ベトナムのあるローカルメディアに、1983~1984年のNHK連続テレビ小説「おしん」に関するコラムがありました。昔のものではありません、去年のポストです。
コラムの要旨は、おしんがベトナムで非常に大きな文化的影響を与え、"Ôsin" (オーシン) という言葉が家政婦・お手伝いさんを意味するベトナム語として定着、しかしそのニュアンスは日本とベトナムでかなり異なっている、という内容です。
- ベトナム語にはフランス語や英語由来の外来語は多いが、日本語由来で一般社会に深く定着した言葉は珍しい。
- Ôsinはベトナムで家政婦・お手伝いを指す一般的な俗称。この言葉は日本のテレビドラマ「おしん」に由来する。
- 主人公おしんは幼少期に奉公人 (使用人) として苦労したため、ベトナムでは「おしん=使用人」というイメージが強く残った。
- 日本では「おしん」は「忍耐・努力・逆境に耐える象徴」として尊敬される存在。「お」も日本語では敬語を作る接頭語。
- 一方ベトナムでは現在、「Ôsin」は冗談っぽく、あるいはやや見下したニュアンスで使われることが多い。
次のスクショは、「結婚なんてまるで "おしん" (メイド) で雇われたみたい」というコラムから (上のコラムとは別のものです)。

おしんは日本での放送後、ベトナムを含む各国で次々と放送され、単なる人気ドラマを超えて、社会・言語・価値観にまで影響を与えた作品として名を馳せています。
特に、貧困を努力で生き抜く女性像が、多くの国で強く共感されました。アジア各国に与えた文化的影響をいくつかご紹介します。
■ベトナム
最も有名なのが "Ôsin" (オーシン)。
・家政婦や住み込み使用人を意味する俗称として定着
・元々は主人公「おしん」の名前
・現在でも広く通じる言葉になっている
■タイ
タイでもおしんは大ヒット。
・我慢強く働く女性の代名詞として認識
・日本人の勤勉さ・忍耐力のイメージ形成に影響
・当時の日本経済成長と重なり、日本的成功の象徴として受け止められた
■インドネシア
インドネシアでは特に主婦層に人気があった。
・貧困から努力で成り上がる物語への強い共感
・女性の献身、家族愛の象徴として受容
・日本文化への親近感を高めた
■中国
中国でも1980年代に大ヒット。
・改革開放期の価値観と合致
・苦労して成功するという立身出世物語として支持
・吃苦 (苦労に耐える) 精神の象徴として語られた
■シンガポール・マレーシア
儒教的価値観をもつ華人社会を中心に人気を獲得。
・家族への献身
・倹約、勤勉
・女性の自己犠牲
■フィリピン
フィリピンでも長く再放送される人気作に。
・海外就労する女性たち (OFW) と重ねて見られた
・家族のために耐えて働く女性像が共感を呼んだ
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次の写真はインドネシアのニアス島で見た美容院の看板。聞いたらやはり「おしん」由来でした。良い印象の言葉として現地に定着、中には子供に名付ける人も。
