A Dog's World 

~海外で暮らす・日々の記録・旅の記憶~   

今すぐ吹ける! ほら貝入門

第一次ほら貝ブーム

いつかトランペットを吹きたいなと思っていたこともあって、トンガのマーケットで、ほら貝を買ってきました (←たぶん原理は同じなので)。貝にはすでに穴が開けられており、店のおじさんはきれいに「プオ~」と鳴らしていました。

念のためにと大小2個のほら貝を買ったまではいいのですが、こちらは超初心者です。まずは友人を訪ねて、吹き方のコツを教えてもらいました。それにしても、金管楽器は言うに及ばず、木管楽器の経験者でさえも、本当にあっさりと音を出しますね。くやしかった。

人差し指と中指で唇の左右を押さえて唇を「ププーー」とふるわす練習に始まって、徐々にほら貝の穴に口をつけてトライしてみたものの、それから3時間、まったく音らしい音が出ず、かなりくじけそうになりました。息のしすぎでフラフラするし。

最終的には、その日のうちに一応音らしい音は出るようになり、そこから精進の日々が始まったわけです。

ほら貝の吹き方・コツ (貝に直接穴を開けたもの)

音を出す原理は金管楽器と同じ
初心者はトランペット用マウスピースで練習するべし
マウスピースで音が出るようになったらほら貝は簡単
ほら貝の穴の位置や貝の表面の凸凹により唇を密着・振動させにくい時は、フィットするよう唇をミリ単位で左右に動かしてみる

ちなみに、こうやって音の出し方をおぼえたら、今回買った大きい方の貝は、穴が大きすぎるのと、開けた位置がとても悪いということがわかりました。ガッカリ。また、もう1個の小さい方も、穴の位置が微妙に良くないです。もう1個買おうかな。とりあえず練習、練習。

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第二次ほら貝ブーム

先月、ほら貝を2個買ったのに続いて、今月初めにもうひとつ、その後、さらに追加で2個買ってしまったわけですが(そのうち2個は帰国する人にプレゼント)、こうして5個の大小様々なほら貝を吹きくらべてみると、穴の大きさや位置によって、確かに吹きやすいものとそうでないものがあることがわかりました。

この中で一番最近買ったほら貝が、びっくりするほど大当たりでした。まずとにかく吹きやすい。これまでの苦労がうそのように、いとも簡単に音が出ました。そしてまたなんとも言えない良い音色をかもしだすので、ついつい小一時間も吹き続けたりしています。

今はどこにどんな風に穴を開ければ良いかわかったので(自分との相性も)、次は見た目の良いほら貝を買って、自分で穴を開けたいなと考えています。最初は冗談ぽく始めたほら貝でしたが、意外と奥が深い世界です。有志を募ってほら貝演奏隊を作りたいなんて思う今日この頃。

穴の開け方 ※トンガのやり方
YouTubeでほら貝 (を吹く) 動画を観てみると、どれもほら貝の根元を切り落として歌口をつけたものばかり。これはこれで理にかなっているのかもしれませんが、せっかくの美しいほら貝の姿がちょっとスポイルされてしまいます。何より、単純にほら貝に穴を開けるだけでいい音が鳴るのですから、これからほら貝を加工しようとする人は、ぜひこちらの方法を試してほしいです。

穴を開ける場所は写真のとおり、根本から3巻き目のところ。貝殻の表面も平らではないので、できれば多少盛り上がっている部分に穴を開けると、唇が当てやすくなります。まずほら貝を買う時に、根本から3巻き目の具合を見て買うといいでしょう。

穴の大きさは、貝の大きさにもよりますが、まずは直径16mmから始めると良いでしょう。自分がほら貝練習用に買ったトランペット用マウスピース・ケリー 5Cのリム内径が16.76mmで、ちょうどいい感じです。

穴がもっと小さくても音は出ますが、たぶん高め弱めの音しか出ないと思います (ほら貝自体が小さい時は穴も小さくていいと思いますが)。しばらくやりこんで (吹いて) みて、音が出にくければ少しずつ穴を広げてみるのも良いでしょう。

貝殻は意外と硬く粘りもあるので、一気にピキッとヒビが入ってしまうことはありません。なので、丁寧に先の細いトンカチでカンカン叩いていけばほどなく穴は開くと思います (電動のカービングツールがあればもっと楽でしょう)。仕上げは棒ヤスリで。

ちなみに写真の大きいほら貝の穴は大きすぎて逆に吹きにくく、小さいほら貝の穴は位置が悪くて唇が当てにくいです。もう少し矢印側の、ふくらんだところに開いていればベスト。

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ほら貝危機一髪!

