ウズベキスタンでタクシーに乗っていると、よく運転手がカーラジオで音楽を流しています。中には面白い歌もあって、そんなもののひとつを以前コチラに書きました。
何度か同じロシア語の歌を聴いたことがあって、そのひとつが「百万本のバラ」です。日本でも加藤登紀子さんが日本語の歌詞で歌いヒットしましたね。
旧ソ連邦ではアーラ・プガチョワの持ち歌として知られています。YouTube動画の下に、ロシア語の歌詞と日本語訳を記します。
百万本のバラ (Миллион алых роз)
昔々、あるところに絵描きがいました。
家とキャンバスを持っていました。
でも、彼はある女優を愛していました。
彼女は花が好きでした。
Жил-был художник один,
Домик имел и холсты,
Но он актрису любил,
Ту, что любила цветы.
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そこで、彼は家を売りました。
絵と家を売り払いました。
そして、有り金全部で買いました。
たくさんのたくさんの花を。
Он тогда продал свой дом,
Продал картины и кров
И на все деньги купил
Целое море цветов.
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百万、百万、百万の真っ赤なバラ
窓から、窓から、窓から見える。
本当の恋をしている人が。
あなたのために人生を花に変えたのです。
Миллион, миллион, миллион алых роз
Из окна, из окна, из окна видишь ты.
Кто влюблен, кто влюблен, кто влюблен и всерьез.
Свою жизнь для тебя превратит в цветы.
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朝、あなたは窓のそばに立つでしょう。
あなたは、頭がおかしくなったのか?
夢が続いているかのように、あたり一面が花でした。
Утром ты встанешь у окна:
Может сошла ты с ума?
Как продолжение сна - площадь цветами полна.
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魂が凍りつきました。
「どこのお金持ちのいたずらかしら?」
でも、窓の下に、息も絶え絶えに、
貧しい画家が立っているだけでした。
Похолодеет душа,
«Что за богач здесь чудит?»
А под окном, чуть дыша,
Бедный художник стоит.
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出会いは束の間でした。
夜、汽車が彼女を連れ去りました。
でも、彼女の人生には狂気のようなバラの歌がありました。
Встреча была коротка:
В ночь ее поезд увез,
Но в ее жизни была песня безумная роз.
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画家は一生独り暮らしでした。
つらいことがたくさんありました。
でも、彼の人生は、あたり一面の花のようでした。
Прожил художник один,
Много он бед перенес,
Но в его жизни была целая площадь цветов.
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日本語の歌詞だと、「女優はバラのような華やかな人生を送り、画家は孤独を一生ひきずった」といったような意味にも取れそうですが、原曲は意外と違った趣が。
「女優はあのバラの出来事を一生ひきずり、画家はあの一件を生涯誇りに思い続けた」とも考えることができます。
女優はあの時の謎のお金持ちを待ち続け、おそらく生涯独身。赤いバラを思い続け、それはもはや狂気に。とても幸せな人生だったとは言えないのでは。
逆に、画家は一生一人暮らしだったけれど、生涯あれだけ一人の女性を愛したことはないと、誇りを胸に大いなる幸福感とともに余生を過ごしたのではないでしょうか。
男と女のどちらが幸せな人生だったのでしょうね。男の純粋な気持ちに応えなかった女が悪いということ?まあそれもちょっとなんだかなあ。
ちなみに、昨今はご存じの方も多いですが、そもそもの原曲はラトビアの歌 (マーラは与えた) だそうです。
歌詞の内容もロシア語版とはまったく異なり、子ども時代の哀感に見せて、大国にその運命を翻弄されてきたラトビアの苦難を暗示したものと言われています。
