ハノイ旧市街地区、ホアンキエム湖の北側は、工芸品や衣料、土産物店、さらにカフェ・レストランが軒を連ねるカラフルでにぎやかなエリアです。
自分も週末のたびカメラ片手にそぞろ歩きを楽しんでいますが、そんな店舗群のうち、個人的にひときわ目を引いたのがロティ屋さん。
ロティはマレーシア発祥のコーヒーパン (Roti Kopi) と呼ばれる菓子パンです。コーヒー風味のクッキー生地が表面を覆い、ツルンとしたメロンパンといった可愛らしい見た目をしています。
フレイバーはいろいろあって、バニラ、バター、チョコレート、抹茶など。好きだったのは、昔インドネシアで食べたメープルシロップ風味 (中はしょっぱいバター)。
まずは、10年前の過去記事を引っ張り出してみます。インドネシアで心を亡くしていた日々、疲れ切った心身を癒すような、どこか懐かしい温もりに満ちた味でした。
王 vs 少年
インドネシアの地方空港で、仕事を終えほとほと疲れきっている時に、ジャカルタ行きの飛行機が1時間遅れますなんてアナウンスが聞こえてくると、本当にがっかりします。
ただ、そんな時は、甘くて香ばしい "ロティオー" (Roti'O) をよりいっそう美味しく食べられるチャンスでもあります。
そこそこ大きい空港であれば、だいたいどこにでもお店があるロティオー。メイプルシロップのような甘い香り、メロンパンのようなカリカリ部分、中に封入されたバターは完全にメルトダウン、この香りが郷愁を誘います。
甘いパン生地と塩気のあるバターが相まって、懐かしさ一辺倒の美味しさと思いきや、意外と攻めた部分もあるなあと関心しきり。
焼きたてのロティオーに当たった時など、もう出張疲れがその場で吹っ飛んでしまいます。心も身体もダウン寸前の時、ロティオーにどれだけ癒されたか。
さて、実はロティオーにはライバルがいます。それが "ロティボーイ" (Rotiboy)。ロティオーはインドネシア、ロティボーイはマレーシア発祥です。
奇しくも「王」と「少年」の対決。駄洒落まじりに勝手にそう思っているだけですが、後発のインドネシアの気概が感じられます。さて、そのお味やいかに。
チャンスはすぐにやって来て、またも出張の帰り、ジャカルタの空港でそれぞれ1個ずつ買ってきて、帰宅後にふたつを食べくらべてみました。
まず、見た目はロティオーの圧勝。ふたつとも同じようにリュックに放り込んできたのに、ロティオーはきれいな形を保ったままでした。偶然とも言えるし、神の采配とも。
それぞれ空港の売店価格でロティオーは11,000ルピア (90円)、ロティボーイは12,500ルピア (100円)。(※それぞれ当時の値段/円換算率)
正直、味は甲乙つけがたし。でも、ちょっとだけカリカリ食感がロティオーか。ならばやはり、ロティオーに軍配。10円安いしね。インドネシア在住だから判定が甘い。
(過去記事ここまで)
さて、マレーシアはロティボーイ (少年)、インドネシアはロティオー (王)。ではベトナムはと言うと、"キングロティ" (King Roti)、そう、キングです。

4つあったメニュー (バニラ・コーヒーバター・チョコレート・抹茶) から、この日はバニラとコーヒーバター (各25,000ドン/150円) を買って帰宅。観光地のど真ん中だからちょっと高いかも。
道中ずっと袋から甘い香りが漂ってきてお腹が鳴りました。インドネシアで食べたふたつはもっとメイプルシロップ感がありましたが、こちらは特に。でも甘くていい匂い。

中にクリームが入っているわけではないのは、インドネシア・マレーシアと同じ (※今はロティオーもクリーム入りがあります)。しょぼい?いや、これがいいんです。

いまから考えると、インドネシアではけっこうタフな状況でロティを味わっていたため、こちらの感受性もマックスでした。
その分、何倍も美味しく感じていたのかもしれません。メンタルがギリギリだった時は、半分泣きながら食べていた記憶も。
ベトナムのキングロティだって甘くて美味しいですよ、間違いなく。でも、当時の感動には及ばないかなあ。きっと思い出補正もジャンジャン効いていますからね。
それはさておき、キングロティは定期的に買いに行くと思います。値段とクオリティーが「コンビニの菓子パン以上、パティスリー未満」という、絶妙なラインなので。
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ちなみに、マレーシアのロティボーイは1998年に生まれましたが (インドネシアのロティオーは2012年)、日本のメロンパンとは関係なく、ルーツはメキシコのコンチャ (Concha) だそうです (↓)。その歴史は植民地時代に遡り、もっとも古いレシピは1820年のものが残っているとのこと。コンチャもいつか食べてみたいなあ。
