「Dear Galileo」は2009年のタイのドラマ映画です。二人の女子大生がヨーロッパを旅しながら他者とふれあい、時に困難に直面し、時に自身を見つめ直し、そうしてあらためて友情を確認する物語。
大学の建築科で非凡な才能を見せるチェリーは、担当講師が不在の日に製図室に入るため、講師のサインを偽造して部屋の使用許可を取ったことから、単位の取り消しと1年間の停学処分を下されました。そうして、彼氏と喧嘩別れしたばかりの親友ヌーンとともに、チェリーはヨーロッパに旅立ちます。
この二人、ロンドン、パリ、ベニスを数ヶ月かけて旅します。画面にはそれぞれの街の雰囲気がよく出ていて、観ている自分も旅しているような気分になるのは良かった点。また、二人とも英語が上手で、ヨーロッパ人と対峙してもとくに気後れすることがないのも感心してしまいます。
難点は、旅費節約というか旅費稼ぎのため、旅先でバイトをする前提になっていること。はっきり言って不法就労です。ロンドンでは警察の手入れに慌てて店を飛び出したり、パリの地下鉄では無賃乗車を見つかり警備員からギリギリ逃げおおせたり、ベニスではレジをごまかしてお金を盗もうとしたり、危ういシーンが多数。
結果、ヌーンはベニスで逮捕され、国外退去 (タイに帰国) になりました。実はヌーンをそそのかしたのはチェリーなのですが、チェリーはパリで知り合ったイタリア人の建築家から誘われ、一人ミラノで仕事兼勉強を続けます。チェリーはそれからヌーンに連絡するのが怖くなってしまいました。
映画の中で、ヌーンはたびたび "ガリレオ占い" をします。橋の上から二人同時に石を落とし、同時に着水したら願いが叶う (または問題の回答が得られる) というもの。これは最後にチェリーがピサの斜塔の上からボールをふたつ落とすシーンにつながります。(見るからに軽そうなゴムボールでしたが本当はダメですよね、物を落としちゃ)
チェリーはヌーンがまだ怒っているか心配でガリレオ占いをしたのです。すると、ヌーンからメッセージが返ってきました。二人の友情は壊れてはいませんでした。チェリーは停学が明けるタイミングでタイに帰国しますが、空港にはヌーンが待っていてくれてめでたしめでたし、というエンディング。
これまで観てきたタイ映画とは毛色が異なるもので、なかなか新鮮でした。主演の二人もグッド。でも、不法行為はダメ。ゼッタイ。