A Dog's World 

~海外で暮らす・日々の記録・旅の記憶~   

世界で最も裕福な王室は?(2022年版)

世界で最も裕福な王室ランキング、2022年最新版 (1ドル=132円で計算)。登場国はおなじみの国ばかりですが、中東の産油国が軒並み上位になり、一時は世界1位だったタイが6位に後退 (タイは正確な数字を公表していませんが)、

中東のオイルマネー (産油国からの投資) はもう世界のビジネスシーンに欠かすことができません。本当に、中東産油国の王族の賢さには脱帽するばかりです。世界には、天然資源をめぐって国内が分裂する国も多いというのに。

このあたり、なぜ彼らは事を成し得たのか、彼らのビジネスマインドについて過去記事で少し触れたことがありますので、ランキングの下に再録しておきます。(写真はタイ国王の戴冠式)

第10位.リヒテンシュタイン公国
公爵:ハンス・アダム2世
在位:1989年~
資産:44億ドル/5808億円
内訳:銀行、不動産、美術品

第9位.モロッコ王国
国王:ムハンマド6世
在位:1999年~
資産:82億ドル/1兆824億円
内訳:株式投資

第8位.ドバイ首長国
首長:ムハンマド・ビン・ラーシド・アル=マクトゥーム
在位:2006年~
資産:180億ドル/2兆3760億円
内訳:投資 (ダーレースタッド他)、不動産

第7位.ブルネイ・ダルサラーム国
国王:ハサナル・ボルキア
在位:1967年~
資産:280億ドル/3兆6960億円
内訳:原油

第6位.タイ王国
国王:ラーマ10世
在位:2016年~
資産:300億~600億ドル/3兆9600億~7兆9200億円 (推定:正確な数字は機密扱い)
内訳:不動産、投資

第5位.グレートブリテン及び北アイルランド連合王国 (イギリス)
女王:エリザベス2世
在位:1967年~
資産:880億ドル/11兆6160億円
内訳:不動産、投資

第4位.アブダビ首長国
首長:ムハンマド・ビン・ザーイド・アル=ナヒヤーン
在位:2022年~
資産:1500億ドル/19兆8000億円
内訳:原油、不動産

第3位.カタール国
首長:タミーム・ビン・ハマド・アル=サーニー
在位:2013年~
資産:3350億ドル/44兆2200億円
内訳:原油、天然ガス、不動産、投資

第2位.クウェート国
首長:ナワーフ・アル=アフマド・アル=ジャービル・アッ=サバーハ
在位:2020年~
資産:3600億ドル/47兆5200億円
内訳:原油、米国株式投資

第1位.サウジアラビア王国
国王:サルマーン・ビン・アブドゥルアズィーズ
在位:2015年~
資産:1兆4000億ドル/184兆8000億円
内訳:原油、不動産、メディア経営

* * *

アラビア遊牧民=管理民族

「アジア=農耕民族」「ヨーロッパ=狩猟民族」とは良く言われることです。中東に赴任するまでは、なんとなく世界の全ての地域がどちらかに属するものと思っていました。しかし、アラブ人はとてもこの2つにあてはめることはできません。あえて言うならば「管理民族」です。

遊牧民の仕事は、第一にヒツジやラクダの群れを管理することです。草を食べすぎないよう適度に移動し続けること、どこかに行ってしまわないよう常に見張っていること、他者とのテリトリーの調整、間引きや繁殖の調整などなど。

古来、アラブ人は体力を使わずに頭で儲けることが最良という考え方を持っています。つまりビジネスマンですね。実際、シルクロードを使って中世東西世界の物流を担っていたのは、他でもないアラブ・イスラム商人たちでした (他にもキャラバン隊を警護したり通行税を課すなども)。

現代に目を移すと、アラビア湾岸諸国では莫大な石油収入を利用して世界的に投資・投機を進めるとともに、国内においては労働力のほとんどを出稼ぎ労働者でまかなっています。

所得水準の高さから、一般庶民であっても東南アジアからの出稼ぎ人たちを使用人として雇うのは普通ですし、こうして資産や外国人労働者を管理することで快適な生活を享受しているわけです。管理する対象が変わっただけで、本質は昔も今も変わりません。

ただし、まったく何もせずに儲けるのはイスラム教ではいけないことだとされていて、イスラム系の銀行では預金に利子がつきません。そんなところに預ける人っているのかなと、最初は思いました。

サウジアラビアにいた時、一度職場に水を2カートン買って持っていきました。車のトランクから出して職場の玄関に置くと、すぐに受付のサウジ人スタッフが「バングラデシュ人 (職場の労働者) を呼んできてあげる」と声をかけてきました。

車を駐車場に止め、その場に戻ってくると、まだ誰も来ていません。2階の自分のオフィスに運ぶだけですから、わざわざ人を呼ぶほどのことではありませんし、何よりいつ来るかわからない人を待ち続けるよりは、自分で運べばすぐに終わることだと思い、おもむろに水を抱え上げて運びはじめました。

階段を上っている途中、声をかけてくれた人が戻ってきましたが、結局誰も連れてきていなかったので「自分で運ぶからもういいよ」とひと声かけると、彼は私の方をじっと見て小さな声で「ファッラーフ (農民)」とつぶやきました。

農民とはすなわち、頭を使わずに体を使って働く人のことです (そもそも誤解がありますが・・・)。「力自慢の能なし野郎」といったところでしょうか。

「自ら体を動かさずに、国を発展させることができるのか」というテーマは時々サウジ人スタッフと議論しましたが、実際問題、サウジアラビアなど湾岸産油国はそうやって国を発展させてきたわけですから、正直こちらはぐうの音も出ませんでした。

「石油はいつかなくなる」というのがこちらの精一杯の反論でしたが、ある日新聞で「石油埋蔵量はあと160年分」という記事を見てガックリときました。さらに、実はサウジアラビアには他にも金を含めて天然資源の鉱脈が無数にあるそうで、今採掘しないのは市場価格を破壊するだけだからとのことでした。はぁ~、神様って不公平だ・・・。

(元記事:サウジアラビアの生活まとめ1/管理民族)