これまで各国の鶏料理、豚料理を紹介しました (⇒鶏料理、豚料理)。それぞれ日本の料理はいちいち写真付きでは紹介しませんでしたが、鶏については「日本の鶏料理で一番美味しいのはホテイの焼き鳥缶詰かも」などと、少々とち狂ったことを。
豚の方はもう少し真剣にあれこれ考えを巡らせたところ、自分が一番美味しいと思うのはカツ丼かなあという、なんとなくの結論に。
当然異論はあるにせよ、「日本の豚料理で一番美味しいのはカツ丼」という主張こ対しては、賛同の声も多いのではないでしょうか。
他にもいろいろ対抗馬を考えました。その筆頭はトンカツ。次いで角煮、トンテキ、生姜焼き。さらに豚汁、豚足、もつ煮込みなど。
トンカツもたしかに美味しいですし、豚料理ナンバー1に推す人も多いのはわかります。ただ、トンカツはやや大人向けの料理なのかなと。
その点カツ丼は、子供から大人まで、いや、子供から老人まで美味しく食べられる、かなり完璧な一品ではないでしょうか。
サクサクに揚がったトンカツを甘辛いタレで少し煮込み卵でとじたら、ホカホカの丼ご飯にサッと載せれば完成。
豚の脂の旨味と衣の香ばしさ、甘辛いタレが染み込んだ衣は全体ジュワッとかすかにサクッと嬉しいダブル食感、こちらもタレが染み込んだご飯と一緒に頬張れば、あとは丼の底が見えるまで、我を忘れてかき込むだけです。
トンカツだとこうは行きません。選択肢あるいは考えることが多すぎます。まず、ソースか塩か。ソースにしてもどれくらいつけるのがベストか。練り辛子の量はあれで合っているのか。
ご飯と一緒に食べるペース配分も必要です。トンカツひと切れでどれくらいご飯を食べればちょうどいいのか。トンカツだけで食べてもいいのか。いつもちょっと迷います。
キャベツを食べるタイミングも難しい。カツを食べ進めるペースに応じて少しづつ食べるのか、最初あるいは最後にまとめて食べるのか。つい迷い箸になりがちです。
くらべてカツ丼は、もうそのまま食べるだけです。カツをひと切れガブリ、露出したご飯部分をパクリ。カツが余る、ご飯だけ余る、そういう心配はほぼないでしょう。
タレの味が濃い目の場合、ご飯だけ先になくなってしまうこともありますが、その時はタレが染みたカツだけを食べるという、サプライズ的なプチ贅沢が待っています。
トンカツだと、ご飯を食べきった後にカツだけ頬張っていた場合、それはそういう計算をした上で、前半やや無理したヤツだと思われがちです。(←被害妄想)
「カツ:ご飯」の理想バランスを無視し、最初は「ご飯過多」で突っ走ることで初めて、最後にカツだけ食べるというプチ贅沢が許されるわけです。
カツ丼で余るカツは不可抗力、トンカツで余るカツは計算・あざとさ・したたかさ、あるいはその真逆でペース配分の欠如、であるわけです。(←完全に被害妄想)
まあそんなわけでカツ丼推しの自分ですが、カツ丼と言えども味付けに多少は違いがあります。どれくらい甘いか、しょっぱいか。(※ソースカツ丼などのバリエーションは除外)
最近驚いたのが、甘くないカツ丼。カツ丼と言えば誰もが想像するあの甘辛いタレが特徴的です。だからこそ、子供から大人まで美味しくいただけるわけで。
このタレがまったく甘くない場合、出汁の旨味とキリッとした醤油の味でまとめられていた場合、これって一体どうなんでしょう。
自分は、十分美味しいと思いつつ、予想外だったこともあり、どこか物足りなさを感じてしまいました。
きっと、大人味なんですね。大人は十分美味しいと思える、食通ならむしろこちらを好む人も多そうな、そんな味わい。大人のカツ丼。
実はそのお店、ChatGPTに「日本一美味しいカツ丼のお店は?」と聞いて、返ってきた答えが東京のお店だったため、「静岡に類似店は?」と更問いして得た答えでした。
まあ美味しかったんですけどね。でも子供がこれを食べたら、きっとそれほどでもなさそう、そんな風に思いました。自分には、この味は早すぎたのかもしれません。
日本料理が砂糖を使いすぎることは前々から感じていました。東南アジアは別にして、中東も中央アジアも、料理にここまで砂糖を使うことはありませんから。
日本料理の場合、ある程度甘い方がご馳走感が出るのも事実ですし、カツ丼に至ってはまさにそう。これまでは甘辛いタレが当然と思っていました。
今回、甘くないカツ丼をいただいて、視界がひとつ開けた気分です。他にもそんなお店を探してみようかな。ていうか、ChatGPTが言っていた荻窪のお店、行ってみるか。
写真で味はわかりませんが、これまで食べたカツ丼を3パターン (ぜんぶ静岡)。
・甘くないカツ丼
・甘いカツ丼
・蕎麦屋のカツ丼
自分は結局、蕎麦屋のカツ丼が一番好きなのかも。王道の、甘辛い味付けだし。