A Dog's World 

~海外で暮らす・日々の記録・旅の記憶~   

コルタードとエチオピアのマキアート

コーヒー発祥の地エチオピアには、女性が中心となって行う、冠婚葬祭や客人をもてなすための伝統的なコーヒーセレモニー「カリオモン (Kariomon)」があります。

エチオピアの人々は個人の家で、あるいはブンナベット (コーヒーハウス=カフェ) で、はたまた各種イベント会場で、折々に触れコーヒーセレモニーに参加します。

客人の前で生豆を炭火で焙煎し、香ばしい煙のにおいを嗅いでもらい、煎った豆を臼で挽き、ポットで煮出します。乳香を焚き、ポップコーンや炒った小麦などおつまみも。

3杯まで飲むのが正式、日本の茶道のような大切なコミュニケーションの場であり、時間をかけてコーヒーを楽しむ文化です。 

1煎目は砂糖を入れ甘くして飲むのが一般的ですが、2煎目、3煎目は塩やケベ (エチオピアンバター) を入れることもあります ("こともある" というよりはむしろそれが普通)。

自分が最初に塩入りコーヒーを飲んだのは、南部州アワサでのことでした。こってりしたエチオピア料理を食べた後に飲むしょっぱいコーヒーは、意外にさっぱりしていて違和感なく飲めました。

地方州の辺鄙な場所で、車がパンクしてしまいタイヤ交換の間少し休むことになった際、小さな食堂でいただいたコーヒーはなんだか不思議な味がしました。

思わず「ナニコレ?」と聞いたところ、店主のおばあさんが初めて外国人を見て緊張してしまい、サービスのつもりでコーヒーに砂糖・塩・ケベを全部入れたのだそう。味は悪くなかったですよ。

* * *

エチオピアでコーヒーと言えば、やはりブンナ (コーヒー)。そしてもうひとつ、国民に広く普及しているのが、マキアート (マキヤト、マキャート) です。

エチオピアに住んでいたのはもうだいぶ前のことですが (メレス元首相の時代)、あの頃毎日のように飲んでいたマキアートの味は今も思い出します。

エチオピアを去ってから、いろいろな国でマキアートと名がつくコーヒーを飲みましたが、エチオピアくらい美味しいマキアートに出会うことはありませんでした。

思い出補正があるとしても、やっぱりエチオピアの方が美味しかったよなと、いつも不思議な気持ちになります。と言うか、たぶんそもそもレシピ (配合) が異なります。

エチオピアのマキアートは、量は120cc程度、ミルク2:濃いコーヒー1:フォームミルク1、といった配合が多かったです。

コーヒーが濃くて美味しいのはもちろんですが、今から思うとミルクもコクがあって美味しかったです。そしてふたつが渾然一体となって、あの得も言われぬ美味しさに。

注ぐ順番はミルクが下、コーヒーが上。どうせ飲む前に混ぜるのですが、必ず層に分かれた状態で提供されました。やはりエチオピアのマキアートはこれでないと。

次の写真は日本で飲んだ「イリー (illy)」のマキアート (手前) とエスプレッソ (奥)。コーヒーとミルクの配合は、かなりコーヒーが強く、このマキアートも美味しいのだけれど、やはりエチオピアとは違いました。順番もコーヒーが下、ミルクが上でしたし。

エチオピアに行かない限り、あのマキアートはもう二度と味わうことはできないのかなと、そろそろ絶望を感じ始めたここ数年でしたが、ついに、出会いました。

と言っても、近い味にです。先日ふらりと訪れた日本平PAで「コスタコーヒー (Costa Coffee)」のメニューを眺めながら、「コルタードって何?」と思いながらなんとなく注文。

そしてこれが大当たり!エチオピアのマキアートにかなり近い、コーヒーとミルクのバランスが絶妙な1杯でした。

飲みながらあらためてコルタード (Cortado) とは何か調べたところ、『スペイン発祥で「切る」という意味から。エスプレッソの苦味を切るように、温めたミルクを少量加える。ミルクとエスプレッソの比率が1:1程度で、コーヒーの風味とミルクの滑らかさのバランスが良い。イタリアのマキアートよりミルクが多い分、エスプレッソの風味を保ちつつまろやか』とのことでした。

うん、間違いない、エチオピアのあの味。かなり満足度高いです。ただ、エチオピアってイタリアとは歴史的に縁が深いのに、なぜイタリア式のマキアートではなく、スペイン式のコルタードの方が味わいが近いのだろう。謎だ。。。