A Dog's World 

~海外で暮らす・日々の記録・旅の記憶~   

トルコ旅行記

トルココーヒー占い

カタールからイスタンブールに旅行した時のこと。ブルーモスクで時間をつぶしていると、トルコ人に声をかけられました。こちらもヒマだったのでいろいろ話をしていたら、一緒にお昼ごはんを食べることになり (彼のおごり)、そのうち絨毯屋に連れて行かれ、さらに夕方まで雑談を交わしながら、結局絨毯を2枚買うことになりました。

もともと絨毯は買おうと思っていて、逆に1日かけてトルコ絨毯のいろいろなことを勉強できたので彼には感謝なのですが、「こんなにたくさん話した (値切った) 日本人旅行者は初めてだ」と変な意味で感心されてしまい、「明日家でパーティーをやるから来い」ということになりました。「もしかして相場よりだいぶ高いお金を払った?」と一瞬思いましたが、そこは彼なりの感謝の気持ちということにして、ありがたく彼の家を訪ねることにしました。

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次の日の夕方、ホテルに車で迎えに来た彼はこちらの顔をまじまじと眺め、「まずはお風呂、それから床屋で散髪した方がいい」と言ってきました。突然の注文に一瞬戸惑いましたが、トルコ式スチームバスには一度行ってみたかったので、渡りに舟とばかりに二つ返事でOKと伝えました。床屋はどうでもよかったのですが、お風呂の後そちらもだまって連れて行かれることに。

さて、スチームバスでアカスリをしてもらい、続けて彼 (アーメド) と一緒に散髪したあと、いよいよ彼の実家を訪問しました。まずはお母さんと小さい妹さんが出迎えてくれ、「日本人の友達だ」みたいな感じで紹介されました。今日は大きい妹さんの誕生日パーティーで、その人は結婚して別の場所に住んでいるので、夕ご飯が終わった頃に来るとのこと。こちらはこちらでご飯を食べるということで、すぐに食卓に案内されました。

イスタンブールに来てから、毎日トルコ料理の美味しさに感激していたのですが、アーメド家のお母さんの料理もなかなかのものでした。アラブ料理というとつい肉料理を想像してしまいますが、トルコ料理は野菜料理が豊富で、この日もナス、トマト、カリフラワーなどの温かい料理が山盛りで出てきました。メインは挽肉とナスのオーブン焼きで、スパイスがピリッときいていて本当に美味しかったです。

食事の後は、居間に移動してトルココーヒーをいただきました。ここでおばあちゃんが顔を出してきて、昔はジプシーのように国内を転々と移動して生活していた話などをしてくれ (アーメドが通訳してくれた)、その場は大いに盛り上がりました。

急に、「コーヒーは飲み終わったか」と聞かれたので、おばあちゃんに空のップを見せると、「よしきた」という感じで、カップを渡すよう促されました。何のことかと思っておばあちゃんのそぶりを見ていると、カップをソーサーの上にひっくり返し、しばらくしてまたカップを元に戻しました。

トルココーヒーを飲み終わると、カップの底に粉が残ります。それをひっくり返してどんな風にたれるかで、いろいろなことがわかるのだそうです。聞いてみると、おばあちゃんは昔ジプシーの占い師でした。占いの結果は、「あんたは来年結婚する」というものでしたが、それは見事にはずれました。

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アップルティー

トルコには2回旅行に行きましたが、行く先々には常に「アップルティー」がありました。バザールで、絨毯屋で、トルコ風呂で、とにかくいつもアップルティーをすすめられました。ティーといっても実際はリンゴジュースの粉末のようなもので、粉を小さめのガラスのコップに入れ、お湯を注ぐと出来上がりです。甘酸っぱくて、いつ飲んでもほっとする味でした。

どこで飲んでも同じように美味しかったので、最初はブランドがひとつしかないんじゃないかと思っていたのですが、いざお土産屋で買おうとしたらかなりたくさんの種類があって、ちょっと迷ってしまいました。

