港のキャセイパシフィックはこのキタイから来たのだと、そんな風に聞いたことがあったなと、おぼろげながら思い出しました。
自分がなぜこの単語を知ったかというと、最近行ったタシケント駅前にある中国飯店の看板がロシア語でそう書いてあったからです。
「キタイってなんだろうな」と思い調べたところ、「えっ、中国なの!?」と驚いたわけです。知っている人にとっては常識なのでしょうが、個人的には目から鱗でした。
なお、自分がこれまでウズベキスタンで生活してきた中では、ヒタイよりは「チーン」とか「チナ」の方が言われていると思います (お前は中国人なのか?と聞かれる時)。
中国では、ヒタイは差別的な意味を含む言葉とみなされているため、公式には採用されていないのだそうです。