A Dog's World 

~海外で暮らす・日々の記録・旅の記憶~   

アラビアン・サイドライト(1)

サウジアラビア現地紙 Arab News の囲み記事「サイドライト (Sidelight)」より。(サウジアラビア滞在中に書いた投稿を再掲、ブログ引っ越しの際に削除していたもの)

結婚

マリッジブルー
サウジアラビアの西の都ジェッダで、花嫁が花婿を訴える事件が起こりました。そのカップルの結婚式当日、予定の時間になっても花婿が姿を現さなかったためです。あわてた親族は花婿を必死に捜しましたが、携帯電話の電源も切られ、まったく行方がわかりません。数時間後、花婿がようやく会場に姿を現した時には、すでにゲストはすべて帰ってしまった後でした。花婿は「わからない、急に怖くなったんだ」とつぶやくばかり。怒った花嫁は婚約を解消すると同時に、名誉を傷つけられたとして裁判を起こし、現在係争中だそうです。

第二夫人募集中
ダンマンで、新婚1ヶ月の妻が、夫のために第二夫人をさがしています。夫は早期定年退職したばかり。さぞ甘い新婚生活と思いきや、夫は四六時中家にいて妻のすることにいちいちケチをつけるため、妻は鬱陶しくてたまりません。1ヶ月後、ついに音をあげた妻は、夫に第二夫人をさがすことを決心しました。夫の目を他に向けるにはそれしかないと考えたからです。一夫多妻制のサウジアラビアならではのアイデアでした。それにしても、サウジアラビア人にとって結婚て何なんでしょう。

魔法の言葉
ダンマンに住むある男性が、妻がシートベルトをしなかったことから離婚の危機を迎えています。その日、車中で夫が妻にシートベルトをするよう言ったところ、妻は頑として拒否。その上、「私がシートベルトをしなかったらあなたが警察につかまるんでしょう。そうなればいいわ!」と憎々しい台詞を吐きました。熱くなった二人はしばらく口論を続け、業を煮やした夫はついに言ってはいけないあの「魔法の言葉」を口に出してしまいました。「離婚だ!」夫がそう叫ぶと妻はあっさりと了承、あっという間に実家に帰って行きました。その後、すっかり意気消沈した夫は、あの時叫んだ言葉が法的に有効かどうか、弁護士に相談しているそうです。

結婚式のドタバタ
リヤドで開かれたある結婚式の最中、息子を殴りつけ式をメチャクチャにした父親がいます。花婿の父は、その結婚を心から望んでいました。花嫁は省庁に勤務する才媛で、花婿の実のいとこです。まさに申し分ない縁談でした。息子は内心嫌だったものの、父に逆らうことなく当日まで準備を進めてきました。ところが式の最中、急に怖じ気づいた花婿は、いきなり「結婚を止める!」と招待客で満たされたホール中に響く大きな声で叫んだのです。驚いた父親は息子に殴りかかり、それは客が二人に割って入るまで続きました。この結婚、はたしてどうなったんでしょう。

結婚式よりもサッカー
彼の結婚式の晩は、アルナスル対ヒラールという因縁のサッカーチームの対決が予定されていました。このままでは誰も友人たちが披露宴に来てくれないと考えた花婿は、会場の大広間に巨大テレビスクリーンをセットすることにしました。結婚式当日、披露宴会場は祝福と応援の声が響き渡ったそうです。

ミスヤール婚
ジェッダに住むある男性が、ミスヤール婚で結婚してわずか14日目に妻を亡くし、その結果遺産として200万リヤル (5600万円) を手にしました。ミスヤール婚は妻が夫と一緒に住んだり婚資金を得る権利を放棄する特殊な結婚形態です。往々にして、夫が現在の妻の代わりに「都合の良い」妻を得るために使われます。彼は40代の妻にプロポーズし、婚姻の契約を結びました。しかしその妻がすぐに亡くなり、他に身寄りがなかったため、すべての遺産が転がり込んだというわけです。(⇒ミスヤール婚/サウジアラビアのイスラーム)

若者

正直者は・・・
キングアブドゥルアズィーズ大学で行われた期末試験の最中、あるクラスで問題用紙に加え解答が書かれた紙まで配ってしまうというミスがありました。それを受け取った生徒たちは誰一人としてそのことを言わず、何事もなかったかのように回答を書き写していきました。教授がそれに気付いたのは試験終了のわずか数分前。当然、その試験は無効となりましたが、ある意味クラスの団結は固かった!?

