A Dog's World 

~海外で暮らす・日々の記録・旅の記憶~   

エウア島(トンガ)

エウア ~忘れられた島~

トンガタプの南東18km、8人乗りの小型飛行機でわずか8分の距離にあるエウア島。 "Forgotten Island" の名の通り、開発に乗り遅れてしまった感は否めませんが、その実、大いなる自然を残し、他の島にはない魅力に満ちあふれています。

トンガは島によって景観が異なり、受ける印象もだいぶ変わってきます。トンガタプ島は全島の中でもっとも大きく、けれども平坦な土地なので、行けども行けどもヤシの木とお芋の畑が続いているイメージ。

トンガタプにはビーチ、自然の造形、巨石文化の名残など、ひと通り観光的な要素が点在しているにもかかわらず、あまりパランギ (外国人) からの人気は高くありません。もちろん、首都のある島らしく、レストランやカフェ、ホテルなど、旅行者に必要なインフラは一番整っています。

ハアパイはリフカ島、フォア島という南北に連なる細長くフラットな島をメインに、その周辺海域にポツポツと無人島が散在する美しい群島です。飛行機で上空から見ると、それぞれの島がまぶしいくらいにキラキラと輝いています。おそらくパランギが考える南太平洋に浮かぶ小島という雰囲気を、もっとも色濃くかもしだす島です。

ハアパイはトンガには珍しく白砂のビーチがたくさんあり、海の透明度も群を抜いています。セイシェル、シャルムエルシェイク、プーケット、エーゲ海等々、世界に名だたるビーチの数々にも比肩しうると言ったら大げさでしょうか。(←ファシリティーは除く)

ババウは起伏にとんだ本島と、これぞババウの魅力の真髄といわれるバラエティー豊かな離島群からなる、もっともパランギ人気の高い島です。本島にはめぼしい観光スポットはありませんが、複雑な島の地形は道路のアップダウンと意外な急カーブを生み出し、ドライブに彩りを添えてくれます。

ババウといえばやはり7月~10月のホエールウォッチング (ホエールスイム) が最大のウリ。もちろん運不運はありますが、おそらくババウ以外では味わうことのできない体験をすることができます。巨大なクジラが自分めがけて迫ってくるシチュエーションに、それはもう大興奮間違いなし。実はヨットの停泊地としても、世界的な人気を博しています。

そしてエウア。南北20km、東西6kmほどの、テイアドロップ型の島です (どちらかといえば餃子型)。島の西側は緩やかなカーブをえがき、港やビーチが続いています。この海抜0m側から東側に向かって、一気に土地が盛り上がっていき、東側にはトンガ随一である300m級の山と、切り立った断崖絶壁があります。

なんといってもエウアには森があります。これはトンガにあって唯一無二の宝。トレッキングツアーもありますが、聞いてみると足元も悪くかなりハードだそうです。これを開発の遅れととるか、大自然の醍醐味ととるかはあなた次第。珍しい野鳥、豊かな植生、迫り来る大地。エウアの森で、忘れていた自分の中の野生に目覚める日は遠くありません。

今のところ、エウアの宿泊・観光施設は限られています。Hideaway Resort (ハイダウェイ) なら空港送迎から島内観光の手配まで任せて安心。格安な宿泊料も魅力のひとつ。ホテルの前には荒々しい波が立つ大海原が。そしてクジラのシーズンには、ホテルの目の前をクジラがのんびりと泳いでいくそうです。これぞミラクル。

ババウとハアパイの影にかくれてしまいがちなエウアですが、今回初めて訪れてみて、その魅力の一端を知ることができたのは幸いでした。トンガに行くならエウアで十分、とはさすがに言い切れませんが、ババウかハアパイに行くのなら、ぜひエウアにも足をのばしてくださいと、自信をもってオススメします!(あ、住むのは大変そうです)

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エウアの風景

森に入れば降りそそぐ野鳥の声と蝉しぐれ。
時間を忘れ聞き入ってしまいました。

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エウア島南端のロックガーデン。
切り立つ断崖絶壁と神秘的な野生馬に目がくぎづけです。

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実はこのときシャワーレインが降りました。
すると、がけの下にはきれいな虹が。
虹を見下ろすチャンスなんて滅多にありません。
そんなエウアがますます好きになったのでした。