店内でいろいろ飲みくらべてみるとけっこう味に違いがあり、結局店員がすすめてくれたブランドが「いつもの味」だとわかったので、それを多めに買いました。日本に持ち帰ったりして友人にも飲んでもらいましたが、いまひとつトルコで飲んだときの感動がよみがえりませんでした。トルコという非日常的な空気の中で飲んだからこその美味しさだったのでしょうか。

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ターキッシュバス (トルコ式スチームバス)

初めてイスタンブールに旅行したとき、ブルーモスクでぼんやりと時間をつぶしていたら、よほどヒマそうに見えたのか、現地人に声をかけられました。彼の店で絨毯を買ったり一緒に食事をしたり、安いホテルを紹介してもらったり (ブルーモスクの正面、1泊700円)、結局丸2日にわたって彼と一緒に行動することになりました。

中でも、彼の家に招待されたとき、家に行く前にターキッシュバスに連れて行かれたのはラッキーでした。行きたいとは思っていましたが、なかなかそういうことが1人ではできないタチで、半分あきらめかけていたところに声をかけられたわけです。

そこは、市内から少しはずれたところで、門構えはあまり大きくありません。観光客が行くようなところではなさそうです。入浴料+アカスリで800円だったと記憶しています。トルコの物価とか日本の銭湯にくらべたりしたらけっこう高いのかなと思いました (2人分払ったのかも)。

服を脱いで中に入っていくと、そこはがらんとした広いスペースで、スチームがもうもうと立ちこめていました。真ん中には八角形の大きな大理石の台があって、アカスリはそこに寝転がってやってもらいます。

初老のおじさんが、雑巾のようなものを使ってグイグイと体をこすり始めました。ほどなく、自分でも「え!?」と驚くくらいのアカが出ました。おじさんも時々「ほぉ~」とか「う~ん」とか声を出しています。

もしこのおじさんが日本人のアカスリが初めてだったとしたら、いわば自分が日本代表です。「日本人=アカたっぷり」と認識されてしまったら、それは自分のせい・・・。アカスリのあとは、シャンプーして体を洗い流しました。風呂上がりは全身がポーッと火照って本当に気持ちよかったです。

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トルコのサバサンドとミディエドルマ

初めてのトルコ旅行は、まず食べ物の美味しさに驚きました。行く前はアラブ料理とたいして変わらないだろうと思っていたのですが、毎食何を食べようか迷ってしまうほどバラエティーに富んでいて、かつ美味しい料理ばかりでした。

嬉しい誤算だったのは、新鮮な魚と貝が食べられたことでした。海があるんだから当たり前の話なのですが、トルコはあくまで肉料理主体だと勝手に思いこんでいたのです。特にガラタブリッジのところにある港で売っているサバサンドは、今でも忘れられない味です。

港に浮かべた舟の上でサバを焼き、パンにはさんで売っています。お金を払ってサバサンドを受け取るときに、ヨイショとかがんで手を伸ばすことでさえ、何か特別な儀式のような気がして、「トルコにいるんだなぁ」と勝手に感動していました。

港には大きなバス停があり、常に人でにぎわっています。そんな人たちのために、ワゴンで貝ご飯が売られていました。ムール貝にピラフが詰められた「ミディエドルマ」という名物料理で、注文すると売り子がパカッと貝殻を開け、レモンをギュッと搾って渡してくれます。開いた方の貝殻をスプーンがわりにして口に放り込むのですが、魚介類のダシが効いたピラフとレモンの酸味、ムール貝のプリッとした食感が渾然一体となって、まさに口福そのものでした。

普通はおやつ感覚で2、3個食べるもののようですが、あまりの美味しさに、自分はその場で10個も食べてしまいました。正直もっと食べたかったのですが、さすがに売り子があきれ顔になってきたので、その日は後ろ髪を引かれつつその場を離れました。翌日以降も、連日そこに通ったことは言うまでもありません。

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