クアラルンプールの街並み
イースター (Good Friday) で三連休になったので、ジャカルタからクアラルンプール (以下、KL) に旅行に行きました。マレーシアは今回初めてでしたが、まず時差があることを知りませんでした。飛行機のスケジュールを調べていて「あれ?」と思いました。
ジャカルタはGMT+7時間 (日本はGMT+9) です。ジャカルタから東に1000km離れたバリ島はGMT+8。東に行けば時間帯が進む、当然です。けれどもKLは、ジャカルタから1000km西なのに、時間帯はGMT+8。ジャカルタよりだいぶ西なのに、1時間、時間が進んでいるわけです。まったく納得いきませんが、中国・香港に合わせたとか諸説あるようです。
さて、KLの発展ぶりはあれこれ聞いていましたが、本当にそうでした。ジャカルタに似てはいますが、20年、30年先を行っているような感じ。空港に着くと、まずその広さとショップの充実ぶりに驚かされました。この時点でインドネシアってまだまだ全然じゃんと打ちひしがれるわけです。
入国審査の手前に通信業者のデスクがあって、携帯電話のSIMを買えるのも便利。自分のSIMフリースマホを渡せば5分ほどで設定までしてくれます。何社かある中で、今回はCelcomの2GB/1週間パック (20リンギット=500円) を購入しました。
空港からまずKLセントラル駅までKLエクスプレスというノンストップの電車に (28分) 乗って行き (55リンギット)、駅に着いたらヌーセントラルモールを通り抜けてKLモノレール駅へ。切符 (というかコインみたいなの) は券売機でほとんど迷わず買えます。
そこから4つ先のインビ駅 (4リンギット) の階段を降りると、今回の滞在ホテル Melia Hotel がありました。もうひとつ先が繁華街のブキッ・ビンタン駅。あまり深く考えずにホテルをとりましたが、滞在中はモノレールを多用し移動は楽々でした。
KLは街のあちこちで建設工事をやっています。どんどん発展しています。高いビルに取り囲まれ、その真ん中にポツンとモスクやヒンドゥー寺院があったり、伝統的な建物のバックにツインタワーがあるのを見ると、不思議な感覚を覚えます。
インドネシアと違ってマレー語の看板はあまり目立ちません。看板はまず英語、そして漢字。経済を握っているのが中国系とか、そんな事情もあるんでしょうか。チャイナタウンだけでなく、街を歩いていてもよく中国語が聞こえてきました。
インドネシアとの一番の違いは、英語がよく通じることです。ショッピングモールのインフォメーションは当然ながら、駅でも食堂でも、かなり高齢の店員ですら、なまっていますが英語を話してくれるので、今回言葉ではまったく困りませんでした。
ブキッ・ビンタンのアロー通りはレストランと屋台がびっしりと軒を連ね、毎晩大変な賑わいを見せていますが、そんないかにも東南アジア的な場所があるかと思えば、すぐ近くには洋風バー&レストランが立ち並ぶまるで東京のような場所もあります (ヨーロッパの雰囲気というほどではない)。
いったい自分はどこの国にいるのか、そして時代はいつなのか、街歩きをしながら、ずっと不思議な気持ちでした。でも、それが次第に快適に。この雰囲気がさらに外国人を集めるんでしょうね。
マレーシア料理バンザイ B級グルメ編
クアラルンプールでは観光する気はほとんどなくて、とにかく安くて美味しいものを食べようと、それだけを楽しみにしていました。一食も無駄にできないなと、事前にネット検索したり、Google Mapのレビューを見たり。
■新峰肉骨茶 (Sun Fong Bak Kut Teh)
バクテー (肉骨茶) の名店。すき焼き風の甘しょっぱいスープですが、後味が完全に漢方寄り。舌に残る軽い苦味と独特の風味は、バクテーが薬膳料理だということをあらためて思い出させてくれます。入っている豚肉はリブ、バラ、腸。「美味しい!」というものではなく、「なんか効きそう!」という料理。(@ブキッ・ビンタン)
■蘇記仔海鮮炒粉 (Soo Kee's Son)
大ぶりのエビが乗ったかた焼きそばがお店のイチオシ。エビの仕入れ値で値段は変わり、今日はいくら、と教えてくれます。この日は70リンギット (1750円)。エビの身が新鮮プリプリ、そしてエビを口いっぱい頬張るという贅沢感。麺はパリパリ、あんはエビの出汁がよく効いていました。美味しかったです。(@ブキッ・ビンタン)
■Lai Foong Beef Noodle
クアラルンプールのベスト・ビーフヌードルというレビューも多数あり、かなり期待していったお店。ただ、ライスヌードルがちょっと酸味がかっていたのか、やけに酸っぱいスープでした。細かく刻んだ漬物が入っているので、それのせいかもしれません。もっとガツンとくるビーフコンソメ系の味を想像していたのでちょっと肩透かし。お肉は美味しかったですけどね。(@チャイナタウン)。
翌日リベンジでもう一杯。麺はイエローヌードル。スープは酸味ほどほど、リッチなビーフエキスを感じました。これは美味しい。一滴も残さず飲み干しました。お肉もあいかわらず美味しい。でも、ヌードルがポソポソ。1杯10リンギット (250円) だからこんなものかもしれませんが、あと50円高くしていいからもっと美味しい麺にしてほしい。そうしたら完璧なのに。
■GEM Restaurant