次は服の着こなしを
エジプトの大学に留学していたサウジ人学生が、クラスメートのエジプト人に替え玉受験をやってくれないかともちかけました。そのサウジ人にとってコーランの試験は頭痛のタネでしたが、エジプト人の友人にとってはコーランの暗記は人生そのものであり、すでにほとんど暗記していたのです。サウジ人はエジプト人に飛行機のチケットと礼金を渡し、一緒にサウジアラビアに戻ってきました。もちろん、サウジアラビア方言を万全にしてからです。しかし、そのエジプト人はサウジ流の服の着こなし方をもっとちゃんと習うべきでした。彼の出で立ちがどこかおかしかったため、試験会場の入り口でガードマンに不審がられ、中に入ることを止められてしまったのです。そしてその場で詰問されると、あっさりと受験者本人ではないことを白状してしまいました。

厳罰
リヤド近郊のニアリヤ地区では、命知らずの若者たちが夜な夜な暴走行為を繰り返しています。親に買ってもらった車を、ドリフト走行やスタントマン並みの無謀運転で派手に壊していくなんて、さぞかし楽しいことでしょう。しかしこんな輩を、当局が野放しにしておくわけありません。暴走行為の取り締まりには厳罰をもって対処しています。その厳罰とは「坊主」。こうした若者は、反体制の気概を示すため長髪であることに強いこだわりを持っています。それをバッサリ切られ坊主にされることは、彼らにとってはこれ以上ないほどの屈辱と言われています。

黄昏時

知らぬは自分ばかり
幸せな結婚生活を60年間続けてきた男性が、息子と一緒に市役所までIDカードを受け取りに出かけました。するとそこで思わぬことを聞かされ、ひどく狼狽することになりました。なんと、妻とはすでに17年前に離婚していたことになっていたのです。父親を問い詰める息子と、事態がまったく飲み込めない父親。窓口にたずねても「明日来い」というお決まりの返答のみ。未だ真相はわからないままです。

幻の大金
マディーナのある雑貨屋に、二人の貧しい少年が入っていきました。そして中にいた年輩の店主に、いかに自分たちが不幸で悲惨な生活を続けているかを語りました。すると、店主は金庫を開け、彼が生涯をかけてため込んだ30万リヤル (900万円) をポンと少年に渡してしまったのです。しばらく時間がたった後に、店主は金庫からお金が消えていることを発見し、警察に駆け込み大声でまくし立てました。あの金はあげたくてあげたんじゃない、自分は病気のせいで正気を失っていたんだと。しかし店主をよく知る近所の住人は、「最初からそんな金なんてないんだよ。もう長いことボケてんだ、あのじいさん」と冷ややかに言い捨てました。

夫婦喧嘩
ヤンブーに住む95才の夫が、81才の妻に離婚を宣言しました。ケガをしている足を妻にマッサージしてもらおうと頼んだら、きっぱりと断られてしまったことに腹を立てたからです。妻にしてみたら、自分こそ誰かに看護してもらいたいのに、誰かにマッサージなんてとてもできないというのが言い分でした。この夫婦は息子夫婦や孫たちと同じ家に住んでおり、今は階を別々にして「別居中」だそうです。

親の想い

固い絆
ラッスの町のある産院に、生まれたばかりの娘と我が身をチェーンで結びつけた母親がいます。その産院は過去に赤ちゃんの取り違えや誘拐事件が起こっていたため、疑心暗鬼になった母親は、二人の手首をチェーンでつなぐことにしました。見舞いに訪れた知人はみんなその光景にギョッとするのですが、母親は安堵の表情を浮かべているそうです。

ダメ息子
マディーナに住むある母親が、3人の息子にタバコをやめさせようと口うるさく言い続けてきました。しかし息子たちはいっこうに禁煙しようとしません。母親は一計を案じ、1年間禁煙できたら2万リヤル (60万円) あげると言ってみました。証人は息子たちの子供、母親にとってはかわいい孫たちです。今のところ、息子たちは禁煙を続けているようです。まさに現金な人たち。

容赦なし
マディーナに住む羊飼いの男性が、実の子供を窃盗罪で訴えました。16才になる息子が友人二人とともに、男性が所有するヒツジを2頭盗んだからです。少年たちはヒツジを1000リヤル (3万円) で売っていたそうです。

孝行息子
サウジアラビアのアシュカル村で、10才の少年が11才になる実のいとこと結婚しました。この少年は、息子の花婿姿を見たいという両親のたっての願いが無事にかなえられたことを神に感謝する、と新聞のインタビューに答えました。