A Dog's World 

~海外で暮らす・日々の記録・旅の記憶~   

屋台飯:インドネシアの場合

東南アジアといえば屋台飯が充実しています。自分はジャカルタとバンコクに数年ずつ住んでいましたが、食材を買ってきて自宅で調理するよりも、屋台の方が安くて早くて美味しいという声はよく聞きましたし、実感としてそれは納得です。

とはいっても、現地に住んでいると意外と屋台飯を食べようとは思えず、移動式屋台は徹底拒否、せいぜいワンランク上の固定式屋台でした。移動式屋台はやはり衛生面が気になるからです。

屋台も表から見ればそこまで汚いとは思いませんが、ちょっと裏側をのぞいてみると、お客が食べ終わった食器をつけておく洗面器の水が、黒というか茶色というか、まるでドブ川の色だったりするので、もう一気に冷めてしまうわけです。

ということで、自分の場合、インドネシアの屋台でご飯を食べたことはほとんどありません。一番通ったのはドリアン屋台かな。こればかりは家に持ち帰るのは危険ですから。タクシーも乗車拒否されそうだし。では、そんなものをいくつかご紹介。

ルジャッ・ソト@バニュワンギ
このお店「Rujak Soto Bu Sum (スムおばさんのルジャッ・ソト)」は、当時Googleマップ上で珍しくユーザーレビューが多く (それでも10件くらい) 期待して行ったのですが、タクシーでいざ着いてみると、運転手も思わず「本当にここでいいの?」と困り顔で聞いてくるような、およそ外国人が行くようなお店ではありませんでした。

でもせっかく来たんだからと、のれんをかき分けベンチに着席すると、スムおばさんも先に座っていた高校生も、見知らぬ侵入者にどこか不安顔。座って数分、こちらも沈黙に耐えかねて、バニュワンギ旅行に備え3日かけておぼえたインドネシア語を駆使し愛想をふりまくと、ようやくお店にも安心感のようなものが生まれたのでした。

ルジャッ・ソトは、ガドガドサラダにモツ煮込みをかけたような料理です。スープはコクがあってかつスッキリ。茹で野菜と揚げ豆腐がハーモニーを生み出し、見た目よりずっと美味しいです。調理は目の前で行われ、野菜は何を入れるか、唐辛子は何本か、甘さはどれくらいか、終始好みを聞かれます。途中で一度味見もあり、できあがりは限りなく自分好みに (なるはず)。

ミー@メダン
スイスベリンホテルの裏手は屋台がずらりと並ぶ、(B級) グルメストリートでした。ただしそれぞれしっかり店舗があって、店頭に屋台が置いてあるといった形態。果たして屋台と言っていいのか。。それはさておき、一番お客が入っているお店に入り、何を頼もうかなと考えていたら、自動的にミー (ラーメン) が運ばれてきました。確かに周りのテーブルもほとんどこれなので、もうこの一杯に命をかけているお店なんですね。

スープはコクがあってかつスッキリ。麺は臭みもなく噛み切る時のプツプツ感が小気味良い。刻みチャーシューもワンタンも美味しい。揚げタマネギの香ばしさが良いアクセント。ジャカルタにもそれこそ星の数ほどミーを出すお店はありますが、何かが違う (豚肉だから?)。さすがグルメシティー、メダン。満足の一杯でした。

ドリアン@ジャカルタ
ジャカルタ北部、中華系の住民が多いマンガブサルには、季節になるとドリアン屋台がずらりと並ぶ通りがありました。後年、タイに行ってさらにドリアンの真髄を味わいましたが、ジャカルタにいた時はメダンのドリアンで十分美味しいと思っていました。

夜7時半、どの屋台もみんな大賑わい。お客も真剣にドリアンを選んでいます。ここではおおまかに2種類売られていて、ひとつは国産、メダンのもの。小ぶりなのが当時1個400円くらい (たぶん外国人価格)。もうひとつはタイのモントーン種、輸入品だし実が大きいのでけっこう高い (1000~2000円)。

この騒がしい路上で周りのインドネシア人と同じように屋台のイスに座り、みんなでワイワイ言いながら食べたからなのか、ほとんど臭いは気になりませんでした。お店のご主人にお任せしたドリアンはどれもクリームのようにとろける味わいで、当初買っていたスーパーのパッケージ売りのものとは大違いでした。

揚げ物 (パンノキ)@ジャカルタ
揚げ物(ゴレンガン)が大好きなインドネシア人。人々が行き交う道路には、たくさんのカキリマ(移動式屋台)が並び、いろんなものを揚げています。

暑さ厳しい日差しの下で、よくこんな油ギトギトのものが食べられるよなと、いつもならカキリマなんてチラッと一瞥しただけで通り過ぎていました。

しかしこの日は、パンノキを発見。これは買うしかない。ひとつ、7000ルピア(56円)で購入し、帰りのタクシーの中で熱々をハフハフ言いながら食べました。

パンノキは焼くより揚げたほうが好きです。ホクホクしていてほんのり甘くて、最高のおやつです。欲を言えば、これに蜜をかけて大学芋みたいにして食べたいな。

サテ・タイチャン@ジャカルタ
少し遅くまで仕事をした帰り道、前から気になっていた「Sate Taichan (サテ・タイチャン)」に行ってみました。会社からすぐのところにあるこのエリアは、夜な夜なサテ (焼き鳥) の屋台が20~30軒も並んでいて、そして9割の屋台がサテ・タイチャンの看板をあげていました。

そもそもサテ・タイチャンとは何か。それまで何度も会社のスタッフやタクシー運転手に聞きましたが、ちゃんとした答えはもらえませんでした。そこに、どうやら塩味のあっさり系焼き鳥らしい、優しい味が日本ぽいので、日本風のタイチャンという名前になったらしい、という情報が。タイチャンが日本風の響きかというとなんとも言えないところですが、それはさておき、果たしてその実態は・・・

はい、写真のとおり、塩味の焼き鳥でした (1本2000ルピア/16円 ※2017年当時)。ただしつけ合わせのソースが激辛で、ふだん食べる甘いピーナッツソースの焼き鳥にくらべたらけっこう厳しいものがありました。深夜ますますにぎわいを見せるサテ・タイチャン。インドネシアの夜は長い。