A Dog's World 

~海外で暮らす・日々の記録・旅の記憶~   

敵の敵は味方@中東

イスラエルのイラン空爆に対して、多くのイスラム国家が公式に非難を表明しているものの、特にサウジアラビア、アラブ首長国連邦 (UAE)、ヨルダン、トルコといったスンニー派主導の国々の多くは、実際にはイスラエルの行動を密かに支持していると言われています。

これらの国々は、イスラム教シーア派国家であるイランを、特にその核開発やシーア派民兵への支援をめぐって、長年にわたる地域的脅威と見なしているからです。

歴史的にスンニー派とシーア派に分断されてきたアラビア湾岸諸国の多くは、イランに対抗するために軍事・情報同盟を形成し、イスラエルとも間接的に協力しています。

イスラエルによる最近のイラン核施設への攻撃は、地域的覇権と経済の多様化 (地域情勢の安定化が不可欠)を目指すスンニー派諸国の利益と一致しているというわけです。

反イスラエルの公的なレトリックは主に国内向けや外交的理由によるものであり、裏ではサウジアラビアのような国々がイランの影響力を弱体化させる行動を、助長または歓迎しています。

これらの国々が、イラン政権が弱体化した後にイスラム世界での指導的地位を確固たるものにしたいことは言わずもがなでしょう。

一方、イラン国民は、1979年のイラン革命以来、厳しい宗教的制約のもとで自由を奪われ生きてきました。

そのため、イスラエルの攻撃により結果としてイランの聖職者による支配の終焉が来るのであれば、多くの民は喜ぶだろうとも言われています。

次の写真は、女性のブルカ着用を禁止している国のリストです。アフガニスタンとイランだけは、ブルカ着用を法で義務化しています。

ウズベキスタンもブルカ禁止国に入っていますが、外出時に人物 (の顔) が特定できなくなるような衣類や長い顎髭は法令で禁止されています (厳密に言えばマスク着用も医師の診断書の所持が必要)。

ウズベキスタンの場合、どちらかと言えば宗教色を排除したい政府と、より信仰を強めたい国民という、ちょっと逆行した流れがあります。旧ソ連時代、共産主義により信仰を否定されていたことに対する反動なのでしょうか。

今後の中東情勢は、一体どうなっていくのでしょう。アメリカもどう出るか。当面はますます混迷を深めるばかりですね。

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在留邦人のイラン脱出のニュースを見ると、湾岸戦争当時のことを思い出します。忘れられない出来事のひとつ。