ベトナム中部の都市ホイアンの名物料理として知られるカオラウ (Cao lầu) は、そのルーツが伊勢うどんとも言われています。
実際に食べてみた感想は、あながちこの説も間違ってはいないかも、と思わされるものでした (⇒コチラ)。それほどベトナムのお米麺の中では異彩を放っています。

先日、別のお店 (Vị Quảng/Map) で再びカオラウを食べる機会があり、やはりこの太麺は美味しいなと思いつつ、今回はさらにしっかりとスープ (タレ) を味わってみました。
すると、ある舌の記憶がよみがえりました。タイでよく食べていたガオラオ (เกาเหลา) です。甘辛いスープは日本にはない香辛料の風味で、まさにタイ風 (=中国風) です。
カオラウ=伊勢うどんルーツ説は、朱印船貿易の時代にホイアンに日本人街があったことから言われているものです。カオラウはベトナムでは珍しく太麺なことも理由のひとつ。
一方、この時代のホイアンには日本人以上に中国商人 (福建人) がおり、カオラウという言葉が中国語由来 (高樓または乾撈/干捞) とされる点からも、伊勢うどん説はちょっと分が悪い。
まあ真偽はさておき、カオラウが美味しいことは間違いありません。麺が柔らかくスープもあっさりめのフォーばかり食べていると、この甘辛いスープと食べごたえのある太麺そして焼豚は、どれもパンチがあって実に美味しいです。


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タイのガオラオはオプションで麺を入れることもできますが、普通はスープ (肉もあるけどモツ多め) で出されます。基本は牛肉 (ヌア) で、ガオラオヌアの専門店も多数 (⇒コチラ)。


麺入りがデフォルトのお店もたくさんあります。そういうお店は店名にガオラオヌアではなくクイッティアオヌア (ビーフヌードル) と掲げていることが多いです。


クイッティアオヌア (ビーフヌードル) のスープはガオラオヌアとは微妙に違うのではないかなと思ったりもしますが、ちょっと真相不明。まあでも同じか。。。


次の写真はバンコクにあるヌアトゥン (牛煮込み) の有名店、ワッタナー・パーニット (パニチ) の1杯。ヌアトゥンは牛煮込みの総称でほぼ肉?ガオラオはモツ煮込み?

音からして、タイのガオラオも中国語の高樓から来ているのでしょう。スープの甘辛い味わいと中国風の香辛料の使い方も、カオラウとほぼ同じだと思います。
スープだけで見たら、ベトナムのカオラウとタイのガオラオは兄弟です。ただ、麺に決まりのないガオラオと違って、カオラウはその麺も特徴的です。
それ故、カオラウについては語源が乾撈/干捞 (gān lāo)=汁無し麺という説も。なお現在、中国語でカオラウは高樓麵と書きますが、高樓麵という中国料理はありません。
まったくの想像ですが、カオラウは中国風スープと日本風うどんという、ふたつの食文化のミックスなのではないでしょうか。実際、うどんを食べている感覚になります。
カオラウの麺は、ホイアンの特定の井戸 (バーレー井戸/Ba Le Well) の水と、ホイアン沖合のチャム島に自生する木の灰を合わせて灰汁を作り、それで練ることによって独特のコシが生まれます。
しかしこの麺製法のレシピ、実は門外不出で、ホイアンの限られた数家族しか知らないのだそう。本物のカオラウを味わうため、いつかホイアンを訪れたいです。