昔はラーメンにしてもつい濃厚なものばかり食べていましたが、ここ数年はそんなコッテリもきつくなってきて、時おり二郎系ラーメンなんかを暴食しつつ、全体的にはあっさりしたラーメンを求めるようになってきました。
静岡にもどってきて、これまで何度もラーメンは食べに行きましたが、その中でもとくに印象に残った、ある意味なんの変哲もない、まさに「こういうのでいいんだよ」的なラーメンを、いくつかご紹介します。
ラーメン ABE's GYOUZAYA
葵区沓谷の、流通センター通りの中ほど、1本裏の行きやすい場所にある、有名店です。まずは「券売機の法則」に従って、左側一番上にボタンがある「中華そば 醤油 (800円)」をオーダー。お店のイチオシメニューのはずです。
無化調スープはひと口めのの驚きや派手さはないものの、舌に優しくじんわりと染み入る美味しさは、なんどもなんどもスープをすすりたくなります。醤油がまた美味しい。本当に、シンプルイズベスト。
ただし、「こういうのでいいんだよ」という一言で片付けてしまっては、少し申し訳ないです。きっとかなりの手間暇かけて、この味にたどり着いたのだろうと、素人ながらそう思えるからです。煮干ラーメンや丸鶏ラーメンなど、他のラーメンも食べてみたくなりました。
ライム軒
駿河区のSBS通りの方にある、開店前から人が並ぶ、人気のお店です。ライムらー麺 (1080円) とライムつけ麺 (1130円) が二大看板商品。どちらも美味しいですが、自分はとくにライムらー麺が美味しかったです。
値段相応の豪華なトッピング (チャーシューと角煮) は別にして、ラーメン単体 (らー麺=830円) で考えると、意外とシンプルな醤油ラーメンなのですが、でもこれがまた美味しいんです。とても丁寧に作られたスープだなと。麺もプルプルでスープがよくからみ、トータルバランスが素晴らしいです。
次はらー麺にしようと思いつつ (一番安くこのお店の真髄を味わえるから)、お肉が美味しいので、結局いつも高いのを選んでしまいます。
湯河原 飯田商店 ららぽーと沼津店
日本一と名高い「らぁ麺 飯田商店」の支店で、ららぽーと沼津店のフードコートに、麺や厨と一風堂に挟まれてあります。湯河原の本店に行くほどの時間も気合いもない自分にとっては、ふらっと立ち寄り飯田商店の片鱗を感じることができる、貴重なお店です。
ただし、レビューを読むとけっこう辛辣なことが書かれていて、自分もある程度覚悟を決めて行きました。そして案の定、「うーん・・・」な結果だったわけですが、醤油らぁ麺 (900円) を食べた感想は、概ね他のレビュアーと同じです。麺が柔らかすぎ、醤油スープがシンプルすぎ、鶏油が多すぎ。
美味しくないわけではないと思いながら、スープも含め完食しましたが (とくにチャーシューは抜群に美味しかった)、その日は夜まで胸焼けがひどかったです (きっと鶏油のせい)。二郎系ラーメンを食べても胸焼けなどしたことないんですけどね。ということで、やはり本店に行けという神のお告げだったのかなと、そう思ったのでした。
中華麺飯店 東仙
ラーメンにおける「こういうのでいいんだよ」は、個人的には、昔食べたシンプルな醤油ラーメンというイメージ。子供の頃、親に連れられて、初めて食べたラーメンは、ラーメン専門店ではなく、町中華のものでした。東仙も、町中華のお店です。
専門店 (ラーメン屋) と町中華のラーメンの、どこが違うかと言われたら、町中華の方がスープがよりシンプルなのかなと。でも基本の出汁はしっかりとっているので、シンプルながら奥深い味をしていると、なんだかそんな気がします。
写真のラーメン (麻婆飯セット 1060円) も、何の変哲もない、普通の醤油ラーメンでしたが、美味しかったです。だからといって、どうしてもまたここのラーメンが食べたいと思うほど、強烈に美味しかったわけではないのですが。
「こういうのでいいんだよ」は、それを求めてわざわざ行くものではなく、何も考えずに食べ終えてから、自然とそう思うものなのかな、という考えに至った今日この頃。
おまけ①:らぁ麺 ここん
コチラで紹介した、クセ煮干しラーメンでおなじみのお店。他のラーメン屋であれこれ食べてみるにつけ、ここの「水出し煮干しかけラーメン (500円)」が、実はもっとも「こういうのでいいんだよ」ラーメンなのかなと、あらためてそう思いました。美味しい上に、値段も安いですから。(結局値段なの?!)
おまけ②:「昔ながら」名付け問題
ラーメンにおける「こういうのでいいんだよ」は、「昔ながら」や「昔なつかし」とかと、ほぼ同義語なんじゃないかなと思います。ただし、商品名にそのものズバリ「昔ながらの中華そば」なんてつけていたりすると、「あれ?これってもしや、コストカットの言い訳?」などとうがった見方をしてしまったりする自分。
写真は「昔なつかしら~めん@一元 (750円)」。スープがシンプルに醤油っぽさを前面に出していて、わざわざ狙ってこの味にしたことがわかります。美味しかったし、あからさまにコストカットしているとも思えませんでしたが、でもやっぱり、自分から「昔なつかし」と言うのは、なんだか違うのかなあと思ったり。自分の記憶をたどる限り、本当に昔のラーメンよりは、ずっと美味しいと思いましたし。
まあでもわざわざまずく (少し味気なく) 作るわけにもいかないし、こういう名前にでもしないと、あえてこれを頼んでみようという人もいないでしょうからね。ここは味噌溶き系ラーメンが主力のお店だし。難しいな。