A Dog's World 

~海外で暮らす・日々の記録・旅の記憶~   

ウズベキスタンにもあった『奇跡の泉』

ベシュバルマクを食べるため訪れた「チャシュマ (Chashma)」というお店 (⇒コチラ)。チャシュマって現地語でどういう意味なのかなと思い調べていくうちに、「チャシュマ・コンプレックス (Chashma Complex)」なるものを知るところとなりました。

チャシュマ・コンプレックスは、ウズベキスタンのナボイ州 (Navoiy) の地方都市ヌロタ (Nurota) にある、泉 (チャシュマ) を中心とした複合宗教施設です (Map)。町の歴史は古く、アレクサンドロス3世 (アレキサンダー大王) 時代の紀元前327年には、ヌル (ヌール) という名で登場しています。

これは、数千年前 (一説には4万年前)、光 (ヌール) を放ちながら落下した隕石によって開けられた穴から水が湧き出し、そこに集落ができていったことからその名になったと言われています。

乾燥地帯が広がる中央アジアでは、このような枯れることのない泉はとても貴重。アレクサンドロス3世はここに要塞を築き、給水システムを作り上げました。さらにこの泉の水は、あらゆる病を治癒すると信じられ、多くの人々を集めるようにもなりました。

10世紀の歴史書には、預言者ムハンマドを実際に見た人たちの遺骨がここに埋葬されていることから、多くのムスリムの巡礼者がそうした先達の聖墓を訪れていると記されています。今や、中央アジアで最も訪れられるムスリムの聖地のひとつだそうです。

施設は、泉、 モスク、ハマム、墓地などの複合体です。それぞれの建設年代は1000年前のものもあれば、20世紀のものも。研究によれば、泉の水は19.5℃を保ち、金、銀、ヨウ素、臭素など15種類のミネラルが含まれるそう。

透明な水が湧き出る泉にはマリンカ (スノートラウト) が生息していますが、神聖な魚であり、これを捕まえて食べると、身体に毒であると言われています。

施設の近くにはハルメル (Peganum harmala) が自生しています。これを燃やすと空間が浄化されると信じられ、また巡礼者はこの植物にリボンを結び、健康を願うのだそうです。

ナボイはタシケントから高速鉄道 (アフロシヨブ) で行けるので、そこから足をのばしチャシュマにもいつか行ってみたいです。でも宿泊は手前のサマルカンドか、その先のブハラの方がいいのかな。