A Dog's World 

~海外で暮らす・日々の記録・旅の記憶~   

雑感:ガザ人質のニュースから

いつ終わるとも知れないガザの人質ニュースから、昔あれこれ考えたことを思い出しました。

海外赴任の前は同時期の該当者が集められ、会社の研修を受けることになっています。新型コロナ以降は完全オンラインですが、以前は東京の研修所に集まっていました。

自分は何度も研修に参加していますが、コースメニューには英語研修 (語学力向上) もあり、講師によって学習方法・教材は様々でした。

中でも記憶に残っているのが、ネゴシエーション上達を謳い、犯罪が多発している国という設定で、あるシチュエーションをやってみようというものでした。

まずはクラスが3グループ、「警察」「誘拐犯」「誘拐された人の家族」に分けられました。

授業はそれぞれのグループがそれぞれの立場で主張しあい (全部英語)、10分ほどで役割を交代していくというものでした。

あくまで英語を話すことが目的であり、話の内容にそこまでガチ感は求められませんでしたが、当時は頭がクラクラしながらなんとか言葉を絞り出したものです。

自分は誘拐犯の時は警察に対し「我々国民が貧しいのは悪政のせい、我々は国の犠牲者であり、国が我々を誘拐犯にした」と主張。

警察の時は「誘拐ビジネスは断ち切らなければならない」と犯人に告げ、家族には「だから身代金の支払いはさせない」と命じました。

家族の時は「数百万円で家族の命が助かるならそれでいい」と政府を非難しました。家族の無事が最優先であり、誘拐犯には「気持ちはわかる」とすら伝えました。

まあこんな感じでクラスのみんながなんとか授業を乗り切ったわけです。自分の発言はちょっと犯人寄りではなかったかと、最後に軽くツッコミが入りました。

ある人は警察に扮した時「警察では対処できないので政府上層部に進言する」というなかなか鮮やかな切り返しを見せていました。時間稼ぎも有効ですからね。

* * *

ガザの人質については、結局イスラエルにハマスを攻撃する口実を与えているだけのような気がします。国内政治的に止め時がわからなくなっている可能性も。

さすがに最近は世界でも反イスラエルの論調が高まっていますが、イスラエル国民にしてみたら、政府の毅然とした態度は評価するという意識なのではないでしょうか。

あの地域は「大義のためなら個人の犠牲はやむを得ない」と考えざるを得なかった歴史がありますからね。殉教精神もあるし。

話せばわかるといったぬるい価値観はありません。政治的解決と言ったって、少しでも不満が残ればどうせまた再燃します。

結局はどちらがより強いパワーを持っているかだし、イスラエルの後ろには大国アメリカが控えています。

また、ヨーロッパには反ユダヤ主義への悔恨があり、昨今のイスラム系移民との確執やテロ事件などは、イスラムに対するシンパシーを高めにくくしているかと。

ロシアvsウクライナに対する一枚岩の対応にくらべて、イスラエルvsパレスチナは各国首脳の反応もまちまちな気がします。

それにしても、いつも苦しむのは弱者たる一般市民という。。メッカ巡礼も始まったし、とにかく一旦休戦してほしいですね。

ちなみに、2024年のウズベキスタンからの巡礼者数は15,130人になる見込みです。受入れ人数は、毎年各国とサウジアラビア政府の間で取り決められます。

政治的に揉めると人数が削減される恐れもあるわけです。たしかイランに対しそんな事例があったような。こうなると強力な外交ツールですね。

もちろんサウジアラビア政府は、政治と宗教は分けて考える大人の対応を見せるのが常ですが。(写真はウズベキスタンからの巡礼者/ローカルニュースより)