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思わず「穴熊」と漢字で書きたくなるようなビューポイント。
本当の名前はトンガ語で 'Ana' Kuma (アナクマ)
短い洞穴を下りていくと、その先には絶景が!
もぐって進む感じがなんとも穴熊です。泥んこ注意。

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エウアの白い鳥、シラオネッタイチョウ (White-tailed Tropicbird)。
この鳥が飛ぶ姿はなんとも幻想的で神々しくさえありました。
去年観た「アバター」を思い出したりなんかして。

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タバコ

エウア島内をレンタカーでまわっていたときのこと。運転手が窓の外を指さしながら、「この村に友達がいるんだ。タバコもらいに行っていい?」 とたずねてきました。

ハイドウゾと答えると、すぐに車は道を外れ、ある家の前で停車すると、車をおりて足早に友達らしき人に向かう彼。そして、何かわさわさと大きな葉っぱの束を持ち帰ってくるのでした。

そう、これぞ本物のタバコ。これをからからに干して葉巻を作るのです。なんだかワイルドだぞ、エウア。

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エウア島旅行

イースターホリデーを利用して、2度目のエウアへ。
「今は100人でごった返しているから行かないほうがいい」
トンガ人にそう言われ、ちょっとためらったビーチでしたが、
うーん、、、
20人?
白砂のビーチで子どもたちがはしゃいでいました。

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エウアでは "何もしない贅沢" を味わいました。おそい朝食のあと、釣り竿とカメラをかかえてビーチへ。潮目があまりよくなかったので、けっきょく竿をふったのはほんの数回。

木かげを見つけてビーチに腰をおろし、ぬけるような青空にうかぶ白い雲を目で追うひとときは、久しぶりに至福の時間でした。雲の形、どうでしょう?
①ハート (割れてる…)、②エ? ユ?、③ムー

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エウアのブタは出産ラッシュ。
あちらこちらで、いや、町中で、
ブタの親子連れに遭遇しました。
すぐ寝ちゃうんだよなー、子ブタ。

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生命力あふれるエウアの木。白黒写真バージョン。

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エウアの空

トンガタプに帰ってきて、初めてわかりました。エウアの空は澄んでいた。 キラキラ感が違いました。物資も野菜もないけれど、変な病気もあるっぽいけど、イイネ!エウア。

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エウアの光

「光」だなんてたいそうなタイトルで恐縮ですが、太陽光線を意識して写真を撮るって重要、かつ楽しいなと。「別にエウアでなくても撮れる写真ばかりじゃ」などと言うなかれ。やっぱり何か違うんです。いや、頼むから違ってください。「その場の空気感を写しとりたい」 そう思っていても、なかなか腕が追いつきません。ライカ買うかー。。

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エウアグルメ

今回エウアで食べた美味しいもの。

①フィッシュ&チップス(ハイダウェイ)
実はチップスがバナナフライ。珍味です。ポテトを期待した自分が悪い。

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②窯焼きピッツァ
「忘れられた島・エウア」に彗星のごとく現れた手作り窯。今のところ客の注文を受けるかどうかはオーナーの気分次第? 焼き立てはとても香ばしく、パリッパリの食感がたまりません。真ん中より端っこの方がだんぜん美味しいです。そしてトッピングにバナナ! これがまた絶妙なハーモニーでした。

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そういえば、エウアで釣りをした時にかかってしまったウツボの写真です。とっさに撮ってくれた人がいてよかった。噛まれると大変なことになるそうなので、即、海に帰ってもらいました。実は美味しいんですよね、食べれば。

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フェリーで行くエウア

トンガタプからエウアに行くフェリー Ikale号。安全第一、救命胴衣も装備されています。クルーによる装着デモンストレーションも万全。

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3時間半の航海中、エウアに近づいたあたりからクジラが現れ始め、2頭でジャンプしたりしばらく船と並走してくれたりと大サービス。クジラシーズンにはフェリーで行くのがおすすめ。ちなみにトンガタプ戻りの飛行機でも、上空からクジラ1頭見えました。

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エウアの坂道はセンチメンタル。
沖のクジラをぼんやり眺めつつ。
日本のことを思い出しているのかな。

