A Dog's World 

~海外で暮らす・日々の記録・旅の記憶~   

コピルアックが美味なワケ

コピルアック (Kopi Luwak) はジャコウネコが完熟したコーヒーの実を食べ、消化しきれなかった豆をフンとして排泄したものを集めて作られる、希少で高価なコーヒーです。

ジャコウネコの体内にある特殊な酵素が豆に浸み込み発酵することで、独特の芳醇な香りとまろやかな味わいを生み出すとされています。

インドネシア語でコピはコーヒー、ルアックはジャコウネコ。この豆は世界市場で1キロあたり1000ドル以上で売られることも。

さて、このほど、ジャコウネコのフンから採取されたコーヒー豆には、普通の豆より脂肪分や風味を増す成分が多く含まれている可能性があると、インドの研究チームが発表しました。

コピルアックにどのような変化が生じているかは長らく議論が続いていましたが、研究によると、普通の豆より脂肪量や特定の脂肪酸の量が多く含まれていることが分かりました。

ジャコウネコの消化管の中で豆が発酵したことによるものとみられ、風味が良くなり、乳製品のような香りが加わる可能性があるそうです。

* * *

インドネシアの首都ジャカルタに住んでいた時、ジャワ島中部のジョグジャカルタにも何度か行っていて、その際二度ほどコピルアック直販所を訪れました。

コピルアック直販所@ジョグジャカルタ

Kopi Luwak Mataram (Map) は、幻のコーヒーとも呼ばれるジャコウネコの糞コーヒー、コピルアックを格安で買うことができるお店 (製造直販所) です。

お店の軒下にはコーヒー畑で捕まえたというジャコウネコ が何匹もケージに入れられていました。意外とのんびり屋なのかなと思ったり。

これだけ捕まるんだから野生にはジャコウネコがもっとたくさんいて、コーヒー豆をモリモリ食べて、貴重なフンをモリモリしているのでしょう。

軒先で天日干しされていた豆は、どれもコーヒー農園から拾ってきたものとのこと。思っていたよりたくさん? まあでも需要に供給が追いつくことはなかなかなさそうです。やはり希少品。

ケージで飼いながらコーヒーの実を食べさせ、コピルアックを人為的に作るお店も中にはあるそうですが、やはりジャコウネコ自身が完熟豆を選んで食べるからこそ良いわけで。

コーヒーチェリーって甘酸っぱくて美味しいんですよね。豆そのものは消化されず8~9時間後に排泄されますが、ジャコウネコは他にも果物しか食べないので、干されていたカピカピのコーヒー豆は、いっさい臭くありませんでした。

干した後は水洗いを繰り返し、さらに人の手で丁寧に表皮をむきます。悪い豆の選別もここで。地味に大変な作業です。

ジャコウネコのお腹の中で、微妙な酵素の働きによって、独特でまろやかな風味が生まれるのだそう。この風味を消さないためにも、全て手作業で仕上げるわけです。

コピルアックは粉 (1人前5g) をカップに入れお湯 (150cc) をそそぎ、ひと混ぜしてしばらくおいたら出来上がり。飲む時は上澄みをそっといただきます。

豆の量も少ないしこんな適当な入れ方で?と思うのですが、それにしてははっきりとコーヒーの良い香りが漂ってきました。ただ、あくまでも優しくふんわりとした味わい。

カフェインも苦味も酸味も少なくとってもマイルドなので、煎ったコーヒー豆をきび砂糖やチョコレートと一緒に食べるのも美味しいですよ。

コピルアック初賞味@ジャカルタ

インドネシアはコーヒーの一大産地です。トラジャコーヒーやマンデリンはすでにおなじみの名前。スーパーでもたくさんの豆が売られています。

そんな中でもひときわ異彩を放つのが「コピルアック」。ジャコウネコが食べたコーヒー豆を排泄後に拾い集めて作られる希少なコーヒーです。ひと昔前は幻のコーヒーとも。

インドネシアに赴任して早々、ショッピングモールに出店しているカフェ Kopi Luwak で1杯1000円のコピルアックをいただきました。物価の安いインドネシアにしてはかなりの値段です。

注文して待つこと5分。ウエイターが目の前でコーヒーの小袋を開封し、匂いを嗅ぎなさいとばかりに小袋を近づけてきます。

「ふむ・・・、良い香りです」。コピルアックの匂いを嗅いだあと一応そんなことを言いましたが、実は違いとかよくわかっていなかったんですけどね。

そしてコーヒーの粉がカップに投入され、ウエイターが水筒からうやうやしくお湯を注ぎ、スプーンでかき混ぜてからフタをすると、「2分待って」と言い残し行ってしまいました。

え?まさか粉末?とややあせりつつも2~3分待ち、おもむろにカップのフタを開けてまずは香りを。うーん、やっぱりよくわからない。何か特徴のある香りというわけでもないし。

ひと口すすってみると、うーん・・・、1杯1000円と考えると、なんだかとっても美味しいような、でも、やっぱりよくわからない。とにかく穏やかな味。ちなみに最後はカップの底にコーヒーの粉が残ります。もう少し修業を重ねてから再度挑戦しよう。

※注:その後ジョグジャの直販所に行ったりするだいぶ前の話です。今ならもう少し味の違いがわかるかなと思います。

* * *

タイに住んでいた時も一度だけ飲んだことがあります。

シベットコーヒー@タイ

タイ北部、チェンライのドイチャン村でシベットコーヒー (กาแฟชะมด) をいただきました。インドネシア語で言うところのコピルアックの方が通りがいいかもしれません。インドネシアと違いエスプレッソマシーンでいれてくれたので、ガツンとパンチのあるコーヒーでした。どちらが正解なんだろう。

敷地の一画にはシベットが。ジャコウネコというかハクビシン?まあハクビシンもジャコウネコ科ですが。

タイ北部の山並み。気持ちのいい眺めでした。