A Dog's World 

~海外で暮らす・日々の記録・旅の記憶~   

ベトナムのうなぎ料理に舌鼓

ベトナムの麺料理には、フォーやブンなど米粉のものが多いですが、緑豆などのデンプンから作られるミエン (春雨) もよく食べられています。

そしてミエンと言えば、これはもうカリカリに揚げたうなぎ (タウナギ/田鰻) がつきもののようです。ベトナム語でルオン (Lươn)。

ハノイの町中では「Miến Lươn」の看板をよく見かけ、自分もハノイに来てほどなく、近所のお店で1杯いただきました (45,000ドン/270円)。

これがなかなか新鮮な美味しさだったので、少し調べてみたところ、どうやらこれ、本場はベトナム北中部ゲアン省 (Nghệ An) とのこと。

ゲアン省はベトナム随一のうなぎ料理の産地として知られ、ラム川流域で獲れる良質なタウナギ (ルオン) を使って50種類以上の料理が作られるそうです。

こうした独自の食文化が評価され、2025年にはゲアン省におけるうなぎ料理の調理法に関する知識が、ベトナムの国家無形文化遺産として認定されました。

タウナギは田畑や川の泥の中に生息する生き物で、古くから農民の暮らしと結びついてきた食材です。

栄養価が高く、タンパク質やビタミン・ミネラルを豊富に含み、体力回復や滋養強壮に役立つと考えられています。

タウナギは寒性の食材とされるため、ゲアン料理では唐辛子やターメリックなど温性の香辛料を多用してバランスを取ります。こうした辛味と香りが、ゲアン省のうなぎ料理の特徴にも。

ハノイの市場でも生きたタウナギを見かけますし、ミエン・ルオンのお店もたくさんありますが、言ってみれば「ハノイ名物うなぎ春雨」であって、本場とはまた違いそう。

ということで、ハノイにある「ゲアン料理店」という視点でお店を探し、1軒良さそうなところを見つけたので週末に行ってきました。

Quán Lươn Nghệ An Bà Liêm (Map)
ハノイで「ゲアン風うなぎ料理」と言えばよく名前があがる老舗だそうで、メディアにも紹介されています。ご主人はもちろんゲアン省出身。

メインメニューは、うなぎ粥 (Cháo Lươn)、うなぎ春雨 (Miến Lươn)、そしてうなぎスープ (Súp Lươn)。

本場のレシピではうなぎは煮付け (Mềm=ソフト) が多いようですが、ハノイ人の嗜好に合わせ、カリカリに揚げたうなぎ (Giòn=クリスピー) もメニューに加えたのだとか。両方ミックス (Lẫn) もあります。

ミエン単品のお店と違って、うなぎメニューが他にもいろいろ。どれもゲアン料理ということなのでしょう。

この日はお粥 (45,000ドン/270円) とスープ (50,000ドン/300円) をいただきました。ハノイのカリカリうなぎ春雨との違いを味わいたく、どちらもうなぎは煮付けで。Giòn (カリカリ) と指定しなければ、Mềm (ソフト=煮付け) が出てきます。

お粥は正面で食べていたご婦人の器がもっと小ぶりだったのでそれを待っていたら、予想外に大きな器が来ました。たぶん小さいのは常連さんのカスタムオーダー。あれ、うなぎは・・・?

底をかき混ぜたらうなぎが出てきました!香りの強いハーブもたくさん。そして、おもむろにひと口食べようとした、その瞬間でした、「よく混ぜろ」とご主人がひと言 (というかジェスチャー)。

素直にお粥全体が黄色くなるまでよくかき混ぜてから、ようやくひと口。うん、美味しい。ハノイ料理とはスパイスの使い方が違います。ターメリックなのかな。

鰻の蒲焼や穴子の煮付けなど少し甘いものを想像していましたが、この煮付けは程良い醤油味でさほど甘くはない。柔らかく脂ものっていて、お粥との相性は抜群です。

何よりちょっと泥臭いことを覚悟していましたが、そんな臭みは一切なく、なかなか上品な味わいでした。

しかし量が多い・・・。ひとすくいも残さずきれいにいただいた後、スープが食べられるかなとやや心配に。

お粥に続いて出てきたこちらがうなぎスープ。米粉のクレープ的なバインムオット (ハノイで言うバインクオンとたぶん同じ) と一緒に。

スープもターメリックが効いているのか黄色っぽい。うなぎの骨からとった出汁に加え、カレースープを思わせる風味があって、ハノイ料理とは確かに違うことを感じました。それにしてもうなぎたっぷりです、ありがたや。

うなぎ自体が美味しくて、お粥で腹八分目になっていたにもかかわらず、スープもしっかり平らげてしまいました。バインムオットはスープにつけて食べるとムッチリ・チュルチュルした食感、口の中が魅惑的な感覚で満たされ、実に美味しかったです。

結論、ハノイのミエン・ルオン (カリカリうなぎ春雨) も悪くはないけれど、やはり本場のレシピでいただくうなぎは格別でした。ゲアン省に行って食べたらまたさらに美味しいんだろうなあ。