A Dog's World 

~海外で暮らす・日々の記録・旅の記憶~   

Phobia 2(タイ映画)

「Phobia 2」は2009年のタイのオムニバスホラー映画です。5つの物語がそれぞれ異なるテイストで、どれも短編らしくヒネリが効いているため、最後まで飽きることなく楽しめました。前作 "Phobia" の続編ですが、前作にも増してタイ国内でヒットしたのもうなずけます。

#1. Novice (見習い僧)

母親から強制的に出家修行に出された少年ペー。僧侶たちに連れられ山奥に行くと、そこでは餓鬼の霊を鎮める儀式が執り行われていました。異様な雰囲気と夜間に襲われる幻覚からその場を逃げ出そうとするペーでしたが、連れ戻され、洞窟で祈りを捧げながら一晩明かすよう命じられます。そこで彼が見たものは、自らが犯した罪でした。【後悔先に立たず】

#2. Ward (病棟)

足に大怪我をして入院した少年アーティット。大部屋にはもう1人、脳死状態の老人がいました。深夜、動くはずのない老人がアーティットを襲います。夢か現実か区別がつかぬまま朝を迎えたところ、老人は死亡が確認され、アーティットはなぜか態度が横柄に。ラストは車椅子を押され廊下を進むアーティットを、ひれ伏し崇める多数の患者たち。【魂は何処へ】

#3. Backpackers (バックパッカー)

愛想の悪い中年ドライバーと気弱そうな助手が乗るトラックをヒッチハイクした日本人カップル。荷台には数十人の死体が乗せられていました (ゴム詰めの麻薬を飲まされた密入国者、みんな麻薬の急性中毒で死亡したと思われる)。ドライバーが死体を畑に捨てると次々に死体が動き出し、トラックを襲いました。最後は日本人女性が生き残りの子供をつれてようやく町にたどり着きますが、子供はにぎわう朝市の人混みに突っ込んでいきました。【ゾンビは不滅】

#4. Salvage (廃物利用)

事故車を安く仕入れ、きれいに修理した上で無事故と偽り高く売る悪徳中古車ディーラーのヌット。彼女の子供はこの展示場が遊び場です。夜遅く、帰宅しようとしたところ子供の姿が見えません。暗い展示場を探し回るうち、彼女は車に閉じ込められ、ありえないものを見ます。やっとの思いで車のエンジンをかけ展示場を出ると、エンジンルームからクツの片方としたたる血が。ボンネットを開けヌットが見たものは。【残酷な天罰】

#5. In the End (とどのつまり)

ホラー映画の撮影中、ラストシーンを残したところで幽霊役のケイトが体調をくずし、病院に運ばれました。ほどなくケイトが病院から戻り、撮影が再開されようとしていた時、一緒に病院に行ったスタッフのエーから「ケイトが死んだ」という連絡が。

監督以下ほとんどのスタッフは恐れをなして逃げ出してしまい、残ったのは助監督などスタッフ3人と主演女優マーシャのみ (マーシャは事情を知らない)。ラストシーンを撮ればケイトも成仏するだろうと考え、彼らはなんとか撮影を終えると、セットを飛び出しました。

しかしそれでも追いかけてくるケイト。病院からもどったエーも加わり、スタッフ4人は大慌てで車に乗り込むと撮影所をあとにしましたが、突然頭から血を流し始めるエー。道端に運転席が激しくつぶれた事故車 (撮影所の車) を見つけた彼らは、エーを残し慌てて車を飛び降りました。

その場にケイトも追いつき、あわや幽霊二人に襲われるかと思ったその時、実は二人とも死んではいなかったことが明かされました。ケイトが死んだと言った病院の医師は双子で、別の患者のことを言っていました。エーは軽く事故って車を降りた時に、大型車に突っ込まれたとのこと。

誰も死んでいなかったんだああ良かったと彼らがホッとしたのもつかの間、ガス欠になったためヒッチハイクしようとした車 (お疲れで居眠り運転のマーシャ) が猛スピードで彼らに突っ込んできて・・・。【二転三転】

どれも面白かったです。#1はもっとじっくり脚本を広げて1本の映画にできるでしょう。#2はオチの急展開にビックリ。タイでもこういうのあるんだなと思いました。#3はそれこそ本格ゾンビものにできそうです。#4は死亡事故車に憑いた霊に驚かされる (翌朝目が覚める) パターンかと思いきや、はるかにひどいバッドエンドでした (ここまでが夢であってほしい・・)。

#5は極上のホラーコメディ。内容も濃いし役者 (有名なコメディアン) の演技もよく、見応え充分でした。本作の2年前のホラー映画 "Alone" に主演したマーシャを本人役で使い "Alone 2" を撮っているという設定も面白かった。"Alone" を観ているとより楽しいです。幽霊の造形、双子の医師などオマージュが。

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