■日本:柿の葉
日本でも植物の葉っぱでご飯 (お米) を包む料理はいくつかあります。自分がすぐに思いつくのは、柿の葉寿司。ときどき駅弁で買ったりしますが、美味しいですよね。
ご飯が酢飯ということもあり、そこに柿の葉の抗菌作用でさらに保存性が高まり、旅のお供に最適。柿の葉の香りもほんのりお米に移って食欲アップ、いい事ずくめです。
「めはりずし」も存在だけは知っていますが (高菜の浅漬で包んだおにぎり)、まだ口にしたことはありません。ご飯ではなくお餅ですが、柏餅と桜餅も昔はよく食べました。
さて、世界に目を移してみると、やはりいろいろなものがあります。日本人にしてみたら珍しさを感じるものも、現地の人にとっては昔から食べている当たり前の存在です。
■中東:ブドウの葉
中東全域にある「ワラカ・エナブ」。直訳すると「ブドウの葉」を意味し、ブドウの葉で米や肉、野菜などを包んだ料理です。単に「エナブ」と言うことが多いかも。
中東時代は前菜によく出てきましたが、手元にいい写真がないので、ウズベキスタンのものを下の方で出します。 ウズベキスタンでは「ドルマ」と呼びます。
■エチオピア:バナナの葉
ちょっとイレギュラーですが、ご飯というかエチオピア南部地域の主食のひとつ「コチョ」が、バナナの葉っぱで包んで調理するので、相当品ということで紹介したいなと。
コチョはエンセーテ (ニセバナナ) のデンプンから作られます。エチオピアの主食と言えばテフから作るインジェラですが、南部地域ではコチョもポピュラーです。(※よく考えたら葉っぱもニセバナナかも)
蒸したては葉っぱから剥がす時に青っぽくていい香りが立ち上り、食感もモチモチしていてなかなか美味しいです。冷めて固くなると急激に残念な味に。
■大洋州:なし
トンガにはタロイモの葉っぱで包んで蒸し焼きにする料理「ウム」があり、フィジーは同様のものを「ロボ」と言います。中身はお肉などおかずであってご飯 (お米) ではないので、該当なしということで。
主食はお米ではなく芋類。ウフィ (ヤムイモ)、タロ (タロイモ)、マニオケ (キャッサバ)、次いでクマラ (サツマイモ)。ウムでは何にも包まずそのまま火に入れます。調理の様子は過去記事「トンガのグルメ」に。
トンガには「ファイカカイ」というキャッサバ、タロ、小麦粉などで作る、わらび餅のようなお菓子があり、バナナの葉っぱで包んで売られていました。甘くて美味しかったです。
フィジーの「ロボ」はマーケットに行くとよく売られていて、お菓子系をよく買っていましたFalawaとTaviokaはともにデンプン系のお菓子で、Falawaは甘く、Taviokaはほのかな酸味が。どちらも素朴な味がして美味しかったです。Rourou Moci (川エビのすり身) は塩気があってご飯のお供にぴったりでした。
■インドネシア:ヤシの葉・バナナの葉
お米をヤシの葉やバナナの葉で包んで蒸したり煮たりした「ロントン」と「クトゥパッ」を、自分は地方に行った際よく食べました。どちらもギュッと押し固めるのでお餅のような食感になります。
バンジャルマシン旅行中は、小さくカットされたロントンがたっぷり入ったソト・バンジャル (ご当地スープ) を毎朝いただきました。お茶漬け感覚で美味しかったです。
ガルーダの国内線の機内食でもたまにロントンが出ると、ちょっと嬉しくなりました。
クトゥパッという名前ですが、南カリマンタンのカンダンガン地方の郷土料理「クトゥパッ・カンダンガン (Ketupat Kandangan)」は、クトゥパッなのかな、ロントンなのかな。まあとにかく美味しかったです。
クトゥパッと言えば普通はヤシの葉を編んだ小さな籠に入れて蒸されたご飯のことを言います。マカッサルで、チョト・マカッサルと一緒にいただきました。こちらもお餅くらいミッチリ詰まっていて、食べごたえがありました。
郷土料理が美味しいマナドは、お菓子の種類も豊富です。何の葉っぱかよくわかりませんが、何かと葉っぱがつきものでした。
■タイ:蓮の葉、パンダナスの葉
まずは粽 (ちまき) が思い浮かびます。味付けご飯をバイブア (蓮の葉) で包んだ「カオホーバイブア」は大きさもそこそこあって具材もたっぷりで、ちょっとリッチなお弁当感覚でいつも買っていました。
醤油系の味付けご飯に鶏肉、カイケム (塩卵) の黄身、甘い中華ソーセージ、干し椎茸、干し海老、豆類、蓮の実、栗、ナツメ (かな?) など具材がたっぷり。もち米もあると思いますが、これは普通米でした。
もうひとつの粽、バイトゥーイ (パンダナスの葉) で包んだ「バチャーン」。バンコク中華街「ヤワラート」の定番のストリートフードです。お米は普通米ともち米どちらもありますが、自分はもち米の方が好きでした。
ご飯 (お米) ではないのですが、よく市場で葉っぱでぐるぐる巻きされ売られているイサーン (タイ東北地方) のソーセージ「ムーヨー」もご紹介 (下の写真の右奥側)。魚肉ソーセージの豚肉版て感じで食べやすく美味しいです。
バナナの葉を何重にも巻いて水分が飛ぶのを防いでいるそうですが、見た目の割に葉っぱが厚すぎ中身がやけに細いな、なんてこともあるそうですからご用心。
■ウズベキスタン:ブドウの葉
アラブ料理と同じくウズベキスタン料理にもブドウの葉でお米やお肉を包んだ「ドルマ」があります。個人的な感覚ですが、ウズベキスタンで食べるドルマは、中東のエナブよりお肉の分量が多いように思います。もちろんお米も入っていますが。
6月のチョルスーバザールにて、他の野菜と一緒に大量に売られていたブドウの葉。家庭では酢漬けの瓶詰めかなんかを買ってドルマを作るのかと思ったら、きっとみんな生の葉っぱから作るんですね。素晴らしい。
【追記】
その後、1月のチョルスーバザールで売られていたブドウの葉。酢か塩で漬けたものでしょう。これならすぐに使えますね。