10月1日からの規制緩和で映画館が再開されました。この2週間で観た映画は6本。もともとタイの映画館はタイ人にとっては高すぎるためかいつもガラガラでしたが (200~260バーツ/800円前後)、相変わらずガラガラなので、ある意味安心して観ることができました。
でもひとつの映画に10人くらいしか入っていないのを見ると辛いですね。規制緩和したからといって即また経済が回りだすというわけでもないんだなと。レストランがプロモーション価格でお客を呼び戻すことにある程度成功しているんだから、映画館もやったらいいのに。と、SF Cinema Cityにケチをつけてみる。
死霊館3 悪魔のせいなら無罪
怖がりのくせにホラー映画が好きで、死霊館シリーズもほぼ観ています。なので、本作も。序盤で法廷モノになるのかなと思ったら、以降はいつもどおりの死霊館でした。「IT」なんかと違って、お化けが物理攻撃を加えてくるようなこともなく、そこはシリーズの矜持を保っていました。
ただ、呪いがあそこまで強力というのもどうなんでしょう。さらに、悪魔に勝つのは愛、という理念もキリスト教圏では根源的な考え方なんでしょうけれど、アジア的な精神風土からしたらやはりちょっと違和感もあったり。前作 (エンフィールド事件) がナチュラルに激コワだったので、今作は多少怖さが軽減。でもヴェラ・ファーミガが大活躍だったので満足です。
スーサイド・スクワッド2 "極"悪党集結
前作も「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒」も観ています。その上での本作、続編なのかスピンオフなのか、はたまた誰が主役なのか、次にどうつなげるのか、ちょっと焦点がぼやけているように感じました。
個性的な面々がそれぞれ活躍したりしなかったり、これぞスーサイド・スクワッドと思う一方、メンバー同士の連帯や友情の描写は明らかに前作の方が優れていると思いました。ハーレイ・クインが一人で空回りしていたように見えたのは残念。性格描写もハーレイ・クインの覚醒から変わってしまったのかな。
世間では評判がいまひとつの前作のジョーカー (ジャレッド・レト) がわりと好きだったので、1作のみで消えてしまったのは残念。でもホアキン・フェニックスのジョーカーを見てしまったら、もうおいそれとは出せないですよね。歴代ジョーカー大集合の映画でも作ればいいのかな。
ブラック・ウィドウ
MCU (マーベル・シネマティック・ユニバース) の映画作品はぜんぶ観ています。予告編では少しコメディ要素やファミリーの絆的な要素が強そうに見えたので、ド派手なアクションはあまり期待せずに観に行きましたが、いやいやどうして、やはりアクションというかCGはすごかったです。
ただ、コロナ禍のソーシャルディスタンスが関係しているんでしょうか、敵のアジトでは登場人物が少なかった (007もそうでした)。スカーレット・ヨハンソンはマーベル作品これで最後なんでしょうか。名残惜しい。でもちゃんと有終の美を飾っていたと思います。
別れがありながらほっこりさせるのも粋な演出。ここで培われた絆というものに対する意識があったからこそ、アベンジャーズ/エンドゲームでの行動につながったんですね。
007 ノー・タイム・トゥ・ダイ
ダニエル・クレイグの007作品は全部観ています (以前のものは「女王陛下の007」以外鑑賞済)。今作はこれまでのダニエル・ボンド作品の世界観からちゃんとつながっていて、ラストにふさわしい作品だったと思います。とくに序盤のカーアクションにはしびれました。
ただ、ダニエル・クレイグにとってはラストといってもジェームス・ボンドがあんな事になってしまうって本当にいいの?、と思わなかったわけでもありません。ちょっと衝撃的でした。そして007シリーズで涙を流しそうになるなんて。
それはさておき、レア・セドゥが良かったです。フランスの俳優という色眼鏡で見ているフシがあるかもしれませんが、表情や佇まいがとても良い。純粋無垢にも見えるしそれでいて妖艶だし、さらには背負っている人生も感じさせるし。とにかく画面に映えますね。
フリー・ガイ
2015年の映画「ピクセル」的な、ゲームの世界と現実世界が交わってしまうような物語がとても好きなので、本作も楽しみにして行きました。ピクセルは地球に別世界から、本作はゲームの世界に現実世界からという違いはありますが、もう楽しくてしょうがなかったです。
マトリックスとかアバターも大好きだし、別の世界でスーパーマンになれるような設定がもともと好きなんですね、自分。そして本作のヒロイン (ジョディ・カマー)、格好良かったです。現実世界の金髪よりゲーム世界の黒髪の方が素敵でした。主役 (ライアン・レイノルズ) と安易に結ばれなかったのも好印象。
シャン・チー
最初は観るのを迷っていましたが、観て正解でした。面白かったです。とくに前半のカンフーアクションは見事。ほぼ銃が出てこないのもハリウッド映画では新鮮。いくらカンフーの達人でも銃撃されたらお終いというジレンマがあるのは別として。
後半はマーベルのSFというよりは異世界ダークファンタジーものっぽかったので、パート1とパート2みたいな印象もありました。後半はヒーローであるシャン・チーの覚醒はあったものの、敵のドラゴンが圧倒的すぎて、戦いの結末もちょっと無理矢理感があったんじゃないかなと。シャン・チーの物語としては親子対決の決着で終わっても良かったような。
あとはシャン・チーとそのガールフレンド、世間でもあれこれ談義されていますが、あのビジュアルはあれで良かったんでしょうか。彼単独のビジュアルのことではなく、あの美男美女カップルの両親から、あんな一重まぶたの息子が生まれるものでしょうか。
「まさかお母さん、整形・・・?」とか思い始めたら映画に集中できませんでした。お父さんは1000年前から顔が同じなので整形疑惑なし。シャン・チーの叔母さん (ミシェール・ヨー) がシャン・チーを見て「お母さんに似ている」と言ったのも疑惑が増幅されました。ま、妄想ですが・・・。
しかしミシェール・ヨーは相変わらずキリッとして素晴らしいアクションでした。グリーン・デスティニーの時とたいしてキレは変わっていないように見えました。お父さん役のトニー・レオンも良かった。極悪人には違いないのですが、その行動には純粋さも垣間見え、ストーリーに説得力を与えていました。主役ももちろんですが、この2人を見るだけでも価値ありでしょう。