タイで菜食週間が始まりました (年によって期間は前後)。中華系タイ人が菜食 (キンジェー กินเจ) により身を清めるとともに神仏のご利益を得ようと、熱心な日々を過ごしています。
実は東南アジアの華僑にとって、この菜食週間は旧正月に次ぐビッグイベントなんだそうです。英語だと Nine Emperor Gods Festival、あるいは単に Vegetarian Festival。
タイでの始まりは19世紀、中国のオペラ座 (旅芸人の一座) がタイ南部プーケットの華人労働者コミュニティーを訪れた際、集団で病にかかり、菜食による減量と九皇大帝への祈りによって体調を回復した故事に基づくと言われています (諸説あり)。
プーケットでは頬に鉄串を刺したり舌を切ったり火の上を裸足で歩いたり、苦行を行う奇祭としても知られていますが、バンコクなら中華街 (ヤワラート) に行くと、黄色いバナーを掲げたジェーフード屋台が所狭しと並んでいて、お祭りのような雰囲気です。
■この期間のルール
1. 身体を清潔に保つ
2. 台所を清潔に保ち調理器具を菜食者以外と共有しない
3. 白い衣服を着る (とくに神社参拝時)
4. 肉体的、精神的に善くふるまう
5. 肉食を絶つ ※下記参照
6. 性行為をしない
7. お酒を飲まない
8. 喪に服している人は祭りに参加しない
9. 妊娠中の女性は儀式を見てはいけない
10. 生理中の女性は儀式を見てはいけない
※食べてはいけないもの
肉、家禽、魚介類、動物性食品 (卵、乳製品等) に加え、香りの強い野菜・ハーブを摂らない (ニンニク、タマネギ、ネギ、パクチー)。ただし牡蠣と唐辛子は食べてもよい (会社のスタッフに聞いたので実際とは異なるかも)。
ジェーにより心身ともに軽くなりメンタルのセルフメンテナンスが行われることが、ジェーを行う人たちの狙いです。神仏のご利益を期待しているところも、けっこう大きいそうですが。
近年は華人だけでなく、普通のタイ人も健康を意識して菜食週間を実践する人が多く、バンコクのスーパーやコンビニでもジェー (齋) の小旗が掲げられ、ベジタリアンフードがたくさん売られています。
自分がバンコク滞在中は、日清カップヌードルもキノコ味とトムヤム味のジェーヌードルを出していて、とくにキノコ味はさっぱりしていてクドさがなく味は上々、通年販売すればいいのにとずっと思っていました。
■2018年の様子




■2019年の様子




■2020年の様子




■2021年の様子




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今年 (西暦2025年/仏暦2568年) もにぎやかに行われているようです。

ジェー料理が美味しそうすぎて、「菜食=禁欲・節制」といったイメージが湧きません。フルーツソムタムとか青パパイヤの天ぷらとか、また食べたいなあ。




