A Dog's World 

~海外で暮らす・日々の記録・旅の記憶~   

海老三昧の4年間@タイ

タイで暮らしていた4年間、気がつけば数え切れないほどの海老料理を食べていました。料理の種類は30近く、本当に何度口にしたことか。思えば贅沢な日々でした。

トムヤムクン、クンオップウンセン、クンチェーナンプラー、カオクルックガピ、パッタイ、カオパットクン、海老入りのカレーやサラダ、さらに中華系の点心も。

改めて考えてみると、海老ほどさまざまな調理法に耐えられる食材も珍しいのでは。煮てよし・焼いてよし、茹でても・蒸しても・揚げてもよし。

鮮度が良ければ生でも美味しいし、さらには発酵調味料の材料にも。しかも、どの調理法でも海老特有の旨味と香りが失われにくいのが最大の特徴。

海老は何をどう食べても海老。これって実はすごいことです。そしてタイ料理は、この海老の万能性を最大限に引き出しているように見えます。

世界的に有名なトムヤムクンでは、海老はスープの旨味の中心となります。もちろん海老味噌込み (海老味噌を使わないスープもあります)。

クンオップウンセンでは、海老の出汁が春雨に染み込み、主役でありながら調味料のような役割も果たしています。ヤムウンセンなど海老と春雨の親和性は高い。

炭火で焼かれた川海老は豪快な香ばしさが魅力。これだけたくさん川海老 (淡水海老) を食べたのはタイが初めてです。その美味しさはしっかり舌に記憶されました。

クンチェーナンプラーのような生食では、海老そのものの甘みと食感が前面に出ます。まあちょっとおっかなびっくりでしたけれど、でも本当に美味しかった。

トートマンクンではぷりぷりした身と衣の組み合わせが楽しめ、天ぷらや小海老のかき揚げ・素揚げのような揚げ物では、海老の香ばしさがもっとも引き出されます。

大ぶりの海老を堂々と味わう料理もいいですが、小海老を発酵させた調味料で作る炒飯 (カオクルックガピ) も、実に味わい深い一品です。炒飯などお米との相性は抜群。

タイは海に面し、川や運河も多く、古くから海老が身近な食材でした。その恵まれた環境の中で、人々は海老を煮て、焼いて、揚げて、生で食べ、さらには発酵までさせてきました。その結果生まれたのが、驚くほど多彩な海老料理の数々です。

単純に茹でただけ、炒めただけでも美味しいのに、さらにハーブで和えるなどすれば、そこにはたちまちタイ料理の深淵なる世界が広がります。

タイ料理について語るとき、辛さやハーブに注目が集まりがちです。しかし自分にとってタイ料理の魅力を象徴する食材をひとつあげるなら、それは海老かもしれません。

4年間で食べた数多くの海老料理を思い返すたび、その懐の深さと、タイ人の食材使いの巧みさに感心させられます。

前任地ウズベキスタンでは2年間、全くと言っていいほど海老を口にしなかったですが、ベトナムに来てまたグッと海老が身近になったので、ふとこんなことに思いを巡らせました。