だいぶ前のことですが自分がサウジアラビアにいた頃は、サウディアに乗ると座席をアップグレードしてくれることが多く、そんな時は機内食でイラン産高級キャビアの小瓶をいただくことができました。(写真はイメージです)

去年までいたウズベキスタンは二重内陸国ですが、その昔アラル海がまだ豊かな水を湛えていた時代は漁業が盛んで、チョウザメ漁やサケ漁も行われていたそうです。
タシケントではイクラやキャビアが町のスーパーマーケットでも売られています。イクラはもともとロシア語の "икра" で、イクラもキャビアも魚卵はикра (イクラ)。

キャビアと言えばチョウザメの卵ですが、実は自分、今までチョウザメは卵のみ利用されるものだと思っていました。
ところが先月、ハノイの大きめスーパーマーケットを訪れた際、お魚コーナーに置かれた水槽に、どう見てもチョウザメが泳いでいるのを見つけました。水槽には値札も。

どうやらベトナムは、昔からチョウザメ (カータム/Cá tầm) を食べているのだそうです。調べてみたらハノイにもチョウザメレストランがいくつもありました。
その中の1軒、金曜日の夕方出向いたのは、旧市街の Bếp Chíp Mít (Map) というお店。しかし現場に着いてもそれらしいお店が見当たりません。
Googleマップの表示箇所を中心にしばらく道路を前後していたら、こちらに気づいたおばちゃんが声をかけてきて、「これ?」と小さな看板を指さしました。

それはまさにチョウザメのお店のもの。「はいそれです」とホッとしながら笑顔になって、あらためて「お店はどこ?」とジェスチャーでたずねる自分。
周りをキョロキョロしてもそんな店構えはありません。おばちゃんはすでにひと仕事終えた様相で、隣のおばちゃんとの世間話に戻っていました。
10秒ほどフリーズし考えを巡らせてようやく、この木の下 (路上・軒下) がお店の飲食スペースであると理解したのでした。

たまたまそこが以前タニシヌードル (ブンオック) を食べたお店の前だったので、余計わからなかったわけです (この時間タニシショップはクローズ)。
こちらが客だとわかると、おじさん店員がいそいそと小さなテーブルとイスを準備してくれました。
チョウザメ鍋もありましたが、量が多そうなのでこの日はチョウザメのブン (Bun cá tầm) をオーダー。チョウザメの切り身がたっぷり。あと魚の練り物も。

初めて口にしたチョウザメは、きれいな白身にしっかりとした旨味と程良い脂で、ニジマスのような味わいだなと思いました。かすかに泥のにおいがするのも淡水魚っぽい。
ネットには「タイやヒラメに似た淡白で上品な白身」とありましたから、もしかしたらお刺身で食べたらそうなのかもしれません。いずれにしても美味しいお魚でした。
魚介出汁のあっさりスープはキリッと甘酸っぱく (スターフルーツの酸味?)、蒸し暑いハノイの夕暮れ時、路上で食べるには最高の一杯でした。55,000ドン (330円)、ハーブもたっぷり付いてきましたよ。

食べ終わった頃にはすっかり日も落ちて、あたりはだんだん夕闇に包まれていきました。お店を正面から見ても、これが店舗だとはなかなか思いませんよね?

帰りはホアンキエム湖に向かってそぞろ歩き。自分が住むハイバーチュン地区とは違って、たくさんのツーリストでにぎわっていました。そうか、今は8月でバカンスシーズンだし、ハノイって世界的観光地だった。

