A Dog's World 

~海外で暮らす・日々の記録・旅の記憶~   

懐かしき赤いチャーシュー(ムーデーンを求めて)

タイで暮らしていた時によく食べていた、ムーデーン (หมูแดง)。表面が赤い色をした豚肉のチャーシューです。英語だとレッドポーク (Red Pork)。

紅麹を使った赤く甘いタレに漬け込まれ、窯でしっかりローストされたチャーシューは、豚肉の香ばしさとタレの甘みが食欲をそそります。(※注:コストカットを理由に食紅を使ったり焼かずに茹でる場合もあるそうです)

また、全般的に脂身少なめで肉質がしっかりしているので、噛み締めて食べると美味しさがジュワッと口の中に広がります。

カオムーデーンやチャーシュー麺、美味しかったなあ。カオパットもよくテイクアウトしたし、みんなで食事する時は盛り合わせをよく頼んでいました。

タイの後はウズベキスタンに行ってしまったので、当然その期間は豚チャーシューはおあずけ。日本に戻ってきて、あらためてまたムーデーンが食べたいなと、そんな気持ちがムクムクと。

ところが、これがなかなか見つかりません。昔の記憶から、町中華あるいはラーメン屋ですぐに見つかるだろうと考えていたら、まったくそんなことはありませんでした。

あまりにないのでちょっと調べてみたところ、どうやらこの赤いチャーシュー、今や "絶滅危惧種" なんだとか。

確かに、最近食べたラーメンだけでなく、ハードディスクの写真フォルダを何年か遡ってみましたが、日本の写真では赤いチャーシューがひとつも見当たりませんでした。

昭和の時代は赤いチャーシューが当たり前だったように思いますが、今はラーメンのチャーシューもいろいろありますからね。自分の目が向いていなかったのも事実。

肉の部位 (バラ肉・肩ロース・もも肉)、調理法 (煮豚・焼き豚・低温調理・炙り焼き)、切り方 (薄切り・厚切り) などお店によって趣向が凝らされ、食感もトロトロ・ホロホロ・シッカリ系など様々です。果たして赤は廃れてしまったのか。

以下、まずはここ数年で食べてきたチャーシューたちの写真を。焼き豚あるいは煮豚のお肉しっかりめ食感、低温調理 (レアチャーシュー)、煮豚トロトロ系・シットリ系、厚切りチャーシュー、昔ながらの蕎麦屋のラーメン (赤チャーシューではない) 等々。

* * *

さて、ここからが本題。GoogleマップやChatGPTを使って赤いチャーシュー (赤縁チャーシュー) を出すお店を探したところ、静岡市でようやく1軒、見つけることができました。

JR静岡駅にほど近い場所にある「登華園 (Map)」は1969年創業の老舗町中華で、ユーザーレビューでも多くの方がチャーシューに触れています。

今回の注文はチャーシューワンタンメン、950円也。メニューは豊富で各種ラーメンは700~800円、レバニラや酢豚など各種定食は800円台が多く、このご時世にありがたい。

ラーメンはどこか懐かしい、昭和テイスト漂う1杯。けっして今風の見た目ではありませんが、「これは美味そうだぞ」と何か確信が持てるビジュアル。

鶏ガラの旨味と甘味に濃いめの醤油がバランスよく配合されたスープは、時おり生姜の風味など変化があって味に深みがあるため飽きが来ず、レンゲを口に運ぶ手が止まりませんでした。

また外側パッツン、噛むとモッチリな細麺がスープにベストマッチ。そして赤いチャーシューです。しっとりした肉質は噛めば噛むほど旨味が口に広がりました。

ほんのり甘味があって、お肉の香気が鼻に抜ける、この懐かしい感覚。自分はタイを思い出しているのか、それとも昭和へのノスタルジーなのか。

こういう昔ながらの、丁寧に作られたチャーシューを食べたことのない世代もいるんでしょうね。実際、自分ももう久しく日本で赤チャーシューは食べていませんでしたから。

現代のチャーシューを否定しているわけではありません。どれも美味しいことは間違いないです。ただ、選択肢として赤いチャーシューが消えるのは、実にもったいないなと。

タイのムーデーンをまた食べたいな。本格的なタイ料理屋に行けばあるのでしょうけれど、静岡の片田舎ではなかなかハードルが高い。。

なお、さらに調べていったところ、とりあえず富士市に2軒、またお店を見つけました。こんど行ってみよう。