アラビア語のアルファベットは28文字です。このうち15番目の音「ダード」は、口の中でDの音をこもらせて発する特殊な音で、これを正確に発音できるのはネイティブのアラブ人だけであると言われています。
そのため、アラビア語 (ロガ・アラビーヤ) のことを別名 「ダードの言語 (ロガ・ダード)」 と言ったり、アラブ人のことを「ダードを発音する人々 (ナーティクーン・ビッダード)」 などと言う表現が生まれました。
アルファベットの起源は前13世紀のフェニキア文字です。フェニキアは現在のレバノン地域ですね。フェニキア文字は、当時、地中海貿易の商業用語として広まり、やがてヘブライ文字、古代ギリシャ文字、古代ローマ字へと変遷していきました。
フェニキア文字の最初の2文字は「アレフ (牛) 」「ベート (家)」です。だから「アルファベット」なのですね。当時のフェニキアでは人間の財産といえば家畜と住居だったことから、この2文字がトップに来たのでしょう。
ギリシャ語もアルファ、ベータですし、ヘブライ語もアレフ、ベートゥ。アラビア語の最初の3文字はアリフ、バー、ターで、文字の形は異なりますが、並び方の起源は同じなのかもしれません。
※過去記事「諸言語にまつわるエトセトラ」からの抜粋です。