中央アジア5ヶ国 (ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン) の貴重な水源である国際河川、アムダリヤとシルダリヤ。

ウズベキスタンもこの2本が国の生命線です。とくに南側のアムダリヤは、旧ソ連時代から大規模灌漑農業の原動力でした。一方で、その経済構造も今は負の遺産となっています。

1991年に崩壊したソビエト連邦からそれぞれ独立した5ヶ国は、河川の年間取水量について協定を結びました。国の規模や河川への依存度から、数字は一見いびつ。下流にあるウズベキスタンとトルクメニスタンがほとんど使うことになっています。

この協定には、同じくアムダリヤ流域にあるアフガニスタンは参加していません。1992年当時は取水量が約21億トンと少なかったことから、除外 (無視) されたそうです。
この頃はアフガニスタンも共産主義政権が倒れ、ゲリラ勢力による暫定政権が樹立されたものの政情は混沌としたまま。そのため交渉のテーブルに呼ぶことが難しかったのかもしれません。
現在のアフガニスタンは、アムダリヤから約70億トン取水しています。さらに、年間100億トン取水するための運河 (コシュテパ運河) の建設が順調に進んでいます (※数値はウズベキスタンのローカルメディアの報道から)。


相変わらず水問題が深刻なウズベキスタンにとって、アフガニスタンがアムダリヤからさらに100億トン取水することは、国家の屋台骨を揺るがす大問題です。
ウズベキスタン政府も代表団を送って交渉していますが、あまり上手くはいっていない様子。トルクメニスタンがどう考えているかは見えてきません。
アフガニスタンは流域国として、水を使う権利は当然あるので、それは決して他国に侵害されるべきではありません。
あらためて中央アジア5ヶ国協定にアフガニスタンも加わってもらうか、あるいは効率的な運河建設・維持管理や節水型農業の技術支援を積極的に行っていくなど、今以上に関係を強化していくことが必要でしょう。
今もウズベキスタンとアフガニスタンはビジネスパーソンの往来は多いので、政策レベルでもっと協調できればよいのですが。
■写真:アムダリヤ (ウルゲンチ⇒ヌクス上空、奥側が南)


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こんな事を考えたのは、アフガニスタンの首都カブールが深刻な水危機に直面しているというニュースが駆け巡ったからです。ウズベキスタンのように農業用水が足りないというレベルではなく、本当に命に関わる水不足。
あのエチオピアですら、首都アジスアベバはそれなりに給水できていたので、首都でそんな状況というのは、自分もなかなか想像がつきません。
エチオピアも表流水が限られているため地下水に依存せざるを得ず、それは常に開発コスト (地下水探査・井戸掘削・給水施設建設) と、さらに維持管理コスト (水委員会設置・料金徴収・メンテナンス) との戦い。
維持管理のためにはスペアパーツのサプライチェーンが必要だし、メンテを行う技術者の育成も必要。ローカルビジネスとして回らなければ永遠にドナー依存のままですし、とにかく課題が山積していました。
自分がエチオピアにいて地下水開発のプロジェクトに関わっていたのはもう20年も前のことですが、今はどうなんだろうと調べてみると、どうやら劇的な改善はしていない模様。
気候変動の影響で開発計画に修正が必要になったり、政情が不安定で一貫した開発政策がとれないなど、ローカルで行ってきた努力が必ずしもすぐに報われるわけではありません。
やはり魔法のような解決策はないことを肝に銘じ、地道に努力していくしかありませんね。意識改革、もっと言えば、男性の意識改革も重要です。
「水汲みは女・子供の仕事」。せめてこの考え方は、20年で少しでも改善されていることを願います。(※下の写真は20年前のものです、関連過去記事:タナ湖のほとりで考えた)


