A Dog's World 

~海外で暮らす・日々の記録・旅の記憶~   

タイのコーヒー

実はタイに来るまで知らなかったのですが、タイにも国産コーヒーがあります。北部国境地帯、ケシ栽培が公然と行われていたゴールデントライアングルの村々に、30年ほど前からコーヒー栽培が導入され、それがうまく根付いたのだそうです。今ではケシ栽培を行う農家はいません。また、コーヒーの品質も世界的に認められています。

Roots Coffee

トンロー通りにあるRoots Coffeeも、バンコクで国産コーヒーを楽しむことができるカフェのひとつ。今日は2種類、Nui and AoyとChang Paoをいただきました。Nui and Aoyはヌガーの香り(ナッツっぽい)と桃のような酸味が効いた飲みやすいコーヒー。Chang Paoはブラックカラント(カシス)やブラックベリー(キイチゴ)のようなフルーティーで華やかな香りと鮮やかな酸味が特徴的でした(説明書きにそう書いてあるので・・・ ^^;)。もともと酸味のあるコーヒーが好きなので、ふたつとも悪くなかったです。

コーヒーの淹れ方も丁寧でした。豆は重さで小分けされていて、まずお皿にあけて目視で悪い豆は取り除きます。フィルター用の細かさに挽き、ドリップ容器とカップをお湯で温め、お湯の温度を豆の種類に合わせ、決められた抽出時間できっちり淹れます。もちろんハンドドリップ。これが目の前で行われるので、それを見ているのも楽しかったです。

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Phil Coffee

翌日、またひとつタイの国産コーヒーをいただきました。Phil CoffeeというカフェでBaan Mai Pattanaというものを。これも北部産で、プルーン、チョコレート、シナモンの香りが感じられます。

酸味が強く苦味やコクがあまり感じられないのは、昨日のもそうでしたが、豆が浅煎りだからですね。タイ北部のコーヒー豆は浅煎りが一番合っているのでしょうか。

個人的にはエチオピアコーヒーのように深く煎っても酸味が消えないものが理想なので、いまのところタイ産の豆はもう少し物足りないですね。どこかに理想の豆はあるのかな。

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さらにタイ国産コーヒー。むしろこのふたつがメジャーどころのようです。

Doi Tung (ドイトン)

タイ最北部、ミャンマーとの国境近くの村のコーヒー豆。香りはこれまで飲んだタイコーヒーの中で一番スムーズに鼻に入ってくるようなナッツ系の滑らかな香りで、栗のような香りも感じました。一般的にはコクと苦味が中心と言われていますが、この時飲んだものはけっこうフルーティーな酸味がありました。ややスパイシーさも。かなり浅煎りなのかな。これも美味しいんだけれどお店で豆を買うには至りませんでした。販売用はピーベリーと普通の豆があります。お店で飲んだものは普通の豆にピーベリーも混ざっているもので、だから美味しいんだよと店員が言っていました。

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Doi Chaang (ドイチャン)

自分が飲んだタイコーヒーとしては初めてあまり酸味のないものでした。苦味・酸味・甘味のどれもひかえめで、上品と言えばそうだけれど、どこかとらえようのない味。余韻を楽しむコーヒーなのか。店内が改装中のため軒下で店主に話を聞きながらいただきました。販売用の豆をいくつか見せてくれましたが、お店で飲んだコーヒーは少し深煎りとのこと。この豆は煎ったばかりだからまた後で来てくれたらもっと豆の味が落ち着いて美味しくなるよと言われました。デリケートなんですね。

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さて、タイの国産コーヒーをいくつか飲んできましたが、心から納得いくものにはまだ出会っていません。どこも浅煎りで薄めに淹れるパターンが多く、これがタイの豆には一番良いやり方と言われればそれまでですが、ちょっと自分の嗜好には合わない感じで。

今日行ったエカマイのカフェ。それなりに評価は高いお店です。残念ながらタイ国産豆はなく、ならばと飲み慣れたエチオピアのイルガチェフェをオーダー。見ていると豆の軽量からドリップまでとても丁寧に淹れています。

しかしテーブルに運ばれてきたものは、「ウソでしょ?!」というようなものでした。見て分かる通り色が薄く、だいぶ浅煎りのよう。浅煎りならどんな豆でもだいたい酸味があるし花とか柑橘系の香り、あるいは青っぽいナッツのような風味は出ます。この1杯もそんな感じ。

エチオピアの豆は、深煎りしてもなおレモンフレーバーとも言われるコクのある酸味が特徴。エチオピア勤務時代、イルガチェフェにも何度か出かけて安いけれど美味しいコーヒーをたくさんいただきました(現地で飲むのは輸出できない2級品の豆ですが)。

それを思うとこれはさすがにちょっと違うのかなと。お店で焙煎しているのかなと思いますが、イルガチェフェの豆の力を理解しているとは到底思えません。ジャカルタで飲んだイルガチェフェはまさしく正統な味だったので、これはやはりコーヒーと向き合ってきた年月の差なのか。

1杯160バーツ(550円)もしたので余計ショックが大きかったのでした。

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