日本ではもう何年も和式トイレを使っていません。そもそも遭遇する機会が激減したし、和式と洋式があったら自分は迷わず洋式に入ってしまいます。
和式トイレのことを英語でスクワットトイレ (Squat=しゃがむ) といいますが、東南アジアや中東の公衆トイレ (公共施設のトイレ) では、まだまだ現役です。

日本の便器には半球状の出っ張りがあり、これを前側としています。結果、入り口のドアに背を向け奥の壁に向かって座ることが多いですが、必ずしもではありません。

中東のヨルダンは、トイレの座る向きが日本とは反対のようです。東南アジアのタイは、絶対ではなさそうですが、日本と同じ向きのよう。それらについて書いた過去記事を。
ヨルダンのトイレの話
ヨルダンのトイレには西洋式ももちろんありますが、ホテルなどを除けばオリエンタルスタイル (和式) の方が多いと思います。
こちらでは水洗いが主ですから、どのトイレもほとんど紙は置いてありません。紙のかわりに水瓶が置いてあるところは大きな違いですが、見たところ、基本的な作りは和式そのものです。
おそらく日本人ならほとんどの人が、和式風に奥を向いて座るのではないでしょうか。かくいう自分もそのようにしていました。
ところがある日、これは入り口の方を向いて座るものだということを知りました。今まで反対に座っていたと言ったら、ヨルダン人に大笑いされてしまいました。
作りはほとんど同じなのに、なぜ座る向きが反対なのでしょう。シルクロードのどこかに、東西を分ける「奥向き/入り口向き」の分岐点があるのかもしれません。

タイのトイレの話
バンコクポスト紙にタイのトイレに関するコラムがありました。まだまだしゃがみ式トイレ (スクワットトイレ) が多いタイで、外国人旅行者が慌てないよう、トイレの歴史や使い方を説明。この中で、座る向きは日本と同じ (が理想的とされる) ということがわかりました。
■歴史
1890年代、チュラロンコーン王の治世末期、王国では近代化が進められ、西洋の基準に合わせようと努める中で、国内に公衆トイレが設置されるようになりました。
しかし初期のトイレは、汲み取り式便所に似た簡素なもので、バケツの上に木製の台を置き、そこに座って (しゃがんで) 下のバケツに排泄するスタイルでした。
1924年、地方の県知事であったプラヤ・ナコーン・プラ・ラームが、改良されたスクワットトイレを導入したことで、画期的な進歩がもたらされました。
これはハエの侵入を防ぐためのウォータートラップと、臭いを最小限に抑える通気管、そして排泄物を水で流す機構を備えた、現代のトイレでも標準になっている革新的設計でした。
■水洗トイレの普及
トイレの普及に伴い、西洋式水洗トイレが高価な輸入品としてタイに導入されました。1917年から1947年の間、これらの近代的なトイレは王宮や海外で教育を受けた裕福な家庭に限られていました。
第二次世界大戦後、近代住宅建設の時代に洋式トイレの設置が進み、1950年代には国内に広く普及、家庭にも欠かせない設備へと進化を遂げました。
■しゃがみ式トイレの利点
現在、タイの都市部は洋式トイレが席巻していますが、しゃがみ式トイレにも多くの利点があります。
一見、しゃがみ式は問題を抱えているように見えるかもしれません。膝の痛みを引き起こし、高齢者や身体の不自由な利用者には不向きで、衛生面でも課題があります。
こうした欠点にもかかわらず、しゃがみ式はいくつかの魅力的な利点に基づき、その重要性を主張する熱心な支持者がいなくなることはありません。
衛生上の利点:しゃがみ式トイレは、肌が便座に触れることがないため、衛生状態の維持が難しい公共トイレにおいて、接触感染のリスクが大きく低下します。
健康上の利点:しゃがむことで排便臓器が自然とまっすぐになり、排泄が促されます。洋式は、長時間の座り姿勢による便意の減退 (=便秘) やいきみによる痔核の発生リスクが、比較的高いと言えます。
経済上の利点:しゃがみ式トイレは、洋式トイレにくらべて設置と維持にかかる費用が大幅に安いため、公共施設や発展途上地域にとって、経済的な選択肢となります。
■正しい使い方
タイを訪れる多くの外国人旅行者にとって、特に寺院や道路沿いの施設で緊急の用を足す必要がある場合など、しゃがみ式トイレに遭遇する機会は少なくありません。
西洋では見慣れない設計のため、地元の人なら慣れた方法で簡単に対処できるにもかかわらず、実際にはいくつかの困難が伴うでしょう。
衣類の管理:初心者は下着・ズボンをすべて脱ぐのが最も安全な方法と考えがちです。経験者なら足首まで下げる。しかしベストな方法は、ズボンを足首ではなく膝まで下げることです。こうすることで、しゃがんだ時に布地が床についたり排泄物が布地につくこと、衣類の脱着に時間を費やすことなどを、極力避けることができます。ズボンのポケットからサイフや鍵、スマホなどを取り出すこともお忘れなく。
正しい姿勢:肩幅に足を開き、便器の両側に足をしっかりとつけ、理想的には便器の正面側を向いて (トイレに入ったらそのまま奥を向いて) 立ちます。しゃがむ姿勢は、膝を完全に曲げ、腰を足首の高さまで下げます。深くしゃがむことに慣れていない方は、膝を抱え込んだり、近くの手すりにつかまったりすることで、安定性とバランスを保つことができます。
■清拭方法
トレイットペーパーがないトイレでは、バケツに水が汲み置かれ小さな手桶が付いているか、手持ちのシャワー (スプレー) が用意されています。この場合、片手で水をかけながら、もう片方の手で直接洗浄することになります。
しかし往々にして、洗浄用の水もトイレットペーパーもないトイレがあるので、旅行中はティッシュペーパー (ウェットティッシュ) の携行が欠かせません。
■大切なエチケット
大きな商業施設のトイレでない限り、配管システムでトイレットペーパーを流しきれないため、ペーパーは流さずにトイレ横のゴミ箱に捨ててください。
水洗機構がない場合、備え付けの水バケツまたは水ホースを使って排泄物を完全に流し、次の利用者のために便器を清潔に保ってください。流す時は水の飛び散りに注意。
洋式トイレに慣れている人にとって、しゃがみ式トイレは最初は使いにくいと感じるかもしれません。しかしタイが近代化を進める中、特に地方や伝統的な地域において、しゃがみ式トイレは文化的景観の重要な一部であり続けています。

