A Dog's World 

~海外で暮らす・日々の記録・旅の記憶~   

海を渡る古代人(ラピタ再録)

福岡市博物館で遣唐使船の模型を見学していたら、遠い昔に太平洋を船で渡った古代人ラピタのことを思い出しました。トンガ時代に書いた、そんな過去記事を編集再録。

ラピタ ~太平洋を制した古代人~

ラピタ (Lapita) とは、今から3000年ほど前、パプアニューギニア北部の島々を起点に太平洋全域まで広がっていった海洋民で、ポリネシア人、ミクロネシア人、メラネシア人 (海岸部) の民族的・文化的ルーツであると考えられています。(さらにその祖先は台湾民族だったそう、最後はニュージーランドに渡りマオリに)

ラピタは特徴的な土器 (Lapita Pottery) を残しており、太平洋全域で200ヶ所あまりの地域から出土が確認されています。トンガでは1997年、ハアパイで大規模な発掘調査が行われました。(次の写真はフィジー国立博物館資料)

実は、ラピタの本当の名称はわかっていません。1952年にこの土器が発見されたニューカレドニアで、現地人が発した「Xapeta'a (穴)」という単語を学者が聞き間違え、そのまま定着してしまったそうです。

ラピタ土器は紀元前1350年から紀元前750年にかけパプアニューギニアで盛んに作られ、紀元前250年頃まで続けられたようです。トンガ、フィジー、サモアの西ポリネシア地域でも、紀元前800年頃のものが出土しています。

ラピタ人はわずか数世紀のうちに次々と南洋の島々を発見し、各地に入植していきました。検証によりその大航海は第一期と第二期に分けられますが、その間には1000年ほど空白の時間があります。

太平洋各地に生息するサンゴや、南米アンデス山脈の湖底の堆積物から得た気象データは、このふたつの時代に、異常な高頻度でエルニーニョ現象が起きていたことを示しています。

通常は東から西に向かって吹く貿易風を、時には何週間にもわたって逆転させたスーパー・エルニーニョが、東に向かう彼らの航海を大いに助けたのかもしれません。羅針盤も天気予報もなかった時代に、ラピタ人は自然現象を最大限利用する知恵を持っていたのです。

彼らには大いなる探究心とともに、フロンティアを切り開くだけの優れた航海術があったのでしょう。古代人が現代人よりも科学技術において劣っていたなどとは、なかなか言い切れるものではありません。古代人の叡智にあらためて感動です。