ワット・カンラヤナミットの少し南側に、ムスリムコミュニティーの居住区画があります。その昔往来していたマレー系イスラム商人が住み着いたのが始まりで、ラーマ2世に仕えていたイスラム教徒の高官ルアン・コチャ・イツァークの子孫、ビンアブドゥッラーとサマンタラット・ファミリーもまだ居を構えているそうです。
ここにあるバーンルアンモスク(Bang Luang Mosque)は、世界でも珍しい(世界で唯一の)、タイ風に作られたモスクです。たしかにタイのお寺のような外観ですね。屋根は緑色ですが(緑=イスラムを象徴する色)、壁は純白。地元民からは「クディ・カオ(白い建物)」と呼ばれているのだそうです。
この区画は建物が密集し、かろうじてバイクが通れるくらいの道幅しかありません。この凝縮感がイスラムっぽいなと思う一方、仏教徒が大勢を占めるバンコクにおいて、イスラム教徒はこうした狭い一角に閉じ込められているのでは、と勘ぐったりもします。タイのお寺のゆるい雰囲気とは違って、どこか空気がピンと張り詰めていたように感じました。