(過去記事ここまで)
さて、しゃがみ式トイレ (スクワットトイレ) の座る向きは、日本から東南アジアまでと、中東 (おそらく中東以西も) で、どうやら反対になるようです。
この問題は、西洋人の間では永遠のテーマとなっているようです。掲示板の議論も活発ですが、正解は出ないまま。以下、"Reddit" のマレーシアに関するあるスレッドから。
スクワットトイレの座る向き
■質問
スクワットトイレの「正しい使い方」に関するガイドラインを見たことがない。AとBのどちらが良いのだろうか?

■回答
・お前がしている時に誰かがドアを開けたら、お前はそいつを睨みつけたいのか?それとも丸出しの尻を見せたいのか?
・俺はトイレから出るのが楽だからBだね。
・選択肢Cが必要だろう。穴の位置によって状況は変わる。命中させなきゃならんからね。
・自分は気にしないけど、水道管は右側にあるんじゃない?
・Bだとは思うけどさ、実際は第三の回答だろうね。とりあえず手のひらに出して、穴に投げ込む。マレーシア旅行中、高速道路沿いのトイレに何度も入った経験から。(※トイレの内壁に手をこすった跡が・・・)
・神様、どうかBであらんことを。トイレの水が流れず、Aでした前の生徒のものがずっと残っていたことが。(※典型的なマレーシアの小学校・・・)
・俺はこのトイレが嫌いだ。
・A。その方が主張が強いと思う。
・私はマレーシアに6年住んでいるけれど、未だに正しい使い方がわからないよ。
・Aか。それって日本式だよね。
・この図で言えば、Bならまっすぐ穴に入るよ。
・私ならBを選ぶ。したものを観察したい場合はAかな、やったことはないけれど。
・僕なら我慢して家に帰ってするよ。でもBならアサシンに襲われたとき防御できるかもね。
・結局、水道の位置とホースの長さによるんじゃない?

---以下、議論は尽きない---
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自分も今回あらためて調べてみましたが、国・地域による確固たるルールは、結局わかりませんでした。これがきちんと決まっている日本て、地味にすごいなと思いました。