A Dog's World 

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マスク着用は要注意@ウズベキスタン

2023年2月末、ウズベキスタンにやって来ましたが、当時の自分は外出時のマスクが習慣になっていたので、赴任したての頃はずっとマスクを着けていました。

しかし地下鉄でも周囲のウズベキスタン人は本当に誰一人マスクを着けておらず、あまりにも違和感があったため (不審者っぽい・・)、2週間ほどで自分もマスクをやめることにしました。

季節的にまだ寒かったこともあり、マスクを外して生活を始めたら、案の定すぐに風邪をひいてしまいましたが、まあそれも仕方ないなと。新型コロナでないことを祈りつつ。

タシケントは道路工事や建設工事が多く、空気が乾燥しているため埃っぽい町です。自分は花粉症もあるので、その後もマスクをつけて外出することはよくありました。

そんな中、先日、興味深い記事を読みました。実はウズベキスタン、医療目的など理由がないと、外出時のマスクの着用は禁止 (罰金) なんだそうです。

公共の場で顔を隠す行為が問題とのこと。マスク着用も、厳密には医療機関の証明書などが必要になります。知りませんでした。。

以下、記事の簡単な翻訳です (抜粋、一部意訳)。

ウズベキスタンにおける宗教と世俗的統治の綱渡り

8月初旬の昼下がり、41歳のシングルマザーがタシケント市ザンギオタ地区のスーパーに向かっていたところ、突然警察に呼び止められ、身分証明書の提示を求められた。

ヘッドスカーフを着けマスクをしていた彼女は、近くの家具工場で働いており、工場の空気が埃っぽいためマスクを常に着用していると説明し、また、急いでいたためマスクを外すのを忘れてしまったことを謝罪した。

身分証明書やマスク着用に関する医療証明書を提示できなかった彼女は、数日後、行政法第184.4条に基づき起訴された。この法律は、個人の識別を困難にする (顔を覆い隠す等の) 状態で公共の場に現れることを禁止し、違反者に対し罰金 (270~540ドル) を科すものである。

公判では、彼女の状況 (シングルマザーであること、困難な経済状況、クリーンな法的記録) が考慮され、裁判官は寛容な判決を下し、罰金を135ドルに減額した。この法律の下で起訴された人数は、この1年で800人に達している。

ウズベキスタンは、94%がイスラム教徒である (人口3700万人)。国民はソビエト時代以前から続いてきたイスラムの遺産に誇りを持っており、それは国家建設にも重要な役割を果たしてきた。

しかしウズベキスタン政府は、国際的な法的基準に沿った世俗国家の構築を目指し、宗教のナラティブと実践に対しては厳格な管理を行っている。

2021年には、公共の場で礼拝用の衣服 (※身体をすっぽり覆い隠す服) を着用することに対する行政的な罰則 (行政法第184.1条) の廃止が決定された (※実際の廃止には2年を費やした)。

しかしその代わりに、「公共の場で個人の識別が妨げられる状況」に対処する行政法第184.4条が新たに承認されたのである。

この条項には、必要性が確認できる証明書を持っている場合の医療マスクの着用や、交通や職場での安全のためのヘッドギア着用などの例外が含まれる。

この新しい条項に基づいて起訴された市民の数は、2024年初頭の月に数件から、6月には200件にまで増加した。

起訴された人々のほとんどは女性で、個々の詳細は公開されていないものの、一部は個人の宗教的信念に基づいて顔をマスクやニカブで覆っていた女性に関連している可能性がある。

また、報告された違反のうち52.7%がアンディジャンで発生していることも注目に値する。この高い発生率は、アンディジャンが他の地域と比べてより強い宗教性があることが影響している可能性がある。

2023年、法律が承認される2か月前に、ウズベキスタンのグランドムフティ (最高イスラム法官) は、イスラムの実践、特に服装や外見において節度を保つ (過度に覆い隠さない、アラブを模倣して黒い服に身を包まない) よう呼びかけ、中央アジアのイスラム教徒の大多数が従うハナフィ学派では、女性は顔や手足を覆う必要はないと、あらためて布告した。

グランドムフティはまた、男性に対してひげを整えるよう促した。預言者やハナフィ学派のウラマー (イスラム法学者) の多くの指示では、ひげは1カブザ (手のひらの幅) を超えてはならず整えておくべきだと推奨されていることと、手入れされていないひげが「顔を覆い隠すもの」と判断されるからである。

「新しいウズベキスタン」では、ミルジヨエフ大統領の緩やかな統治の下で、イスラムの規範により積極的に従う人々が目立ち、時には公式の国家解釈とは異なる方法で、個人の宗教的表現が行われている。

これは、(旧体制とは異なり) 信仰の自由がより高次で保証されているが故であろう。行政法第184.4条は、(表向きは治安上の問題としているが) 宗教の実践はプライベートな領域 (心の中) に留めるべきであるという、国民へのメッセージである。

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以上、こんな記事を読んでしまったので、次からはマスクをするのも慎重にならなくてはなと、ちょっと怖くなったのでした。

なお、ウズベキスタンを訪れる日本人観光客は相変わらずマスク着用率が高いですが、さすがにはっきり観光客と分かる場合は、たぶん問題ないです。

次の写真は戦勝記念日のビクトリーパークの様子。スカーフで髪を隠す女性はそれなりにいますが、さすがに顔を隠している女性はいませんでした。