ウズベキスタンにおける牧畜の起源は非常に古く、少なくとも紀元前6000年頃、初期新石器時代には、ヒツジやヤギの家畜化が始まっていたと考えられています。
そのため、伝統的にさまざまな乳製品や発酵乳食品が食べられており、とくにヨーグルトと乳飲料はスーパーマーケットや市場にもたくさん並んでいます。

以前、 コチラにも書きましたが、代表的な発酵乳食品・飲料をあらためてピックアップ。
■カティック
ウズベキスタンで最も基本的な発酵乳。いわゆるヨーグルトで、酸味がある発酵乳食品です。単体で食べたり、料理に使ったり。
■スズマ
カティックから余分な水分を取り除いて濃厚にした製品。ヨーグルトよりも濃く、料理の付け合わせやディップにも。

■クルト
スズマに塩を加え乾燥させた、小さなボール。長期保存ができ、おやつや保存食品として食べられます。チーズっぽい風味の乾燥ヨーグルト玉。

■アイラン
ヨーグルトに塩と水を加えた発酵乳飲料。起源は6世紀のトルコにさかのぼるとも。暑い季節の飲み物として人気。
■ケフィア
コーカサス地方を起源とする、飲むタイプのヨーグルト。ケフィアグレインから作られ、健康飲料として世界的に知られる。ウズベキスタンでも一般的。
■リャジェンカ
ウクライナ発祥、乳を長時間加熱して発酵させた伝統的な乳酸発酵飲料。ロシアおよび東欧諸国で広く飲用され、中央アジアでも。

乳製品大好きな自分は、ウズベキスタン滞在中これらを大いに楽しみました。こってり濃厚かつキレのある酸味のヨーグルトのあの味は、忘れることができません。
さて、これだけ発酵乳食品・飲料があるのなら、チーズだっていろいろなものが伝統的に作られてきたのではないかと、ついそう考えてしまいますよね。
ところが意外なほどウズベキスタンでは、ローカルのチーズを口にすることはありませんでした。安くて美味しいチーズを期待していたのに。
自分が思うチーズとは、カマンベールとかチェダーなどのヨーロッパ型熟成チーズのこと。対してウズベキスタンは、フレッシュチーズが中心。
中央アジアの遊牧文化圏であるウズベキスタンでは、どうやら熟成チーズが発達しなかったようです。
ヒツジ・ヤギ・馬・ラクダなどの移動型牧畜を行うライフスタイルでは、定住して長期間、熟成を管理する環境が乏しかったことが原因でしょう。
ヨーロッパで主流のレンネット (凝乳酵素) チーズは、数週間~数ヶ月の熟成が必要です。当時の中央アジアでは難しかったことが容易に想像できますね。
また、イスラム的には内蔵酵素であるレンネットの利用が微妙だったという側面もあるそうです (屠殺・内蔵利用の規範が厳格)。
結局、作り方は乳酸菌による自然発酵 (凝固⇒ヨーグルト)、それに塩を加えさらに乾燥させれば、長距離移動にも合理的だったというわけです。
もしかしたらウズベキスタンの純粋な伝統的チーズとなると、乾燥ヨーグルト玉のクルトくらいなのかもしれません。ほぼほぼチーズという意味で。
値段は輸入品より少し安いくらいの (要はまだ高い)、ローカルメイドのヨーロッパ型チーズはたくさんありましたけれど、自分の期待とはちょっと違ったというか。

フレッシュチーズが嫌いなわけではありません。ブリンザチーズ (※) は値段も安めで、きっとウズベキスタン国内で作られていたと思いますが、品揃えも豊富だったのでよく買っていました。
※ブリンザチーズ:中・東欧で古くから作られ (起源は1370年のクロアチアという説)、主には羊乳を使うフレッシュチーズ、国・地域によって製法は様々 (牛乳も)。
ブリンザは美味しいですが、食べる前に塩抜きが必要なのが面倒だし、キュキュッとした食感は好みが分かれそう。
あとは熱を加えてもうまく溶けないのがちょっと残念。焼けばそのまま焦げ目がつきますが、レンジでチンだとまあまあ溶けました。塩梅がよくわからない。



カルディでも売っている地中海沿岸地方のフレッシュチーズ「ハルーミ」は、ブリンザと同じく焼いても溶けないフレッシュチーズ。これも美味しいですね。

久しぶりにフレッシュチーズが食べたくなりました。さすがにブリンザは静岡の片田舎には売っていないので、ハルーミチーズを買ってこようか。
ちなみに、ウズベキスタンを離れる際大量にもらったクルトは、未だ消費しきれず冷蔵庫の片隅に。これでもだいぶ減りましたが。表面に塩がふいているのかな?でも味はそのまま、まだ美味しいです。やはり若干のチーズ風味。
