A Dog's World 

~海外で暮らす・日々の記録・旅の記憶~   

食の自由度ランキング

これまで住んだ国々は、たいてい食事に宗教的な制約があって、日本では普通に食べられるものが禁止されていて、かなりの不自由を感じました。中には未婚の男女の同席 (同室) が禁止されていた国も。

例外はタイ。魚介類から肉類、さらには昆虫食まで、日本以上にバラエティーに富んでいました。お酒も普通に飲めますし (自分は下戸ですが)。

トンガとフィジーはそれほど制限はありませんでしたが、小さな島国なのでそこまでレストランの数も食材の種類も多くなく、食べられるものは限られていました。あるものはどれも美味しかったですけどね。

タイトルにあげた「食の自由度ランキング」ですが、正式な統計は存在しないため、宗教的・文化的・法的な食の制約がどれほど少ないかを基準に、AIが推定したものです。

自分が住んでいた国を宗教別に分けると、イスラム教 (カタール、サウジアラビア、エジプト、ヨルダン、インドネシア、ウズベキスタン)、キリスト教 (エチオピア、トンガ、フィジー)、仏教 (タイ)。下のランキングに入っている国は赤字にしました。

食の自由度が高い国

1位:日本
宗教戒律がほぼなく、肉・魚・昆虫・内臓・発酵食品など、あらゆる食材を受け入れる文化。宗教的禁忌に基づく法規制もゼロ。

2位:フランス
カトリック文化圏だが、世俗主義が強く宗教戒律の影響は極めて弱い。ワイン・肉・魚介・内臓料理など多様。

3位:スペイン
伝統的にカトリックだが戒律は日常生活でほぼ意識されない。食文化の自由度が高く、豚肉も広く消費。

4位:中国
政治的統制はあるが宗教的食制限は少ない。地域による食文化の幅が極めて広い (犬肉~精進料理まで)。

5位:ベトナム
仏教的影響はあるが戒律は緩く、肉魚を日常的に食べる。南北で料理多様。

6位:イタリア
カトリック国だが食戒律は実質的に消滅。海産物から肉まで豊富。

7位:タイ
仏教徒が多いが、僧侶以外は戒律を強く意識しない。魚・肉・昆虫など多様な食文化。

8位:韓国
宗教的戒律が弱く、あらゆる肉・発酵食品・内臓料理が一般的。

9位:カンボジア/ラオス
仏教国ながら実際の食文化は非常に自由。

10位:オーストラリア/ニュージーランド
宗教的多様性と世俗主義の共存。世界中の料理を受け入れる社会的寛容性。

食の自由度が中程度の国

・アメリカ
多文化で食選択は自由だが、宗教 (ユダヤ教・イスラーム・ヒンドゥー系) の戒律を尊重する傾向あり。政治的・倫理的議論 (ヴィーガン、遺伝子組換えなど) が活発。

・ドイツ/イギリス
世俗主義だが、社会的に「菜食・ハラール・倫理的食選択」を意識する風潮が強い。

・ロシア
正教会の断食期が文化的に残るが、日常生活での拘束力は弱い。

・ブラジル/アルゼンチン
肉食中心で自由度は高いが、先住民・アフロ系の宗教的禁忌も局地的に存在。

食の自由度が低い国

1位:サウジアラビア
イスラーム法に基づくハラーム食品 (豚肉・酒など) 全面禁止。

2位:イラン
同上。宗教警察による監視が厳格。

3位:パキスタン
豚肉・酒類禁止。イスラーム戒律に準拠。

4位:イスラエル
コーシャー規定 (乳肉分離・血液禁止)。一部地域では宗教的圧力が強い。

5位:インド (ヒンドゥー地域)
牛肉の販売・所持が州によって禁じられる。菜食主義圧力が社会的に存在。

6位:ネパール/スリランカ
仏教・ヒンドゥー両影響。特定祭日に肉を避ける。

7位:インドネシア/マレーシア/バングラデシュ
イスラーム圏。豚肉・酒の制限。ハラールが事実上の基準。

8位:エチオピア
エチオピア正教の断食期が長く、動物性食品を制限する時期が多い。

9位:イスラム系アフリカ諸国
同様に宗教的制約。

10位:ブータン
仏教的殺生忌避から国内の屠殺が制限されている。肉は輸入中心。

* * *

イスラム圏はたいてい豚とアルコールがダメでしたが、高級ホテルや外国人観光客が集まるようなレストランでは例外的に食べる・飲むことができました。

要は、ローカルの人しか来ないような食堂では、豚・酒をそろえたとしても誰も注文しないため、そもそも置かないということなのかもしれません (実際には許認可制が多いです)。

ということで、豚肉 (ポークエキスやラードを含む) と酒類 (調理用のお酒を含む) が自由という点だけでも、日本は食の自由度が高いなあと、自分としては納得のランキングでした。

ところが、さらにAIと会話を進めたところ、実は日本で暮らす異教徒 (というかイスラム教徒) にとっては、食べるものが本当に限られている、極めて不自由な国なんだそうです。

たしかに豚肉以外でも、本来ならイスラム教徒が神の名を唱えつつ屠殺したものでなければ、さらに言えばイスラム機関からハラール認証を受けたものでなければ、食べることができません。

魚のお寿司があるじゃないかと言われても、それまで生魚をたべたことがない人にお寿司を強要するのは酷というもの。

例えばタイも日本と同じく食の自由度は高いですが、南部にはイスラム教徒が多く、そのためバンコクでもハラールの食事が可能でした。ナナ駅周辺にアラブ人街もありましたし。

彼らにしてみれば、日本という国は世界でも有数の、食の自由度が低い (気軽に食べられるものが少ない) 国なわけです。こればかりは、今後も劇的に変わっていくことはないような気がします。

何気なく考え始めたことでしたが、なんだか複雑な気持ちになりました。日本という国を誇りたかったのですが、視点が変われば評価も一変するという。。。

イスラム教徒が食べられないもの (=ハラーム/禁忌・禁止) は下図参照。ちなみにアラビア語のハラームは「ハーレム 」の語源です。

じゃ、そういうことで今日も豚肉を食べておこう。人生の約半分は豚肉が食べられない地域にいましたからね。

・・・・・・とか言いながら、ウズベキスタンの羊肉 (ラム/マトン) が恋しくて仕方ない今日この頃。。。