Ngôi nhà số 300 Kim Mã (キムマー通り300番地) は、ハノイでもっとも有名な心霊スポットと呼ばれた場所です (⇒Wikipedia/ベトナム語)。
1982年にベトナム政府がブルガリア政府にこの一等地を提供 (99年間リース)、ブルガリア政府は大使館および大使公邸を建設し、建物は1991年に完成しました。
しかし外交事情の変化などもあり、建物は完成以来ほとんど使用されないまま扉を閉ざされ、2018年にはブルガリアからベトナム外務省へと返還されました。

その後もしばらく放置が続き、ようやく再利用計画が具体的になり、新たに「ハノイ中国文化センター (Map)」としてオープンしたのは、2025年のことでした。
約30年に渡る長い放置期間は、人々の心に疑念を抱かせ、好奇心や噂話を醸成するには十分な時間でした。
コンクリートの無機質で冷たい外観や錆びた鉄柵が、人々の不安を掻き立てたことは想像に難くありませんが、実際にこの場所で殺人事件が発生したことも影響しています。
多くの逸話が語られ、中には幽霊屋敷だと主張する者も現れました。噂の多くは都市伝説として語られており、事実と伝承が入り混じったものになっています。
「昔ここは病院だった」「墓地だった」という噂もありますが、それを裏付ける歴史資料は確認されていません。
代表的な噂 (幽霊話) は次のようなものです。
①夜になると白人男性の幽霊が歩く
②深夜に赤ちゃんの泣き声が聞こえる
(女性のすすり泣き、子供の笑い声も)
③足音やドアが閉まる音が聞こえる
④解体しようとすると事故が起きる
「建物が棺桶の形をしている」「道路から悪い気が集まる」「屋根が内側へ向いている」といった風水的に良くない構造が、噂話を助長した部分もあります。
内部で撮影された写真も出回りましたが、長期間放置された部屋、剥がれた壁、廃墟となった階段、雑草が生えた庭など、やはり雰囲気はどこか冷え冷えしています。

中には心霊写真の類も散見されましたが、加工画像もしくは錯覚と考えられるものばかりで、実在を示す証拠とは言えません。
ただ、ハノイの人にこの建物のことを聞くと、かなりの人が「お化け屋敷 (Nhà ma)」と認識しているそうです。
本当に幽霊が出るかは別として、ハノイ市民の多くが知る有名な心霊スポットというのは本当のようです。しかし建物が改修され、今後は噂話も風化していくのでしょう。
ベトナムの古典的な幽霊譚では、古木・寺・墓・人気 (ひとけ) のない建物が、霊の宿る場所とされました。
キムマー300番地は立派な近代建築ですが、「人が寄りつかない場所には物語 (怪談) が生まれる」という構造は、中世から現代まで驚くほど変わっていないようです。
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以前、バンコクの心霊スポットについて投稿しました (⇒コチラ)。その中の「サトーンタワー」も、放棄されたコンクリートの建物です。見た目がいい感じに不気味でした。

暑い夏はやはり怖い話ですね。ただ聞く分には、怪談は実に楽しいエンタメです。自分が当事者になりたいとはまったく思いませんが。
ちなみに以前、日本で、子供の頃からよく見ていたはずの山に分け入り、そこで思わぬ体験をしました。まるで時間と空間が歪んでしまったような、不思議な感覚でした。
山で迷い、歩き疲れた末にようやく帰宅した後、母から「あの山は昔、行方不明者が相次いで、遊歩道が閉鎖された」と聞かされた時は、思わず身震いしたものです。
⇒過去記事:不思議な話(山の中)