インド系住民も多いマレーシア。油ギトギトで濃厚なご馳走カレーではなく、インド人が普段食べているようなさり気なく美味しいカレーを求めてやって来ました。結論から言えば、カレーの選択を間違えたかなと。セットメニューのマトンカレーは、スパイス感がそれほどでもないというか、トマト多めで酸味が効いているのは自分的にはコレジャナイ感が。ダルとかスープは上々でした。(@KLセントラル)
■五十 (Lima Pulo)
ニョニャ・ラクサが食べたくて行きましたが、ラクサを出すのは週に3日間だけでした (この日は無し)。残念。代わりにニョニャ・フライド・ミーをいただきました。これもお店の看板メニュー。色は濃いですが味は濃すぎずほどよい味付け。エビの出汁が効いていてとても美味しかったです。さすがの一品。でも、ラクサが食べたかった。。(@モノレールMedan Tuanku駅近く)
■Singh Chapati House
クアラルンプールのベスト・チャパティというレビューも多数あり (こんなレビューばかりですが・・・)、たしかに焼きたてのチャパティはちょっと甘みがあっておこげが香ばしくて、なるほどという味。ダルもかなり美味しい方。チキンカレーは胸肉なのにジューシーで、火の通し加減とか丁寧に調理していることがわかります。スープカレーは今まで食べたことがない味でした (美味しいというわけでは・・・)。炒り卵のカレー風味はシンプルで家庭料理のよう。それが嬉しかったです。(@KLセントラル)
マレーシアのドリアン
ジャカルタではよくドリアンを食べています。お店では「なんて品種?」といつも聞くのですが、「メダン」とか「アチェ」とか、産地の地名しか教えてもらったことがありません。看板にもそうとしか書いてありませんし、そもそもこの質問にみんなピンとこないようです。
そうして行ったドリアンの本場、マレーシア。「品種」で食べくらべるという今までにない経験を楽しみにしていました。事前に調べたら、ドリアンの旬からは外れているようで一瞬肩を落としましたが、ブキッ・ビンタンのアロー通りという屋台街なら一年中あるということで一安心。
1日目。まずは「XO」をいただきました。ちょうど1kgで値段は30リンギット (750円)。他のよりちょっとだけ高い方です。味は十分な甘さと少しのほろ苦さがありました。この苦味が甘さにコクを与えています。ジャカルタで食べるメダン産ドリアンのかなりアタリの時と同じくらいの美味しさ。
屋台だし旅行者だし、てっきりボラれるかハズレをつかまされるかと内心ビクビクしていましたが、しっかり美味しいドリアンを選別してくれたお店のおじさんに感謝。水分もほどよく抜けていて、クリーミーさもよかったです。まったく臭くなく、とてもいい匂い (←自分はもうドリアンの臭いに慣れすぎていて、いい匂いにしか感じません)。
2日目。満を持して「猫山王 (ムサンキング)」をいただきました。最高級品です。値段は1.5kgで90リンギット (2,250円)。1kgあたり60リンギットはXOの2倍。値段を聞いてやや不安になりましたが、昨日と同じお店のおじさんが、ドリアンの中を開けた瞬間、「黄色いぞ、いいヤツだ」と自信ありげにつぶやいたため、ホッと安心してこんどは期待が高まりました。
さて、そのお味はというと、やはりこれは高いだけの価値があるなと。しっかり甘く、上品な苦味も加わって、まるでブランデー入り高級クリーム菓子の様な味わい。これも水分がほどよく抜けていて、なめらかなクリーム感は舌触りも最高。極上のカスタードクリームのようでした。しかも種が小さく平たいので、普通のドリアンにくらべたら果肉量は2倍以上ありそう。そう考えるとむしろお買い得ですね。これも最高にいい匂いでした。
ちなみに猫山王とはジャコウネコのことで、ジャコウネコが好んで食べるためこの名がついたのだそうです。ジャコウネコといえば、インドネシアではコピ・ルワックという最高級コーヒー (希少が故の値段的な意味、味は個人の好み) を生み出し、そしてマレーシアでは最高級ドリアンにその名が冠されているわけです。とりあえずジャコウネコにも感謝しとこう。
ということで、マレーシアはやはりドリアンの本場でした。ドリアンの最盛期にまた行ってみたいです。
アフタヌーンティー in クアラルンプール
イスラム風建築のクアラルンプール駅(セントラルではない方)の向かい側、ちょっと道路を横断しにくいその場所に、マジェスティックホテルがありました。目指すはここのアフタヌーンティー。
ピアノの生演奏が少々気合い入りすぎなティーホール。紅茶はダージリンのみ、でなければコーヒーという、選択肢がない状況にまず軽く出鼻をくじかれ、さらにカップに注がれた紅茶がなんとも優しすぎる味わいで、ほとんどダージリンらしさを感じないことにやや気分が沈みかけた午後3時。
しかし出てきたスナックは、どれもこれも素晴らしかったです。これぞホテルの味。素材もいいし、いちいち手が込んでいます。スモークサーモン、チキン、野菜の各種サンドイッチは素材によってパンも異なるし、ホットスナックのパイ生地もサクサクで香ばしい。
しかしなんといっても主役はスコーンでした。人それぞれ好みはあるかもしれませんが、自分はこの重くてややしっとりしたスコーンが抜群に美味しかったです。クロテッドクリームと苺ジャムを塗れば完璧なハーモニーの完成。贅沢なひと時を過ごすことができました。
紅茶がなくなると延々注いでくれるので、15杯くらい飲んだと思います。それくらい量を飲める紅茶なので、優しい味とか書きましたけれど、そう、ただ単に薄い・・・。