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エウアのクジラ

エウアに日帰り旅行。ハイダウェイリゾートから朝と午後それぞれ30分ほど海を眺めていたら、遠目に10回くらいクジラを見ました。さすがにジャンプはなかったけれど、水しぶきをあげながら2頭でゆったり泳ぐ姿を、何度も何度も。陸からクジラが見える島なんて、他にはなかなかありません。このようにエウアは魅力 (観光資源) が詰まっているのですが、なかなかそれが開発に結びつきません (エウアだけではないけれど)。

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10月のエウア

週末、曇天のエウア。海は時化模様。
ホテルから釣竿を持って浜に出たものの、
ポジション取りが難しいのは相変わらず。
仕方なくエリリ (サザエ) を拾おうと思い、
プラプラと波打ち際をそぞろ歩く。
見ればおばちゃんたちが7、8人。
みんな何かを拾い集めている。
近づいてバケツをのぞくと、小粒の貝が。
こんな風に根こそぎ貝を採られたんじゃ、
もうエリリなんて無理でしょう、そうでしょう。
結局、おばちゃんたちの手伝いをしました。
面白かったです。ちなみに貝の名はクークー。

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エウアの浜、ディープリゾート前。
真水は貴重、魚なんだから海でさばいて洗えばいい。
どうせ洗うんだから砂まみれ上等。
はい、おっしゃるとおり。

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雲の隙間から差し込む陽光
エウア、午後3時
午睡をむさぼる犬の親子
タンポポの綿毛を揺らす微風
友人たちとのとりとめもない会話
時間がゆったりとすぎていく
このささやかな一日

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エウアのブタ、よく目が合う

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「エウアは雨音すら優しい」
なんてことを言うとオーバーに聞こえるでしょうけれど、つまりはそれだけ田舎ってことです。雨が人工物、たとえばコンクリートやアスファルト、トタン屋根なんかを打ちつける音は、決して心地よいものではありません。雨樋からじゃんじゃん流れる水音なんてかなりヒステリックだし、雨で濡れた道路を車がシャーッっと走っていく高周波も、偏頭痛を引き起こしそう。

それにくらべて、樹の枝や畑に降りそそぐ雨の音は、どこか懐かしい、ずっと耳を傾けていたいような、そんな暖かさがあります。いや、目隠しして聞きくらべろと言われたらまったく自信はありませんけれど。ということで、エウアは雨が降っても楽しかったのでした。(なんとかエウアを発展させる方法はないものかと常に目を光らせつつ)

エウア島のニウアフォオー村

その昔、ティンカンメールで有名なニウアフォオー島から、多くの島民がエウアに移住してきました。未だに彼らが住む村、その名もそのままニウアフォオー村。

今回はこの村を訪ね、御年90才、1946年に彼の地を脱出しエウアにやってきたフィナウおばあちゃんに会うことができました。歴史の重みを感じる相貌でした。

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森を歩く

エウアの深い森を貫くトレッキングコースを歩きました。うっそうと生い茂る大木、セミの鳴き声、思わず深呼吸がしたくなる、甘く湿った風。野趣に富んだ植生は太古の昔のようで、異空間をさまよい歩く不思議な感覚に。幻のオウム "Koki" を見た人はラッキー。ほとほと疲れましたが、歩き終わった後は、なんだか細胞がきれいになったよう。

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なんとなく 「幻の」 という枕詞が使われているトンガのオウム 「Koki」。今回のエウア旅行でもはっきり姿を見ることができたし、鳴き声だけならトレッキング中に3回聴きました。たぶん言うほど幻ではないでしょうし、なかなかきれいな鳥なので、エウアに出かけたらぜひ Koki ウォッチングにトライしてみてください。

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森と清流

実は、トンガで川があるのは唯一エウア島だけなんです。森と清流、貴重です。ポテンシャルはすごく高いんですけどね、エウア。本当に。しかし開発と環境破壊は表裏一体だし、難しいなー。。

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モリ (みかん)

エウア島のモリ (みかん) をもらいました。見た目はまだ青くてさわった感じもかたいのですが、食べてみるとこれがちょうど良い甘酸っぱさ。甘いだけのみかんより、ちょっと酸っぱいくらいのものが好きな自分には最高の味でした。

皮をむくたびにシュシュッと飛び散る良い香りの油もかなり多めで、部屋の中がとっても爽やかな柑橘系の香りに包まれました。

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