「UFO少年アブドラジャン (Abdullajon)」は1991年に公開された、ウズベキスタン初のウズベク語SF映画です (作中ロシア語も)。
宇宙人の少年が主人公なのでSFではありますが、全体のトーンはドタバタ人情コメディ。副題に「スティーブン・スピルバーグに捧ぐ」とあって、E.T. なんかを意識しているのかなと。
画作りは30年ほど時代を遡ったような錯覚を覚えるほどレトロなテイストで、それが意図的なのかは別にして、実に味わい深く、カルト的人気を博しているのも納得の作品です。
あらすじ:『ある日、ウズベキスタンのとある村で集会が開かれていた。モスクワからの電報を読み上げる議長。宇宙人を乗せた未確認飛行物体がこちらに向かっているとの内容に半信半疑の村人たち。そんなある日、初老の男バザルバイは奇妙な円盤が墜落する現場を目撃する。近づいてみると、そこには裸の少年が倒れていた』
バザルバイは少年をアブドラジャンと名付け、一緒に暮らし始めます。雨を降らせたり作物を巨大にしたり、コルホーズ (集団農場) で数々の奇跡 (珍現象) を起こしてみせる少年ですが、村人はその正体を知りません。
そんな中、村に異星人がいることを予測していた軍が、ついに動きました。バザルバイの妻は隠していた通信機を少年に渡すと、少年はUFOを呼び寄せ旅立っていくのでした。
別れのシーンはちょっとグッときました。Wikipediaでストーリーはわかっていたものの、ウズベク語はちんぷんかんぷん。それでもなお、バザルバイ夫妻の感情がよく伝わってくるのでした。
当時のウズベキスタンの田園風景や暮らしぶりが垣間見られるし、AmazonでDVDが買えるようなので、日本語字幕でちゃんと観たいなと思いました。