去年の夏、ラーメンに一番合うお肉 (トッピング) はなんだろうという投稿をしましたが、その時ピックアップしたものはチャーシューが中心でした (⇒コチラ)。
あらためて読み返したのですが、ひとつの事実に気がつきました。それはラーメンのトッピングに揚げ物がないこと (自分は食べたことがなかったこと)。
チャーシューに加えて茹で肉、ロースト、そして肉団子などいろいろ食べてきましたが、過去の写真を探してみても、見つかった揚げ物の写真はわずか1枚でした。
ただしそれも10年前のこと。富士山静岡空港でいただいた、マグロの竜田揚げ・桜エビ・シラスが載った静岡ご当地ラーメン。残念ながら味は覚えていません。
さて、今までほとんど縁のなかった「揚げ物が載ったラーメン」ですが、このところ立て続けにいただく機会がありました。簡単な感想つきでご紹介します。
■排骨 (パイコー/パーコー)
「宝珍茶寮」(Map) の「パイコーメン」(1050円)。排骨は豚のスペアリブという意味の中国語で、豚肉に衣をつけて揚げたものや、それを醤油ベースのタレで煮込んだ料理のことも排骨と言い、台湾では駅弁や屋台、家庭料理として親しまれているそうです。麺に載せて排骨麺、ご飯に載せて排骨飯。
以前からパイコーメン (パーコーメン) の存在は知っていましたが、今回初めていただきました。本家では五香粉などの香辛料が使われるそうですが、こちらのお店はカレー粉が効いていました。これだけで日本の醤油ラーメンがたちまち異国の香りを放ちます。
しっかり目の衣は油もあるのですぐにスープを吸ってブヨブヨになることもなく、ラーメンのトッピングとしてはなかなか秀逸なお肉だなと思いました。まあでも少し油っ気が強くなりますね。
排骨はとても美味しかったですけれど、ラーメンよりはご飯に載せた「パイコー飯」(1150円) の方が、自分にはより美味しかったかも。排骨の下に青菜がたっぷり敷かれていて、甘めのタレ (餡) も全体のバランスを整えていました。
■とんかつ
「銀杏亭」(Map) の「かつカレーメン」(1150円)。静岡市でカレーラーメンを探しているうち、このお店にたどり着きました。調べたところ岡山市のご当地ラーメンだそうですが、全国的に見てもそれほどありふれたメニューではありませんよね。
とんかつはすでに完成された料理なので、それをラーメンのトッピングにするというのは、なんとも贅沢というか、あるいはもったいないというか。衣にスープがすぐに染みてしまうのも課題かと。とんかつって衣の美味しさも大きいですからね。
あとは、やはりとんかつはソースが合うのかなということ。もしくはカツ丼の甘辛のタレ。あまりにもこのふたつが馴染みすぎているので、醤油ラーメンスープはどうも。もちろん、ここのはカレーも加わりますから、一段深い味わいがありましたけれど。
総評としては、ラーメンの贅沢トッピングとしてはあり。ちょっともったいないけれど、という注釈付きで。
■天ぷら
「かづや」(Map) の「天ぷらラーメン」(850円)。お蕎麦で言えば天ぷらは最高の組み合わせだし、とくに海老天なんて花形スターです。うどんも然り。なのに、同じ汁麺でありながら、ラーメンに天ぷらってなかなか聞きませんよね。実際このお店を見つけるまで、少し時間がかかりました。
ここは清水駅前銀座商店街に古くからあるお店で、蕎麦・うどん・ラーメン、丼・定食・カレーライスなど、ひととおりのご飯がそろう昔ながらの大衆食堂です。だからこそラーメンに海老天を載せる組み合わせもできたのでしょう。
ラーメンは昔ながらの鶏ガラ醤油といった味わいで、ストレートな細麺を柔らかめに茹でているためどこか素麺を食べているような気もしました。スープが塩気控えめで優しい味付けなので、麺の細さ・柔らかさが絶妙にマッチ。
チャーシューは脂身少なめのこれまた昭和っぽいチャーシュー、メンマは甘め、ネギも適量。とにかくバランスの良い1杯です。さてここに海老天がどう絡むのか。うーむ、、、合うような、合わないような。。。
この値段にしては海老天が大きいことにまず驚きました。しっかり火が通った海老天は、なかなか食べごたえもあります。衣がスープを吸わないうちにひと口食べようと思い箸で持ち上げましたが、その1アクションですでに衣はベロン。
スープに衣を混ぜつつすすってみると、うーん、なんだろうなあ、やはりラーメンスープよりは蕎麦・うどんの和風スープの方が合うのかなあ。それも刷り込みなのかもしれせんが。
事前に想像していたよりは美味しかったですよ。自分まだまだ昭和感覚なので、実はけっこうご馳走感があったかも。令和の時代にはややキテレツでしょうけれど。実際のところ、天ぷらラーメンがほとんどない理由もわかる気はしました。
■唐揚げ
ラーメンのサイドメニューではよくある鶏の唐揚げ。しかしこれがオンザラーメンになると話は別です。天ぷらラーメンも探すのが大変でしたが、唐揚げ (を載せた) ラーメンは結局地元では見つかりませんでした。
なので、とりあえずこの組み合わせがどんなものであるのか体験するため、ファミチキを買ってきてカップラーメンに載せてみました。血迷ってレッドホットにしたのはちょっと行き過ぎだったと、後で反省。
結論だけ言うと、この組み合わせは無しです。カップラーメンは往々にしてスープの塩分が強すぎで (家にあったのもそうでした)、唐揚げにもしっかり味がついているため、唐揚げ (ファミチキ) を食べつつスープを飲むと、もうしょっぱすぎて半分涙目でした。
チャーシューはもちろん、とんかつも天ぷらも、揚げ物そのものにはほとんど塩味はついていません (二郎系ラーメンのチャーシューはしょっぱいですがそれはそういう個性)。だからこそ、ラーメンのトッピングとして考えられるわけです。
一方の唐揚げは、普通しっかり味がついているので、ラーメンスープとは合いません。しょっぱくなりすぎます。唐揚げではなく、うどん屋のとり天/かしわ天にすればよかったかな。いやでもそれは天ぷらカテゴリーか。
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ということで、唐揚げが合わないのは予想外でしたが、引き続き揚げ物オンザラーメンは調査していきたいなと。たぶん魚介ラーメンに海老のかき揚げとか相性良さそうだから、きっと探せばお店もありそう。