クリスマス前、休暇を日本で過ごすためトンガを出発しました。トンガはもう国全体がホリデー気分で浮かれており、空港もけっこうなにぎわい。いつにも増してチェックインカウンターが開いているなぁと思っていたのですが、それにしてはなかなか順番が回ってきません。

やっとのことで自分の番になったと思ったら、突然スタッフが「荷物はオークランドまでですね?」と聞いてきました。いやいや、トランジットで1泊するけれど、そのままスルーで成田までお願いしますよできるはずでしょ、と伝えると、あれこれゴニョゴニョ言い訳が。

空港がうるさくてカウンター越しの声が聞き取れなかったので、こちらが身を乗り出して聞いてみると、どうやらコンピューターがダウンしていて、マニュアル (手書き) でチェックインをしているため、乗り継ぎの手続きができないとのこと。

それでは仕方がありません。荷物は一度オークランドで出すことで納得。しかしここで問題が。ニュージーランドといえば検疫がうるさいことで有名です。スーツケースの中身は厳密にいったら持ち込めなさそうなものばかり。もちろんスルーなら問題なかったのですが、はたしてどうなることか・・・。

そうして到着したオークランド空港。入国カードの検疫部分にも「アニマル/アニマルプロダクツ」の項目があり、そこにはしっかり「貝」という文字が。うーん・・・。これは食料としての貝なんだろうか、それとも貝殻もダメなのか、いかにもお土産という見た目ならいいのか、いやいやこっちのはその辺のビーチで拾ってきたものだし・・・。

そんなことを考えながら、ドキドキしつつX線検査機にスーツケースを通すと、突然、明らかに検査官の眼の色が変わりました。そしてひと言、「貝もってるだろ?」 ドキッ! さ、さすがだ・・・。いや、というか、X線検査機の画面はこちらにも丸見えなんですが、そこには何をどうみても明らかにほら貝というシルエットがふたつ、どーんと横たわっていたのでした。

もちろん、ほら貝✕2だけではなくて、高瀬貝✕3、シャコ貝やらなんやらその他小さな貝殻がたくさん、アクセサリーも貝づくし、それらが丸見えもいいとこだったのです。なんだかものすごーく恥ずかしかったです。後ろの客が笑いをこらえていたのは気のせい・・・?

もう没収かなぁと不安になっていたのですが、すかさず検査官は入国カードを見て、「滞在1日?トランジットか?」とたずねてきました。ハイッ!とキビキビ返事をすると、「じゃ、いいや」てな感じですぐにスーツケースをリリースしてくれたのでした。よ、よかった~。

ということで、なんとかほら貝は日本に持っていけるはこびとなりました。で、翌朝の便に乗るため、オークランド1泊。いい季節だなー。しみじみ。

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第三次ほら貝ブーム

昨年から少しずつ買いためてきたほら貝。昨年は5個。今年3月に2個、6月にも1個。笛に加工して知人にあげたものも多いですが、その後は贔屓にしていたお店が閉まったりして、なかなか次の1個に手が出ない日が続いていました。

それが今日、久々に2個もゲット。しかもお値段お手頃、見た目ナイス。1個はいつものマーケットの違うお店で、もう1個はハアモンガアマウイという三石塔の露店で。実はマーケットで買ったほら貝を片手に持ってぶらぶらしていた時、トンガ人から「それいくらで買ったの? 自分もいっぱい持っているよ」 と言われたりして、今日は何だかほら貝づいているなと、ちょっとした予感はありました。

「ほら貝ほしいのか?」 タパクロスが風に飛ばないよう重しとして置かれていた大中小のほら貝をついつい手にとって見ていると、露店の女主人が切り出してきました。ほしい、すごく。でも値段を聞いたら80パアンガ (4千円)。これではヌクアロファと変わりません。別にこんな所で買うこともないかなと、軽く会釈して露店を離れると、しばらく三石塔に見入っていました。

10分ほどして、塔を離れ車に向かおうとしたその時、露店の方をチラッと見ると、件のほら貝を胸に抱えジッとこちらを見つめている女主人がいました。「やだなぁ、売る気まんまんだ・・・」 そう思いつつ足早に通りすぎようとすると、何やら話しかけてきます。

「子どもにクリスマスプレゼントを買ってあげたい。50パアンガでいいから買って」 何度かフレーズが繰り返されました。そこまで言われてしまうと、こちらも断る理由がなくなります。大きなほら貝をしっかり購入すると、意気揚々と三石塔を後にしたのでした。ラッキー?

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(※注:2010~2012年の旧ブログ採録再編集版です)