世界的な珍味として知られるフィリピンのバロット (Balut) は、孵化直前のアヒルのゆで卵です。フィリピン以外にも、中国本土南部から東南アジアの広い地域で食されます。
ベトナムではホビロン (hột vịt lộn/ホッヴィッロン/南部) またはチュンビロン (trứng vịt lộn/チュンヴィッロン/北部) と呼ばれ、子供から大人まで、よく食べられています。
この手の珍味はレアで値段も高そうなイメージがありますが、実際には1万ドン (60円) 程度で、麺料理やお粥のトッピングとしても普通の食材です。
ベトナム人にとってはぜんぜん珍味の類ではなく、ちょっと精をつけたい時に口にする、きわめて身近な食べ物。ただのゆで卵より、明らかに栄養素も多そうです。
さて、バロットの存在は昔から知っていたものの、口にする機会どころかこれまで目にしたこともなく、もう一生味を知らぬままかと半ばあきらめていた自分。
それが、こうしてベトナムにやって来て、そしてベトナムにもそれがあることを知ったわけです。これはまたとないチャンス・・・かも。
ということで、サッと調べてみたところ、本当にいろいろな所で食べられそう。Googleマップをあれこれ巡り、アパートから徒歩圏内のお店に決めました。
そこはブンズィウのお店で (Map)、写真を見るとほとんどのお客さんがトッピングに卵を追加していました。そして卵の姿も思っていたよりは普通。
少し奥まった場所にあるので、お店にたどり着くまではほんの少し不安がよぎりましたが、ハノイは治安が良いと信じて進みました。(※以下、卵の写真が出てきます、要注意)



間違いなく自分の発音が悪かったのと、そもそも外国人が頼むとは思わなかったのか、最初は卵なしで丼が出てきました。
再度、身ぶり手ぶりでチュンビロンがほしいと伝えると、何度目かでようやく伝わり、殻を割ってポチャンとトッピング。ようやくご対面。

あれ?意外と普通のゆで卵?などと思い、卵をひっくり返してみました。黄身に広がる血管は、確実に成長を感じさせます。でも、実際どこまで育っているのか、いないのか。

卵を割ってみました。うん、何か出てきた。いや、これははっきり頭部と脚部。なるほど、こういうことか。ビジュアルすごいな。。。

意外にも、味やにおいにそれほどクセはなく、言ってみれば出汁のいいにおいが追加された感じでした。ブンズィウのスープにも少し旨味が足されたよう。
そこまでお肉感はなく、普通のゆで卵より濃厚な旨味としっかりした食べごたえがあり、別に骨や内蔵が気になるわけでもなく、予想外にパクパク食べてしまいました。
この味を、見た目だけで避けているなら、ちょっともったいないかもしれません。横のテーブルでは父親に連れられた小さい男の子と女の子が、一生懸命パクついていましたよ。
まあでも、どうしても残酷さは感じてしまうでしょうか。やはり顔があると、もはや卵ではなく、生命。うん、だいぶ気になる。。。
