A Dog's World 

~海外で暮らす・日々の記録・旅の記憶~   

イメージ激変!ベトナムのロブスタコーヒー

コーヒーの世界では長らく「アラビカが上質、ロブスタは安価なブレンド用」というイメージが語られてきました。残念ながら自分も、そんなイメージを持っていた一人。

ところが、ベトナムで飲んだロブスタコーヒーに、その固定観念を見事に覆されました。本当に目からウロコ、極上の1杯に出会ってしまいました。

ロブスタ大国ベトナム

ベトナムはブラジルに次ぐ世界有数のコーヒー生産国であり、とりわけロブスタの生産では世界最大級。国内生産の大部分 (9割以上) をロブスタ種が占めています。

ロブスタは病害虫に強く、高温多湿の環境にも適応しやすい品種で価格も手頃。カフェイン含有量はアラビカのほぼ2倍で、一般的に苦味が強く力強い味と説明されます。

そのため長年、世界市場ではアラビカの陰に隠れ、「質より量」のコーヒーとして扱われてきました。しかし近年、その評価が変わり始めています。

Fine Robustaという新しい潮流

近年ベトナムでは、スペシャルティコーヒーの考え方をロブスタにも適用した "Fine Robusta" (ファイン・ロブスタ) という取り組みが広がっています。

発酵や精製工程を丁寧に管理し、高品質なロブスタを生産しようという試みです。

従来のロブスタが苦味一辺倒だったのに対し、高品質なロブスタではチョコレート・キャラメル・ナッツ・ドライフルーツのような複雑な風味が現れます。

こうした品質向上が知られるようになり、世界のスペシャルティコーヒー業界でも、ロブスタ再評価の動きが進んでいます。

実際に飲んでみると

ハノイのカフェで何杯かロブスタコーヒーを飲んできましたが、先週 "refined. (Map)" で飲んだ1杯 (Cà phê đen/ブラックコーヒー) は、それまでのものとは大きく違いました。

まず驚いたのは苦味。もちろん苦味はあります。しかしそれは嫌な刺激ではなく、むしろ芳醇で、しっかりした厚みと深いコクとして感じられました。

アラビカが軽快で華やかな印象だとすれば、良質なロブスタはどっしりとした存在感があります。口当たりは重厚で、喉を通った後もずっと余韻が続きました。

糖蜜やプルーンを思わせる香り

さらに印象的だったのが香り。一般的にロブスタは、ナッツやダークチョコレートの香りを持つと言われます。

しかし自身が感じたのは、それよりも黒糖、あるいはプルーンのような甘くて濃厚な香りでした。しかもこれ、アイスコーヒーでしたからね。

アイスでこんなに香りが立つなんて、本当に驚きでした。アラビカの柑橘系や花のような香りとは異なりますが、こちらもまったく劣っていることはありません。

ベトナムのロブスタには、アラビカにはない魅力がたくさん詰まっていると、そう強く実感しました。

なぜベトナムで愛されるのか

ベトナムの伝統的なコーヒーには練乳を加えたカフェスア (cà phê sữa)、エッグコーヒー (cà phê trứng)、ココナッツコーヒー (Cà phê dừa) などがあります。

こうした甘みの強い飲み方に負けない、力強さを持つのがロブスタ。淹れ方はベトナム式ドリップコーヒー、カフェ・フィン (cà phê phin)。

氷や練乳を加えてもコーヒーの存在感が消えないため、ベトナム独自のコーヒー文化を支える重要な役割を果たしてきました。

歴史的なマイルストーン
 1850年代:フランスがベトナムにコーヒーノキを導入
 1884年:最初の商業用コーヒー農園が設立
 1900年代初頭:手頃な抽出方法フィンフィルターの発明
 1920年代:甘い練乳が標準的な添加物となる
 1950年代:エッグコーヒーが定番人気になる
 1975年~1990年代:統一ベトナム全土にコーヒー文化拡大
 2000年代:ベトナムコーヒーが国際的な評価を得る

ロブスタは「二流」ではない

ベトナムでロブスタを飲んで感じたのは、アラビカとロブスタは優劣ではなく「個性の違い」で語るべきということ。

アラビカが華やかな新鮮果実なら、ロブスタは熟成したドライフルーツ。どちらがより優れているかなど決めようがありません。

少なくとも "refined." で飲んだ一杯は、ロブスタに対する自身の先入観を完全に覆すほど強烈なものでした。

どのコーヒーショップでも「100%ロブスタ」なら同じ感動を味わえるかと言えばそこはちょっと疑問ですが、コーヒー好きならぜひ一度 "refined." に足を運んでほしいです。

自分は一度飲んで感動し、翌週もカフェを訪れもう一度飲んだ上でその美味しさを確信、帰りに同じ豆を買ってきました。

さっそく家で淹れてみると (ホットコーヒー)、お店と同じように黒糖+プルーンのような香りが。これは嬉しかった。豆を挽くところから飲み終わるまで終始ニコニコ。

* * *

カフェの場所はハノイ旧市街、聖ヨセフ大聖堂の向かい側。

洋服屋の2階にあります。下から覗き込むと「refined.」のプレートが。知らなければたどり着くのは至難の業。横並びにある「コンカフェ」は超有名ですが。

観光客でごった返すエリアですが、意外とお客は少なく、静かに過ごすことができました (2回とも土曜の午前中)。本当のコーヒー好きしか来ないようです。

58,000ドン+税=63,800ドン (380円)。フォー1杯より高いけれど、大いに価値あり。飲み干した後もしばらくグラスをクンクン嗅いでいましたよ。それほど香りの余韻が。

豆はベトナム中部高原ザライ省、Mori Farmのハニープロセス。200gで165,000+税=181,500ドン (1,090円)。これで15杯くらい飲めますから、かなりお得感あり。