A Dog's World 

~海外で暮らす・日々の記録・旅の記憶~   

ワヤン・クリ:インドネシアの影絵芝居

「ワヤン・クリ」はインドネシアのジャワ島やバリ島で行われる伝統的な影絵芝居を中心とした民俗芸能で、ヒンドゥー教をベースとした「ラーマーヤナ」「マハーバーラタ」の物語を題材とします。

ワヤン (Wayang) は影、クリ (Klit) は皮革の意味で、人形は水牛の皮で作られます。影絵芝居をワヤン・クリといい、その他に絵巻物を使った「ワヤン・ベベル」、木偶人形芝居「ワヤン・ゴレ」、俳優が演じる芝居「ワヤン・オラン」などがあります。

10世紀頃、ジャワの宮廷でインドの古代叙事詩「ラーマーヤナ」「マハーバーラタ」が翻訳され、その物語を題材として芝居が演じられるようになったそうです。14~15世紀には、イスラームの布教者たちが影絵芝居を考案して盛んになりました。

19世紀にさまざまな人形が作られ、また伴奏音楽のガムラン楽器も発達して高度な演劇形態となり、やがて世界に知られるようになりました。2009年にはユネスコの無形世界文化遺産に登録されました。

ワヤン・クリ鑑賞記録(2015年)

ジョグジャカルタのソノブドヨ博物館 (Map) で毎夜上演 (※2015年当時) されていたワヤン・クリを観ました。この日の演目はラーマーヤナ・エピソード8 (最終幕)。

荘厳でありかつ激しくもあるガムランの音色、現地語 (インドネシア語ではなくジャワ語) で朗々と語られる古代神話、息を呑む影絵の動き。言葉はまるでわかりませんでしたが、思わずグッと惹きこまれました。

人形を操り、語り、歌を歌うのは「ダラン」と呼ばれるひとりの人形遣い。たったひとりでここまで荘厳な物語を演じることができるとは、まさに名人芸。劇は何時間もかかりますから、知識だけでなく体力も必要です。

ワヤン・クリは裏からでも表からでも自由に観て良いとのこと。白黒の影絵はこの世の側で、極彩色に彩られた方があの世 (極楽浄土) を表しているそうです。

あの世の光景はこうで:

この世はこう:

客席も両側にあります。どちらからでも鑑賞可能。行き来して観ているお客さんも多く、このゆるい感じがよかったです。あれから10年、今はもっとあれこれ整えられているのかな。

ワヤン博物館

ジャカルタのコタ駅の北側、ファタヒラ広場の横にあるワヤン博物館 (Map)。中にはインドネシアの伝統文化を代表する影絵芝居の人形や木彫の人形、仮面などが、全国から集められ展示されています。

もともと人形やぬいぐるみを見ると中に魂が入っているんじゃないかと、ついそっち系の目で見てしまうところがあるので、この博物館はちょっとドキドキしながら楽しめました。実際に人形を目の当たりにすると、まるで息遣いが感じられるようでした。

当時、一部の日本語ガイドブックには内部の撮影不可とありましたが、実際には入場時にカメラチケットを買えばOKでした。