A Dog's World 

~海外で暮らす・日々の記録・旅の記憶~   

お正月もいろいろ:中東・アフリカ・東南アジア

「海外のお正月ってどんな感じ?」つい最近もこんなことを聞かれました。でもこの質問、意外と返答が面倒なんですよね。

自分がいた国の多くは、カレンダーや歳時が日本とは異なるため、西暦の1月1日を新年の始まりとしている国はむしろ少数派でした。

なので説明がそこからになるし、具体例もひとつだけでは足りないと思うので、ふたつ、みっつとしゃべっているとつい話が長くなってしまいます。

では、そんな各国の事情をあらためてまとめてみます。中東地域はカタール、サウジアラビア、エジプト、ヨルダンに長期滞在しましたが、代表としてサウジアラビアを。参考写真は東南アジアながら世界最大のイスラム教国インドネシアから。

サウジアラビア

カレンダー
ヒジュラ暦 (イスラム暦) で動いています。太陰暦のため1年は354日、1年ごとに西暦より11日ずつ早くなっていきます。西暦2026年1月1日はヒジュラ暦1447年7月12日。西暦の1月1日には何の意味もありません。

お正月はいつ?
ヒジュラ暦第1月 (ムハッラム) 1日に何かあるかというと、何もありませんし、祝日でもありません。毎年11日ずつずれていきますから、季節すら変わっていきます。

では、イスラム教徒はいつ "新年" を感じるかと言うと、それはヒジュラ暦第12月 (ズルヒッジャ=巡礼月) のメッカ巡礼とそれに続く犠牲祭 (イード・アルアドハー) です。

巡礼月に犠牲祭を迎えると、1年の終わりと新しい1年の始まりを感じるのだそうです。サウジアラビア人はみんなこうした意識でした。

お正月に何をする?
上に書いたとおり、ヒジュラ暦の1月1日は何もありません。あくまで普通の日。お正月的なイベントと言えば、犠牲祭に羊や牛を屠りみんなで食べることです。

ラマダン明けの祭日 (イード・アルフィトル) も同様ですが、犠牲祭の方が重視されていたように思います。

ラマダン明けは、ようやく断食を終えた開放感から、飲めや歌えやの明るい雰囲気が漂っていましたが、犠牲祭はもっと宗教的な趣を感じました。

犠牲祭の当日は、路上に羊や牛の皮が積み重ねられることもあります。ただし、サウジアラビアは衛生管理が徹底していたため、そこまで直接的な場面を目にすることはありませんでした。

参考までに、インドネシア (ジャカルタのタナアバン市場) の犠牲祭当日の様子を。屠殺シーンは子供たちもしっかり観察するし、みんな命に感謝して食べていました。

エチオピア

カレンダー
エチオピア暦は30日ずつの12ヶ月と、5日間の第13月 (パグメ/閏年は6日間) から成り、1年は365日です。また、西暦の9月11月がエチオピア暦の1月1日です。さらに西暦より7年9ヶ月ほど遅れているため、西暦2026年1月1日はエチオピア暦2018年4月23日です。

お正月はいつ?
エチオピア暦第1月 (マスカラム) 1日が元日です。西暦で言えば毎年9月11日。9.11アメリカ同時多発テロの当日、ワールドトレードセンターでいつもはたくさん働いているエチオピア人スタッフがほとんど誰もいなかったことから、当局は当初エチオピア人グループの犯行も疑ったそうです。

お正月に何をする?
大晦日の夜はみんな軒先で松明を焚きます。自分がいたのはもう20年も前のことですが、当時は首都アジスアベバでも夜は暗く、年越しの時間に町を歩くと、薄暗い中に松明の火がチラチラ揺れ、とてもいい雰囲気でした。

明けて元旦、朝早くから子供たちが門扉をノックしてきます。お正月の歌を歌ってくれるので、新年おめでとうと言って、お菓子や小銭をあげました。

エチオピア人は家族そろって親戚を訪問したり、着飾って食事に出かけたりします。レストランのスタッフもどこかソワソワして、ハレの日の雰囲気が濃厚。仕事そっちのけで、写真を撮ってくれとせがまれたりしました (↓)。

よく行くレストランでしたが、この日はキッチンの横に羊の皮が山積みされていました。いつもよりお客の数も多かったのでしょう。

タイ

カレンダー
ブッダ入滅 (仏滅) を紀元とする仏暦を採用。グレゴリオ暦より543年進んでいますが、月日は同じ。西暦2026年1月1日は仏暦2569年1月1日です。

お正月はいつ?
タイにはお正月が3つあると言われます。ひとつは1月1日。乾季で気温も涼しい年末年始は絶好の観光シーズン。観光客がたくさん訪れるため、ツーリスト向けに年越しイベントが各所で行われます (タイ人も一緒に楽しんでいます)。

ふたつめは1月下旬から2月上旬の旧正月 (年によって期間は異なる)。中華系の住民も多く、中国寺院には多くの参拝客が集います。

みっつめはタイのお正月と言われるソンクラーン。毎年4月13~15日頃です。タイの一番暑い時期で、日中は40℃になることも。「水かけ祭り」が恋しくなります。

お正月に何をする?
12月31日の夜から1月1日にかけて、チャオプラヤー川で花火打ち上げのイベントがよく行われます。ローカルアーティストのカウントダウンライブも盛況。逆に1月1日の朝からはわりと静かな印象です (みんな疲れちゃって)。

旧正月は、とくにヤワラー (バンコク中華街) は中国寺院の参拝客でごった返します。旧正月はタイの公式な祝日ではありませんが、中華系住民は休みを取る人も多いです。大陸から大挙してしてやってくる中国人観光客で、この時期バンコクは中国度マシマシ。ただし今は様々な要因から中国人観光客が急減しているそうです。タイ政府が懸念を示す一方で、国民はむしろ良いことと捉えているのだとか。

ソンクラーンは本来、お正月に家族で集まり仏像に水をかけお清めするといった厳かな伝統でしたが、近年は単に水をかけ合う「タイの水かけ祭り」としてよく知られています。しかも年々その規模は拡大する一方 (新型コロナ禍に一度トーンダウンしましたが)。

ほどほどに水をかけてくれるならありがたいですが、映画館の手前でバシャリと水をかけられた時は、映画鑑賞中ずっとスボンが濡れていて気持ち悪かったです。。。本来の水かけとはこういうこと (↓)。

以上です。大洋州のトンガとフィジーはそれなりにお正月の雰囲気はあったかもしれませんが、年末年始はいつも一時帰国していたので実態は不明。

中央アジアのウズベキスタンはイスラム教徒が大多数なのであまり西洋的な行事は関係なかったですが、旧ソ連邦でロシア系住民も数%いたので、彼らはそれなりに盛大に新年を祝っていたようです (ここでも年末年始は一時帰国していて現地の様子はわからず)。