先日、ベトナムの朝ご飯について投稿した際、ベトナムとタイそれぞれのハムエッグを紹介しました (⇒コチラ)。
その時は単に似ているからと引き合いに出しただけでしたが、よく考えたら、ベトナムのバインミーチャオとタイ東北部 (イサーン) のカイガタ、何か関係がありそう。
パンをほとんど食べないタイにあって、なぜカイガタだけはハムエッグにパンが定番なのか。そもそもタイの田舎料理にしては洋風すぎます。
そしてイサーンには、ベトナムソーセージに酷似したローカルソーセージ「ムーヨー」があり、カイガタの定番トッピングとなっています。
これだけ情報が散りばめられていながら、まったく思いが及ばなかった自分、なんとも想像力に欠けていました。
調べてみたところ、やはりこれはベトナムからタイに伝播した料理のようです。カイガタのオリジンがバインミーチャオ。そしてその大元は、フランス食文化のベトナム化です。
■共通点
タイ東北部の伝統料理「カイガタ (ไข่กระทะ)」は、ベトナムの「バインミーチャオ (Bánh mì chảo)」に、料理の構成・食べ方が次のとおり非常によく似ており、多くの研究者や食文化ファンは、ベトナムの影響を指摘しています。
・小さなフライパン (スキレット/鉄皿) で提供される
・卵を焼く (目玉焼き)
・ソーセージ、ハム、パテ、肉加工品を添える
・パンと一緒に食べる
・朝食として人気
■歴史的背景
背景には「仏領インドシナ」があります。ベトナム・ラオス・カンボジアはかつてフランスの領土でした。
フランス統治時代に、バゲット文化・パテ・コーヒー・加工肉、そして「フライパン+パン」(日本語だと紛らわしいな・・・) の朝食スタイルが広まりました。
その後、ベトナム人商人・移民・労働者がラオスを通じタイ東北部に移動し、食文化も伝わったと考えられています。
■イサーンとベトナム
タイ東北部 (イサーン) には歴史的にベトナム系住民 (ユアン) がかなりいるなど、ベトナムとの強い繋がりが示されます。
特に、ナコーンパノム、ウドーンターニー、サコンナコーンなどメコン川沿いの地域は、ラオス・ベトナムとの交流が非常に深かった地域です。
この地域では、ベトナム式パン・ベトナムハム (ムーヨー)・ベトナム麺・ベトナム風コーヒーなどが定着しているそう。 (※自分は現地未訪問で直接確認はしていません)
カイガタも、この流れで広がった料理のひとつと見るのが自然でしょう。ただし、完全に同一料理ではありません。
■違い
バインミーチャオには牛肉もよく使われますが、イサーンの人々は牛を食べないため、豚肉が使われます (イサーンでは牛は貴重な農耕の労働力であり大切にされている)。
バインミーチャオが洋食寄り・肉寄り・ボリューム寄りなのに対し、カイガタは卵中心・お肉控えめ・比較的軽めと、よりローカライズされています。(※タイ人は少食)
★バインミーチャオ@ベトナム


★カイガタ@タイ (イサーン)

■まとめ
系譜を整理すると、「フランス朝食文化⇒ベトナム化⇒ラオス・タイ東北へ伝播⇒タイ東北スタイルにローカライズ」という流れになります。
そう言われればカイガタも、鉄鍋から半熟卵やハムなど好きなようにすくい上げ、手に持ったパンに載せ好きなソースをふりかけ、自分のペースで頬張るという食べ方です。
これはベトナム料理の「自分の一皿 (一口) を作る」という食文化と共通の考え方、やはり他のタイ料理とは少し毛色が違いますね。

うん、なんだか少し頭が良くなったような気がする。他にもベトナムと共通していそうなタイ料理を探してみよう。狙いはイサーン料理かな。